JCCAが第46回通常総会を開催、非対面不正利用状況や対応策の調査等を実施へ

2023年4月16日8:00

銀行系カード会社で構成される日本クレジットカード協会(略称:JCCA)は、2023年4月13日、東京都千代田区のパレスホテル東京において第46回通常総会を開催した。同日の理事会決議により、第46期(2023年4月~2024年3月)のJCCA会長には、ジェーシービー(JCB) 代表取締役会長兼執行役員社長 浜川 一郎氏、副会長には、ユーシーカード(UC) 代表取締役社長中西章裕氏が就任した。

第46期のJCCA会長 JCB 代表取締役会長兼執行役員社長 浜川 一郎氏

共同利用端末の設置は190万台を超える
第45期は3つの重点施策を掲げる

JCCAは、1984年に発足し、来年10月に40年の節目を迎える。現在、会員数は112社となり、根幹業務である「CAT共同利用システム」の加入会社は84社、1984年からスタートした共同利用端末の設置は190万台を超えており、「我が国のキャッシュレスを支える重要な社会インフラになっていると自負しています」と第45期(2022年4月~2023年3月)の会長を務めた三菱UFJニコス 代表取締役社長兼社長執行役員の石塚啓氏は説明する。

三菱UFJニコス 代表取締役社長兼社長執行役員 石塚啓氏

総会では、第45期の事業報告、会計報告、および石塚氏をはじめとする理事・監事の任期満了に伴う役員選任が審議・承認された。

2022年の国内のキャッシュレス決済額は過去最高の111兆円となり、キャッシュレス比率は約36%となった。中でもクレジットカードの利用額は前年比の16%増の93.8兆円とキャッシュレス決済額の約85%を占める。一方で、コロナ禍を経て、EC決済全体の利用シーンの増加、タッチ決済の拡大などにより、キャッシュレスが幅広い世代に浸透している。課題として、ECにおける不正利用被害額が増加の一途をたどっており、2022年は437億円の被害があった。それをいち早く食い止め、消費者の不安を解消することがキャッシュレス推進の上で重要だとした。

第45期の活動では3つの重点施策を掲げたという。1つ目の「『安心』『安全』なクレジットカード社会への発展に向けた市場環境の整備」では、経済産業省「割賦販売小委員会」の傘下に組成された、「クレジットカード決済システムのセキュリティ対策検討会」に委員として参画し、報告書のとりまとめに貢献した。また、「全国クレジットカード犯罪対策連絡協議会」を通じた、警察当局との協力体制による、クレジットカード関連犯罪の未然防止につなげている。

2つ目の「クレジットカード取引に関する消費者利便性の向上」については、「ICクレジットカード利用に関する消費者意識調査」を実施し、分析結果を公表した。また、今後の署名(サイン)取得の任意化等の決済環境の変化に、消費者が混乱することなく、より便利にクレジットカードを利用できる環境づくりの取り組みを継続していく。

3つ目の「クレジットカード関連法制に関する取り組みと消費者保護対応」については、官民一体となった不正利用対策の検討のほか、安全な利用に関する周知・啓発活動(フィッシング対策や利用時の本人確認方法に対する正しい理解・認知など)を実施した。

第45期では、会員各社間のコミュニケーション機会の創出に注力し、対面によるトップセミナーを3年ぶりに開催。また、CBDC、メタバース、セキュリティなど、業界に関係する各種セミナーを全6回主催している。さらに、CAT共同利用システム運営において、より公平でオープンな仕組みにするために改善を重ねたそうだ。

経産省はキャッシュレスのフルデジタル化へ取り組む
第46期は6つの重点施策

総会では、来賓として招かれた経済産業省 商務・サービスグループキャッシュレス 推進室長 降井寮治氏が挨拶した。

経済産業省 商務・サービスグループキャッシュレス 推進室長 降井寮治氏

経済産業省では、2018年にキャッシュレスビジョンを公表し、それ以来、「キャッシュレス比率2025年4割」を目標に取り組みを進めているが、順調にその比率は近づいている。また、昨年度実施した消費者向けの実態調査では、日常の決済のうち7~8割をキャッシュレスで行う、“キャッシュレス決済積極利用層”が全体の半数近くなっている。「日常生活においてキャッシュレスが増えていることが実感できました」(降井氏)。一方で昨年度実施したキャッシュレスの将来像における検討会では、業種、決済単価に応じて普及の状況が異なっており、それに応じた取り組みが求められるとした。また、キャッシュレスは社会のデジタル化の重要な要素の1つだと捉えており、他のデジタル化の取り組みと合わせて推進することが効果的であるとした。キャッシュレス導入による付加価値向上という質的な側面にも着目して、キャッシュレス普及に取り組んでいきたいとした。さらに、BtoB分野では、会計ソフトと連携した業務の効率化、中小企業の資金繰り支援を解決するツールになりえると考えている。そのためには、法人カードに対して企業として魅力を感じてもらうことが必要であるとした。

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