2011年2月18日8:00
非接触IC決済事業者に聞く~MasterCard「MasterCard PayPass」(1)
MasterCard PayPassの拡大が世界で進む
交通機関での非接触決済の実証実験など新たな市場への導入も加速
人々が、より進化した技術に依存し、生活の利便性を図る中、MasterCard Worldwide(MasterCard)では、人々の生活や日々の支払いが容易にできるための革新的な手段を展開している。MasterCard PayPassは、革新的な非接触型決済であり、日常のちょっとした買物の際に、現金に代わる、迅速で便利な支払手段となる。PayPass機能は、すべてのMasterCardのクレジットカードやMaestroカードに搭載することが可能だ。店舗や商業施設では、PayPassの導入が増加しており、交通機関での非接触決済の実証実験など新たな市場への導入も進んでいる。PayPassの拡大が世界で進む中、MasterCardは、業界内においてもその技術を評価されている。
世界では約8,800万枚のPayPassカードやデバイスが普及
利用加盟店は27万6,000を超える
2010年第4四半期現在、世界では約8,800万枚のPayPassカードやデバイスが利用されており、PayPassが利用できる店舗は27万6,000を超え、日本のほかに、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、イタリア、スイス、スペイン、中国、韓国、台湾など、36か国において、PayPassの導入や実証実験が実施されている。
日本では2011年1月、MasterCard、ソフトバンクモバイル、オリエントコーポレーション、クレディセゾン、ジェムアルト、共同印刷、HTC Corporation、Trusted Logic S.Aは、NFC技術を用い、Android 2.2搭載スマートフォンによる、国際標準規格に準拠した非接触IC決済サービスの実証実験を開始した。Android2.2搭載スマートフォンでは、PayPassのアプリケーションをインストールし、ショッピングの支払いの際には、あたかも財布から利用するクレジットカードを選ぶように、クレジットカード・アプリケーションを選択することができる。
世界各国に広まるPayPass
各国の取り組み状況は?
イギリスでは2011年1月、オイスターカードを持つロンドン交通局と数百万ポンドの提携を発表した。オイスターカードは、ロンドンの地下鉄、国鉄、トラベルインフォメーションセンターで発行、利用されている非接触型ICカードである。このような提携(国鉄、地下鉄、バスにおいて、オープンループ型の非接触決済を導入)をロンドンのような都市において実施することは、MasterCard PayPassの認知向上に貢献するだろう。これにより、交通機関を利用する乗客は、クレジットカード、デビッドカード、プリペイドカードといった普段使用するカードを専用端末にかざすだけで、各交通網間の運賃の支払いができるようになる。
トルコでは 2010年12月、MasterCard、 ジェムアルト、ガランティ銀行(Garanti Bank)、トルコの携帯電話会社Aveaがトルコ初となる非接触IC決済PayPass搭載の携帯電話の実証実験を共同で開始した。Aveaとガランティ銀行のBonusluAveaプログラムによって、トルコにある3万5,000のPayPass加盟店、ならびに世界中の27万6,000の加盟店において、携帯電話をかざすだけで支払いが可能となり、また交通機関(電車、バス、地下鉄、フェリー)の運賃支払いやスポーツスタジアムでも同様に利用することができる。
カナダでは2010年11月、モントリオール銀行、リサーチ・イン・モーション(Research in Motion Ltd)の協力のもと、スマートフォンとして知られるブラックベリーに非接触決済のPayPass機能を搭載することを発表した。4カ月にわたる実証実験では、カナダの人々にPayPassをより身近に使ってもらい、カナダにあるMasterCard PayPassの8,500の加盟店において、ブラックベリーを使い、支払いをすることができる。また、ブラックベリーで支払った取引内容(支払金額、日付、購入場所等)は、eメールで確認することができる。
アメリカでは2010年6月、MasterCardとニュージャージー、ニューヨーク交通機関(ニューヨーク州都市交通局(MTA),ニューヨーク・ニュージャージー港湾管理委員会(PATH)、ニュージャージー交通局(NJT))が共同で、電車、バス路線における6カ月間の試験運用としてPayPassを導入した。同試験運用では、ニューヨーク・ニュージャージーの指定の電車・バス路線において、非接触決済による運賃支払いの実証実験を行った。この取り組みでは、交通機関内で相互利用を可能にする初のペイメント・システムとして、乗客は、1枚のカードで、異なる路線の乗り換えも可能となった。また、乗客は、クレジットカード、デビッドカードや、それ以外の形状のデバイスのいずれかを専用端末にかざすだけで、各交通網間の運賃の支払いや乗り換えを行うことができるようになった。
シンガポールでは2010年5月、ジェムアルトとGemalto Upteq N-Flexソリューションが搭載されたMasterCard PayPass機能搭載のNFCデバイスの実証試験の実施を発表した。同実証実験では、MasterCardとジェムアルト社が、DBS銀行、シンガポールの公共交通機関におけるキャッシュレス・ペイメントのリーディングカンパニーであるEZ-Link Pte Ltd、およびシンガポールの移動体通信事業者StarHubと協力の上、DBSの発行するEZ-LinkのFEVO MasterCardカードホルダーが携帯電話で、日々の決済ができるようになる。携帯電話に薄いデバイスチップを挿入するだけで、シンガポールのPayPass加盟店や交通機関において支払いが可能となる。