2023年9月12日9:00
“In-Car payment”というキーワードで、スマートフォンなどと同様に自動車そのものを決済端末として活用する仕組みが世界的に広がりを見せてきている。自動車に決済サービスを直接組み込むことで、ドライバーや同乗者が現金やクレジットカードを使わずにシームレスに購入や取引ができるようになる。自動車業界がコネクテッドテクノロジーを取り入れる中、“In-Car payment”はキャッシュレス取引の人気の高まりと相まってイノベーションと利便性の面で有望な分野として浮上している。本稿では2回に渡って“In-Car payment”に求められる課題と展望について解説する。
記事のポイント!
①車の中から直接支払い可能に
②燃料支払いのシナリオ
③構成要素と利用のユースケース
④運転中でも決済可能
⑤類似サービスとの違いは?
⑥無人(Unattended)決済の関係
⑦“In-Car payment”の今後の展望
●ユースケース
想定されるユースケースを紹介する。ガソリンスタントでの給油及びその支払いを例にとってみる。“In-Car payment”により、ドライバーはガソリンスタンドのレジに行ったり、ポンプでクレジットカードを使ったりすることなく、車から直接燃料を支払可能。ハンズフリーで対話し、安全性を確保しながら決済を行う例である。
o燃料支払いのシナリオ
・ドライバーは燃料が少なくなると通知を受け取る。
・給油を決断し、後続案内を許可。
・近隣のガソリンスタンドの案内をダッシュボードもしくは音声で情報入手。そこには、価格、ポイントプログラム情報等が含まれる。
・さらなる追加情報、例えば、距離が数百メートル遠いが廉価なガソリンスタンドの価格などの情報提供。複数オプションを比較し、車が到着する時間に合わせて予約し、タイムロスを最小化。
・車の位置と目的地を認識し、選択したガソリンスタンドまでの道順をリアルタイムで提供。
・ガソリンスタンド到着後、近くに接続されたポンプがあることが通知される。
・決済認証を提供する安全な接続を介してポンプと通信。
・ガソリンを汲んでくれるわけではないが、デビットカードやクレジットカードを挿入することはなく、顧客はダッシュボードを通じて支払いを行い、その道を進むことになる。
・課金情報・レシートをダッシュボードもしくは音声で情報入手。
1つ1つの構成要素を見ると、燃料残量インジケータ、GPS、生体認証、決済という既存の要素で構成されている。それらをシームレスに、安全第一で、インテグレートして、決済できるようにしたものである。
oその他、下図のようなユースケースが考えられている。
●従来技術と何が違う?
Q) 支払いの際、ドライバーは車を止めてから支払いに集中するのか?それであれば、スマートフォンでの操作で十分ではないか?
Ans)いいえ。運転中でも決済可能。ドライバー側がほとんど操作することなく安全な支払いを実行。例えば、駐車場や料金所の支払いは、プラスチックカードでもスマートフォンでもできるが、車から降りることなく、そして何よりもスマートフォンやカードを取り出すことなく、アプリケーションにログインすることもなく、生体認証で認証を行える。
注意散漫を招くような走行中の決済に関連する活動を最小限に抑え、ドライバーの安全性を確保することが最重要課題である。
Q) ETCでも十分では?
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