2021年9月15日9:05
JR東日本は、2021年9月16日から、生活者がスマートフォン(以下、スマホ)をNFCタグにタッチすることでバスに乗車できるサービスの実証実験を実施する。9月14日には同サービスを報道向けに公開した。※実証実験は当面の間実施
記事のポイント!
①乗車時に「Ringo Pass」のNFCリーダーモードでタッチ
②1回のタッチで複数人の乗車が可能に
③料金の支払いはクレジットカードで月に2回実施
④約半数の現金利用者にタッチするだけの利便性を提供へ
⑤NFCタグで使い勝手やUIを考えた運用を実施
⑥安価なインフラ・運用コストで地域のバスや電車での採用を見込む
⑦MaaSのプラットフォームとしてサービスを広げる、店舗での利用も視野に
⑧「モバイルSuica(SF残高)」からオンライン決済も検討へ
利用者のスマホをNFCタグにタッチして乗車
Suicaでできなかった複数人の乗車に対応
NFCタグの実証実験は、品川・田町~お台場エリアまでのお台場レインボーバスを運行するkmモビリティサービスの協力を得て実施する。今回は8台のバスにNFCタグを設置。JR東日本のMaaSアプリ「Ringo Pass」のNFCリーダーモードでタッチすることで、均一運賃(大人220円、子供110円)の支払いが可能となる。
新型コロナウィルスの感染拡大などによりキャッシュレスのニーズが高まっている。今回、利用者が安心して、シームレスに利用できる選択肢としてNFCタグによる乗車実験を行うこととなった。JR東日本 MaaS・Suica推進本部 Suica共通基盤部門 企画グループ 課長 信田美貴子氏は「さまざまな交通モードのシームレスな利用を広げるという意味で交通系カードのNFCタグの活用に取り組んでいます」と説明する。
NFC機能が付いたスマホの利用者は、「Ringo Pass」アプリの地図上に表示されるバス停留所を選び、「タッチで乗車する」ボタンを押す。乗車人数を選択して、「タッチする」ボタンを押すとNFCリーダーモードが起動する。車内の「Ringo Pass」マークにスマホをタッチすることで、乗務員タブレットへ即座に利用が通知され、乗車可能だ。従来のSuica等の交通系ICカードでは1枚(1台)で複数人乗車は難しかったが、今回の仕組みでは1回のタッチで対応できる。乗車後はアプリで利用時間等の履歴を確認可能だ。
NFCタグにタッチして乗車履歴が付く仕組み
約半数の現金利用者などへ訴求
JR東日本では、2020年3月2日にケイエム観光バスの東雲車庫でUI(ユーザーエクスペリエンス)を含めた技術検証を実施(関連記事)。前回は内部による十数名規模の実験であり、事前に乗車券を購入する形だったが、今回は生活者を対象に、スマホをNFCタグにタッチして初めて乗車履歴が付く仕組みとなっている。前回は3分で62名が乗車できるなど成果があったが、今回も事前に利用者がアプリを立ち上げていれば、同様のスピードで乗車できると期待している。
料金の支払いは「Ringo Pass」に登録したクレジットカードで月に2回行われる。「Ringo Pass」では、複数のサービスを展開しているが、タクシーは降車時に決済、バイクシェアは月に1回の後払いとなっている。同グループ Ringoプロジェクト担当 柴田聡氏は「一番避けたかったのは、バスのチケットを購入して、万が一乗車できなかったときに払い戻し作業を行わないよう、バスにタッチをして初めて利用実績が残る形にしています」と話す。
お台場レインボーバスでは現状、Suica等の交通系ICカードが利用できず、NTTドコモの「iD」決済に対応している。1日約1,500人の利用者がいるが、そのうち半数が現金決済だ。実証実験ではタッチによる利便性を訴求し、なるべく多くの人の利用を見込む。
JR東日本では、2019年12月から社内でNFCタグの技術検証を進めてきた。信田氏は「お客様に受け入れていただけるようなUIや技術検証を重ねて使っていただける環境になりました。(NFCタグの共通のタッチマークとなる)『s-Touch(エスタッチ)』マークを考案したので、まずは弊社に関連するところから広げていきたいです」と意気込みを見せた。
フェリカネットワークスの協力を得てサービスを構築
MaaSプラットフォームとして利用シーンを広げる
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