2020年11月9日8:44
ラクーンフィナンシャル、ACSiON、東京商工リサーチの3社は、2020年10月19日に「コロナ禍で増える犯罪-企業や個人事業主を狙った身近な事例・傾向・対策-」を開催した。ラクーンフィナンシャルでは、「コロナ禍の詐欺 保証会社の現場から」と題して、代表取締役社長 秋山佑二氏が売掛保証サービス「URIHO」の与信審査や詐欺対策について紹介した。
倒産や未入金など、取引代金を保証する「URIHO」
ラクーンフィナンシャルは、2010年設立で、売掛保証サービスを開始して以来、9,000社以上に導入している。また、銀行約20行と提携し、売掛保証に興味のある融資先を紹介してもらい、送客している。
同社が提供する「URIHO(ウリホ)」は、取引代金を保証するサービスだ。企業が抱える取引先から入ってくる売掛金が入ってこなかった場合、同社が保証する。取引先の倒産・未入金時に、URIHOが取引先の代わりに代金を支払う。企業と同社の2者間で契約ができて、取引先の合意を得なくても保証を開始できる。
URIHOは月額料金だけで、何社でも保証が可能だ。保証額の合計1,000万円/月、1社あたりの保証額50万円までのAプラン(月額9,800円)、保証額の合計3,000万円/月、1社あたりの保証額500万円までのBプラン(月額2万9,800円)、保証額の合計7,000万円/月、1社あたりの保証額制限なしのCプラン(月額9万9,800円)の月額料金で利用できる3つのプランを用意している。
サービスの特徴として、①月額定額制で保証かけ放題、②全国どこでもネットで申し込み、③倒産した時だけでなく支払い遅延にも対応、の3つを挙げた。秋山氏は「業界初の保証サービスをフィンテックに昇格させました」と説明する。
年間10万件ほどの与信審査を実施
同社では、中小零細企業を対象に年間10万件ほどの与信審査をしている。企業の基本情報、調査会社の情報、また、自社が蓄積したブラックリスト、同社のユーザーから取引先に遅延した情報等を取得して、与信判断を行っている。
URIHOを利用する顧客企業は、建設業、メーカーなどのアパレル業、製造業、食品・飲料卸、建材などが多い。これまでの詐欺との戦いとして、まずはパソコンを挙げた。会社で使うOA機器を卸業者から仕入れて、換金性の高いパソコンを仕入れるために掛取引を申し込む。債権回収時に所在が突き止められず、未払いのまま逃亡するといったケースがあるが、同様の保証先から詐欺を発見できたという。また、食品では、米や肉など、保存がきいて売れやすい物がターゲットとなる。支払代金の滞納があり訪問すると、事務所はもぬけの殻であり、詐欺師御用達の弁護士から受任通知が届き、取り込み詐欺だと気づくケースもあるとした。
コロナ禍の中の審査データの傾向は?
新型コロナウィルス禍の審査データとして、3月が突出して多く、2019年の平均件数と比較して約2.5倍となった。3月は倒産懸念ピークのため、審査件数が増加し、詐欺懸念も増加した。7~8月は減少しているが、持続化給付金など、別の詐欺に流れたのではないかと考えている。
秋山氏は「今後は過剰在庫を抱えた企業は怪しい話に巻き込まれやすいので注意が必要」とした。コロナ禍の中、リアルよりもオンラインでの取引が活発になっているため、「与信判断は難しくなり、我々のような保証サービスがリスクに取り組んでいかなけれないけないと感じています」と同氏は語った。