2021年8月2日8:20
テレビショッピングを手掛けるジュピターショップチャンネルはクレディセゾンと提携し、初のオリジナルクレジットカードを8月に発行する。送料無料や割引券提供などの特典により、既存顧客の囲い込みを図る。同時に、デジタルカードの発行や後払い決済を導入することで、これまで難しかった若年層の開拓につなげる考えだ。
渡辺友絵(通販研究所代表)
記事のポイント!
①クレディセゾンとの提携カード、送料無料をフックに
②「ショップチャンネルカード Digital 」の同時発行、オンライン決済を便利に
③ミレニアル世代などに向けたネットショッピングに注力
④「後払い決済」でクレジットカードを保有していない層の利用を促進
⑤「代引き手数料」の有料化は妥当な対応?
⑥ライブコマースにテレビ生放送のノウハウ活用
⑦ネット通販や動画メディアで新規顧客層獲得へ
⑧テレビ通販からショッピングエンターテインメント企業へ
■セゾンカードと組み「送料無料」をフックに顧客サービスを拡大
ジュピターショップチャンネルが8月11日から発行するのは、独自のポイント機能を付帯した年会費無料の「ショップチャンネルカード セゾン・アメリカン・エキスプレス・カード」。1996年の創業後、自社クレジットカードの発行は初めてとなる。
カードの発行にあたっては顧客を対象にアンケート調査を実施し、オリジナルの特典内容を検討したという。中でも最大の特典は「送料無料」といえそうだ。
テレビやカタログ、ネットといったどの媒体であっても通信販売では送料が大きな課題で、「送料無料」は顧客が購入を決定する際の大きなフックとなる。アンケートで最も多かったのも、送料無料を希望する声だったとみられる。
送料について、ジュピターショップチャンネルは昨年6月に「送料定額サービス」を本格導入し話題となった。あらかじめ一定額の送料(半年間2,420円と1年間4,086円)を徴収することで、ほぼ全商品の送料を無料化。数年前から一部顧客限定で実施してきたところ、購入回数増加の効果があったため拡大したという。本格導入により、同サービス利用者の3割増を見込んでいた。
ただ、今回の自社クレジットカードの発行を機に、「送料定額サービス」はわずか1年程度で終了することになった。同サービスではいったん徴収した定額送料の払い戻しはないため、顧客にとっては専用クレジットカードに加入した方がはるかにメリットが高い。
もう1つの特典は、クレジットカードの王道ともいえる「ポイント付与」となる。ただ、自社でも他社でも税込200円の利用で1ポイント付くのはセゾンカードの還元率0.5%に準じたものでありで、特別な新鮮味はない。
貯まったポイント(500円から)でショップチャンネルの買い物に利用できる割引コードを自動発行するが、原資はポイントなので顧客サービスというよりも購買意欲を後押しする施策だ。そのほか、自社の「ショップチャンネル」で分割払いする際にはポイント還元率が1.5%と3倍になる。
残念なのは、セゾンカードなのにもかかわらずポイント有効期限は獲得月から2年間で、ポイント利用が無期限の「永久不滅ポイント」の対象外という点だろう。
■ミレニアル世代と相性が良いデジタルカードや後払い決済で訴求
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