2020年11月13日8:00
ラクーンフィナンシャル、ACSiON、東京商工リサーチの3社は、2020年10月19日に「コロナ禍で増える犯罪-企業や個人事業主を狙った身近な事例・傾向・対策-」を開催した。当日は、東京商工リサーチ 東京支社 黒崎洋平氏が、不況下で暗躍する企業等を狙った詐欺の実態について紹介した。
取り込み詐欺、出資金・貸出金詐欺
パクリ屋とは、企業から現金、物品を不当に搾取をする詐欺師のことだ。その手口の1つは取り込み詐欺型で、支払う意思がないのに商品売買を行う詐欺集団となる。主に換金性の高い家電、食品、日用品雑貨を購入し、それを転売して換金を繰り返す。当初は現金取引を繰り返し、信用させた段階で手形取引に持ち込み、支払いが貯まったところで倒産するという。
2つめが直接現金を狙う出資金、貸出金詐欺だ。「未情報起業に出資すれば上場する」、「M資金を管理する団体から手数料を払えば融資する」といいながら、資金搾取後は夜逃げするケースなどがある。
コロナ禍で古典的詐欺が復活
そして、新型コロナウィルスの感染拡大の状況下で、この古典的詐欺が復活しているそうだ。M資金詐欺は古典的な詐欺だが、「特別なあなたにだけご紹介します」といったように、選ばれた企業や人物だけが融資を受けられる触れ込みでターゲットに近づき、仲介手数料として先に数パーセントをもらい、仲介手数料を手に入れると忽然と姿を消す。
パクリ屋は、BtoBの企業間取引を狙い、生業と思われた企業がある日忽然と姿を消す。倒産させる日から逆算して計算しており、責任や所在を追求しても、まったく手掛かりのない状態となる。はじめは小口の取引だが、取引は次第に拡大。近年はネット販売を利用した単発の小口取引のパクリ屋が増えているそうだ。通常の商取引を装っているため、警察は民事不介入であり、摘発を逃れることが可能だ。こういった手口は昭和の時代からなくなっていないとした。実際、リーマンショックや東日本大震災など、もっともらしい言い訳が付けられ、未曽有の経済危機を逆手にとって、詐欺話がうごめくという。
パクリ屋のターゲットとなる3つの商品
最近は、コロナ禍でテレワークが増えているという名目で取引を装うケースも多い。休眠会社を興すケースや会社を乗っ取って運営するケースがある。そのため、パクリ屋の手口から身を守るのは取引をしないことだとした。
パクリ屋のターゲットとなるのは、①飲食料品、②日用雑貨品、生活用品、③パソコン、エアコンなどの家電品だという。また、ターゲットにされる企業は、①中小企業、②地方の協同組合、商社、③大手企業の子会社、二次・三次代理店、④一度、詐欺に引っかかった企業、などだ。黒崎氏は「いずれも与信管理の徹底していない会社が圧倒的です」と説明する。
パクリ屋に騙されないテクニックは?
パクリ屋の手口として、「休眠会社利用型」がある。これは、典型的なパターンだが、最近はホームページを作成するなど、入念に準備しているケースも多い。また、会社乗っ取り、計画倒産による換金目的があるが、非常に判断が難しいそうだ。
なお、パクリ屋に騙されないテクニックとして、①取引依頼に不審点はないか、②商業登記簿の確認、③設立から現在の事務所で営業をしていたか、④銀行との融資取引はあるのか、といった確認があるとした。さらに、東京商工リサーチのような信用調査会社に相談し、業態不鮮明企業かをチェックすることも1つだとしている。