2023年11月6日9:00
これまでポイントサービスに積極的とはいえなかったシニア向けのEC・通販企業が、ポイント制度の導入に踏み切る動きが目立ち始めた。新規顧客の開拓や継続的な関係構築を念頭に、さまざまな切り口でポイント提供に着手。紙媒体との兼ね合いにも配慮しながら、ウェブサイトへの誘導を図っている。
通販研究所 渡辺友絵
記事のポイント!
①シニア層に「健康」や「投資」切り口のポイントで訴求
②サントリーウエルネスが初めてポイント制度導入
③ポイントで日々の健康行動を習慣化
④カタログハウスは「ネットポイント」制度導入
⑤紙媒体からのシフトや若年層取り込み
⑥百貨店もポイントサービス強化
⑦アプローチ手法は少しずつ変化
■シニア層のデジタルリテラシーが向上
通販業界では商品購入金額により顧客をランク付けし、割引などそれぞれのステージに見合った特典を付与する「ステージ制度」を導入している企業が多い。一方でポイント制度については、スマートフォンやアプリの活用意欲が高いとはいえないシニア層が中心顧客の企業では消極的だった。
ただ最近のシニア層は、これらを使いこなすデジタルリテラシーが徐々に向上。そのため、シニア顧客に響きそうな「健康」や「投資」などを切り口としたポイント制度への誘導が目立っている。
■サントリーウエルネスがポイントサービスを導入
「セサミン」や「ロコモア」などシニア向け健康食品で年間1,000億円以上を売り上げるサントリーウエルネスは、2023年9月からポイントサービス始めた。会員制の「サントリーウエルネスクラブ」を立ち上げ、健康食品や美容商品の購入に応じてポイントを提供する。
同社はこれまで、購入金額に対して特典を付与する「ステージ制度」を展開してきたが、ポイント制度の展開は初めて。貯めたポイントは1ポイント=1円から利用可能で、同社商品の割引に使ったり、飲料やハーゲンダッツなどサントリーグループ商品と交換したりできる。
■アプリを通じて「健康行動」にもポイントを付与
このポイント制度で目新しいサービスは、無料の健康アプリ「Comado(コマド)」を通じて日常のちょっとした“健康行動”にもポイントが付与されることだ。
「いつもより長く歩く」「散歩する」「腹八分目に抑える」といった生活の中で簡単に取り組める健康行動を、ボタン1つで記録することでポイントが貯まる。1日の歩数記録もひと目で確認でき、4,000歩を達成するとポイントがもらえる。日々の健康行動を習慣化につなげることが目的という。
アプリではフィットネスレッスン動画を配信し、健康に関する豆知識や、心の健康を満たす旅行や趣味の情報をまとめたコンテンツなど、会員の暮らしが豊かになる情報を豊富に用意している。
顧客サポートも充実しており、スマホ操作が苦手な顧客には担当者が電話で使い方をサポート。スマホを保有していなくても、健康行動を手書きで記録し返送すればポイントが貯まる専用ハガキを用意するなど、至れり尽くせりといえる。
ポイント制度の告知に向けて、10月からは全国でテレビCMを開始。健康行動に前向きな著名人のいきいきした表情や会話を通じて訴求度を高める。
■カタログハウスはウェブサイト限定で展開
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