2022年10月4日8:30
日本でのライブコマースはこれまで何度かブームが起こったものの、先行する中国のように爆発的な拡大には至っていない。ただ、コロナ禍により実店舗の売り上げが萎んだことで小売業はネット販売を強化せざるを得なくなり、必然的にライブコマースにも注力。少しずつではあるが実績が積み上がり、認知度が高まりつつある。生配信ということから、視聴しながらその場でスムーズに購入できる決済手段も重要なカギといえそうだ。
通販研究所 渡辺友絵
記事のポイント!
①ライブコマースは第二次ブーム到来?
②三越伊勢丹は話題性の高い内容で訴求
③アダストリアが積極的にライブコマースを活用
④newnは配信が視聴者の生活の一部となる効果を狙う
⑤資生堂は幅広い世代の女性が視聴
⑥迅速でストレスがない決済手段が重要に
⑦ライブコマースの主要な決済手段は?
⑧6割以上の企業が決済手段に何らかの課題
⑨ビームスは自社開発システムでのライブコマースに
⑩カスタマーファースト視点から内製化
⑪視聴から購入、決済までの手続きをワンストップ化
⑫決済プロセスのユーザビリティ向上がポイント
⑬日常的な購買方法として根付くか正念場
■コロナ禍がきっかけとなり徐々に拡大
2018年頃からブームとなったライブコマースはアパレルや化粧品を中心にそれなりの広がりをみせているものの、認知度や利用度はまだ高いとはいえない。参入したものの思ったほど需要が伸びず、終了したサービスも複数ある。
ただ、コロナ禍における実店舗の不振をカバーするためライブコマースを地道に続けてきた小売も多く、百貨店やアパレル・化粧品企業の中には徐々に成果が上がっているケースも見られる。単なる商品販売にとまらず、顧客との関係性を構築するカスタマー育成の場として、長期での成長戦略につなげるという考え方も根付き始めた。ゆっくりではあるが、第二次ブームが到来しているとの見方もある。
■百貨店やファッションブランドでは成功事例も
ライブコマースの成功事例としてまず挙げられるのが、2019年に着手した百貨店の三越伊勢丹だ。季節の催事を盛り込むほか、「イタリア展」や「英国展」など店舗での人気イベントを結び付けて集客。人気ワイン漫画の原作者を招いた「ワイン特集」や、スヌーピーが登場する人気漫画「ピーナッツ」の誕生70周年記念特集など、話題性の高い内容で訴求する。
ファッション系では多くのブランドを展開するアダストリアが、2018年から積極的にライブコマースを活用。季節やイベントに合わせたテーマを設けることで視聴者を誘引し、最新のトレンドやコーディネートをスタッフが紹介している。同じくファッションブランドのベイクルーズは2020年にライブコマースを導入し、試着するスタッフの身長を表示するなど購入者目線に立った工夫を凝らす。
身長155cm以下の小柄女性がターゲットのD2Cブランド「COHINA」を手がけるnewnは、2017年の創業から毎日欠かさずインスタライブコマースを展開。配信が視聴者の生活の一部となる効果を狙い、全員155センチ以下のスタッフが小柄女性特有のファッションの悩みを解決したり、コーディネートを工夫したりと、視聴者から根強い支持を得ている。
コスメ系の企業も多く、すでに中国でライブコマースを手がけていた資生堂は2020年に日本でも開始した。メイクアップアーティストなどがメイク方法を紹介しながら視聴者の質問に答え、アドバイスを行うというもの。ゲストを招いたトークショーなどのオンラインイベントも盛り込み、幅広い世代の女性に視聴されている。
■ライブコマース実施企業の多くが決済手段の課題を抱える
視聴者の気持ちが盛り上がっている機会を逃さず商品購入につなげるためのカギが、迅速でストレスがない決済手段だ。
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