2023年10月4日8:00
大日本印刷(DNP)は、本社がある東京・市谷のDNP市谷加賀町第3ビル内の社員専用のコンビニ「ナチュラルローソンDNP加賀町アトリウム店」で、2023年9月4日~11月30日まで顔認証決済の実証実験を行っている。DNPでは、同実証実験をもとに、高セキュリティかつ利便性の高い顔認証サービスを開発し、企業内決済、小売業やサービス業の無人店舗・省人化店舗への導入を目指す。
料金の支払いは社員証決済と連動
社員証決済可能なDNPグループ社員が対象
今回の実証実験は、市谷地区に勤務する約1万のうち社員証決済を利用できるDNPグループの従業員などが対象となり、現状数百名が登録している。DNP社員には社内向けウェブサイト上や店舗周辺などのチラシで告知。DNP社員は、QRコードを読み込み、サイトにログインして専用の登録アプリで事前に顔写真を撮影・登録し、実証実験参加の規約に同意する。登録時にはマスクを外す必要がある。また、4桁のPIN情報を設定する。
店舗では、レジに導入した顔認証対応の端末を用いて商品を購入する。従来から対応していた、社員証での認証・決済に加え、今回、顔認証決済を選択できる。料金の支払いは社員証決済と連動しており、社員証決済が可能なDNPグループ社員は、誰でも利用可能だ。また、利用時にはマスクを付けたままでも決済が可能だ。
顔認証エンジンは複数企業と連携
生活者の接点としてアプリやウェブを提供
DNPは、長年、個人情報の管理を強みとしてきた。証明写真機Ki-Re-iで顔写真を撮影し、ICカード社員証を製造・発行するサービスなどに加え、みずほ銀行やりそな銀行などの大手金融機関に対してeKYCサービスを提供している。同サービスでは、アプリで本人の顔および運転免許証などの本人確認書類を撮影し、その書類の厚み等をチェックするとともに、書類上の顔写真とアプリで撮影した顔写真を照合することで本人確認を行っている。また、JR西日本が大阪駅で実施している顔認証改札の実証実験で、顔情報登録アプリや審査を行うBPOサービスを提供している。
今後も顔認証サービスの提供は強化するが、「流通の現場で顔情報を取得するのはさまざまな課題があります。運用の際に生活者の心理的なハードルもありますので、実際の店舗で実証を行い、提供につなげていきます」とDNP 情報イノベーション事業部 PFサービスセンター デジタルトラストプラットフォーム本部 部長 児島勇介氏は説明する。
DNPでは「顔認証マルチチャネルプラットフォーム」のビジネス化に向けて検証を進めてており、児島氏は「DNPはフロントサイドのサービスを提供しており、認証エンジンはさまざまな企業と連携して進めています。生活者の接点としてアプリやウェブを提供し、安全・安心に情報を預かり、ビジネスに組み込めることが強みです」と話す。
既存の社員証の仕組みを活用
決済時のPIN入力は省く
生体認証は、スムーズな登録から、安全・安心に運用するための仕組み、仕掛けを作れるかがポイントだが、同実証実験では既存の社員証の仕組みを活用して、登録や認証を行う環境を構築している。従来の顔認証決済では電話番号や特定のコードを入力することを求めることが多かったが、二段階認証の場合、社員証をかざす動作よりも不便になるため、今回はPINの入力は省いた。
児島氏は「実証実験の目的は顔で決済をする心理的なハードル、エラーがどこまで起こるのかなどを検証の対象としています。顔認証を行うと、タブレットに照合した社員番号が表示されるため、その場で自身の社員番号で支払いできているかを確認できます。また、利用の都度メールが送られます」と語る。
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