2014年10月16日8:00ローソンにおけるPontaカードの提示率は年々高まるお客様の利便性向上と相互送客、お得感を演出し来店頻度向上および購入単価向上で成果
国内1万1,984店舗を展開するローソンは、2010年3月からロイヤリティマーケティングが運営する共通ポイント「Ponta」に加盟している。それまでは、「マイローソンポイント(MY LAWSON POINT)」という自社ポイントカードを展開していたが、より多くの業種業態でポイントが貯まり・使えるほうが顧客の利便性向上につながるため、Pontaに参画した。ローソンにおけるPontaカードの提示率は年々高まっており、カード会員のローソンにおける購買情報を活用した商品開発、販促などに活用されている。
カード会員の売上や来店頻度は4年間で着実に伸びる
カード会員のローソンにおける購買情報を分析して商品開発などに活用
Pontaはサービス開始当初、ローソンの「マイローソンポイント」の約1,200万人を含め、約2,000万会員からスタートしたが、2014年8月末現在、6,531万会員を有している。
Pontaの提携企業が増えることにより、さまざまなチャネルでカードを保持する人が増加。これにより、ローソンでも会計時にカードを提示する人が増えているそうだ。ローソン マーケティング統括本部 CRM企画部 マネジャー 山本英之氏は、「ローソンに必ずしもお越しになられない人もPontaカードをお持ちいただけるため、来店する動機付けはできていると感じています」と説明する。
店舗全体に占めるカード会員の売上については、Ponta開始以降、毎年伸びている。現状、Pontaカードをローソンで提示する人は約5割。また、提示されるカードはローソン発行のカードが圧倒的に多く、次いでゲオとなっている。現状、来店頻度はPonta会員の方が非会員よりも多いそうだ。そのため、「会員の絶対数を増やせば、売り上げにつながる」と期待している。
Ponta提携店舗との相互送客も行っており、例えば、同じ日にローソンと昭和シェルを利用すればPontaポイントが2倍になるキャンペーン等を実施し、具体的な成果も表れているそうだ。
ただ、Pontaは共通ポイントのため、あくまでも会員情報の管理はロイヤリティマーケティングが行っている。具体的な利用動向については、ロイヤリティマーケティングから渡されるレポートで確認しているという。また、提携社の担当が集まって、CRM研究会を3カ月に一度実施している。
カード会員のデータについては、ローソンにおける購買情報のみが把握可能だが、同社ではそれを商品戦略等に活用している。会員数の増加に加え、ソリューションも日々進化しているため、分析の精度は高まっているそうだ。会員情報から把握できるリピート率、年代別、男女構成比などの分析も進んでいる。
例えば、ローソンでは、2012年6月から、小麦粉と比べ糖質の少ないブラン(小麦の外皮)を生地に使った「ブランパンシリーズ」を展開している。発売当初は販売に苦戦したが、Pontaデータ分析による「ブランパン」のリピート率(繰り返し購入の頻度)は45.3%で、ローソンオリジナル商品で最高となった。糖尿病患者などにとってパンは糖質が高かったが、それを抑えられる商品としてニーズが高く、継続して開発を進め、商品数を増やした結果、売上も伸びているそうだ。
ローソン店舗でも従業員が積極的にPR
Ponta会員の来店を促進させるキャンペーンを展開
Pontaにはネット上でサービスを提供するリクルートホールディングスも加盟している。ロイヤリティマーケティングでは、9月16日~9月30日まで、『Pontaへそくり大作戦』キャンペーンを実施し、PCもしくはスマートフォンからPonta公式サイト「Ponta.jp」に「リクルートID」でログインまたは新規登録を行い、Ponta会員IDとリクルートIDをコネクトのうえ、同キャンペーンページ経由でSMS認証(携帯電話番号認証)をするとエントリーできるプログラムを提供しているが、ローソンとしても会員の相互協力に積極的に取り組んでいきたいとしている。
また、Pontaポイントは、ローソンの特定の商品を購入することで、お得にポイントを貯めることができる。さらに、お得なポイント数でローソンの商品と引き換えることができる「お試し引換券」を提供しているが、サービス開始当初から会員に好評だ。
なお、Ponta会員の獲得については、店舗の協力が必要不可欠となる。現状、店舗にとってもPonta会員を獲得することが、売り上げを高める手段になると理解しており、積極的に案内を行っているそうだ。
会員の来店率を高める施策も展開。9月からは、ローソンに来店し、買い物の際にPontaカードを提示すると1日1個のデジタルスタンプを獲得でき、10個貯まると特典に交換できる施策をスタート。また、ローソンでは秋のリラックマフェアを開催しているが、「リラックマパスタプレート3種セット」はPonta会員限定の交換特典となっている。そのほか、10月7日~26日(※)まで、700円(税込)の購入ごとにスピードくじを1枚引くことができるキャンペーンを実施。同キャンペーンはロイヤリティの高いPonta会員限定の企画となった。今後もPonta会員限定の企画を増やしていきたいとしている。
※スピートくじが無くなり次第終了
他社配布の月刊「Ponta」にローソンで使えるクーポンを掲載
現状約5割のPontaカードの提示率をさらに高める
そのほか、Ponta提携店舗では、Pontaのお得情報が詰まった「月刊Ponta」を配布。「月刊Ponta」には、ローソン版と他社配布版の2種類があるが、他社配布版にはローソン商品のクーポンなどが印刷されており、同社によると来店促進につなげたいとしている。
また、ローソンではポイントカードに加え、クレディセゾンと提携したクレジットカード「ローソンPontaカードVisa」もある。今年は、3月と10月に入会促進キャンペーンを実施。カード会員はロイヤリティが高く、「カードのお得感をご説明しながら、ご希望される方に利用していただきたい」と山本氏は話す。
また、おサイフケータイ対応のスマートフォンやフューチャーフォンを利用したモバイル会員証「ローソンモバイルPonta」についても70万人以上の会員を有しているそうだ。
最近では、他のコンビニエンストアでも共通ポイントを展開しているが、「他社の動向を意識するというよりも、ローソンに来店してもらうための取り組みを強化していきたい」と山本氏は口にする。
現状、ローソンに来店する顧客でPontaカードを提示している人は約5割だが、その数をさらに伸ばし、稼働率も同時に高めていきたいとしている。ロイヤリティマーケティングでは、アライアンス企業の末端消費額を伸ばすために“Ponta経済圏”の拡大を目指しているが、ローソンでも「それを共通用語として頑張っていきたい」と意気込みを見せた。