ファミリーテックの「ファミリーバンクカード」発行の狙いは?「& JCB Fintech Program」の第一号案件に

2024年5月13日9:50

ファミリーテックは、ジェーシービー(JCB)の協力を得て、クレジットカード「ファミリーバンクカード」の発行を2024年6月頃に開始する予定だ。「ファミリーバンクカード」は、1つの銀行口座を共通の引き落とし先として、家族全員に1枚ずつ発行できるクレジットカードだ。「ファミリーバンクカード」は、JCBが開始した決済事業への新規参入を支援するプログラム「& JCB Fintech Program」を活用した第一号案件となった。ファミリーテックが目指す世界や「ファミリーバンクカード」発行の狙いや特徴、「& JCB Fintech Program」支援のメリットなどについて、説明してもらった。

池谷貴

「家族領域のテックジャイアントになる」
家族決済の課題を解決、「家族与信モデル」構築へ

「ファミリーバンクカード」は、代表者1名による申し込みで、最短即日、家族の人数分のバーチャルカードを発行できる(今後はリアルカードも発行予定)。日々の食費や光熱費、子供の小遣いなど、家族の出費を集約化してアプリ上で効率的に管理できるという。また、カードごとに上限額を決めることができ、利用するとリアルタイムで明細に反映される。同カードは、戸籍上の関係を問わず、未婚のパートナーや、生活を共にする友達同士でも一緒に利用できるのが特徴だ。

カードデザイン。年会費は年に1度でも利用があれば無料だが、家族の中で1円以上の利用が年間1件もなかった場合は1,375円

同カードの発行に向けては、「& JCB Fintech Program (~Your First Partner. JCB~)」による支援を受けた。JCBのブランドライセンス事業に加え、イシュイング(カード発行)事業やアクワイアリング(加盟店開拓)事業なども自社で行うJCBのノウハウ共有のほか、決済サービス・プロダクト、決済システムや業務構築における各企業のニーズに合わせた提案・支援が可能だという。

――貴社が決済市場に参入される背景やこれまでの取り組みについて聞きたい。
ファミリーテック:弊社は「家族領域のテックジャイアントになる」というビジョンのもと、事業を展開しております。そして、それにあたり、家族向けの「決済」と「アカウント」を提供し、「家族単位での暮らし」をしやすくしようとしております。これまでは、家族向けの決済手段として「銀行口座」と「提携カード」を提供しておりましたが、より優れたユーザー体験を提供しようと考え、今回、ゼロからカードを発行するシステムを開発しました。

――家族向けのクレジットカードに着目した理由は?
ファミリーテック:1つ目の理由は、働きが一般化して、「家族単位での決済手段」「家族単位でのお金管理」が求められているからです。日本の決済手段は「銀行口座」と「クレジットカード」ですが、どちらも「家族で使えること」に最適されたものが日本にはありません。具体的には、銀行口座に関しては、外国には存在する「ジョイントアカウント」が日本にはなく、クレジットカードに関しては、大手カード会社が発行している家族カードは、「個人カード」に付随したサービス内容になっており、埋もれており、認知度も利用度は高くない状況です。

また、一部企業で発行されている家族向けのカードは「プリペイドカード」であり、決済できるところが少なく、日常の決済をカバーするには事足りない状況です。その結果、家庭内において、夫婦間のお金の負担が曖昧で不満が溜まる、折半や立替精算のために労力が必要である、家族単位での家計管理が困難であるといった「負」が生じていると考えています。そこで、私たちは「銀行口座」と「クレジットカード」を「家族で使えること」に最適化し、サービスを提供しています。

もう1つの理由として、包括信用購入あっせん業が2020年に改正され、AIなどを使った新しい与信モデルを作れるようになったからですす。共働きが当たり前であり、夫婦の片方だけの与信枠で家族の与信が測られるのは、実情に合っていないと考えています。そこで、私たちは「家族与信モデル」というのを作っていこうとしており、そのための土壌(法律改正)も整ったと考えています。

――クレジットカードの保有者は増えており、市場では楽天カードなどが会員数を伸ばしているが、貴社サービスの市場性はどう考えているか?
ファミリーテック:私たちは、弊社が「家族カードを知らない層」にうまくリーチできていることから、非常にユニークな市場性を持っていると考えています。弊社は金融を「点」ではなく「線」で捉えてサービス提供しており、「金融とは異なるニーズから流入し、家族カードを発行する」という新しいマーケティングに成功しています。

弊社の調査によれば、家族カードの認知率は40%しかありません。ほとんどの方がその存在を知らない状況です。しかし、弊社のアプリは「立替精算」「ToDo管理」「位置共有」など、家族で使えるライフスタイル系の機能をたくさん提供しており、まずはこうしたニーズからアプリをダウンロードしていただき、アプリ内で「家族カード」を認知し、発行していただくという流れができています。

このように、「FamilyTechとFinTechが組み合わさること」で新しい市場を作っていくことができると考えています。

「ファミリーバンクカード」の3つの優位点
フルクラウド化、JCB連携による成果は?

――具体的な「ファミリーバンクカード」の商品・サービスの優位点は?
ファミリーテック:優位点は3点あります。1つ目は、アプリ上で簡単にクレジットカードを発行できる点です。1枚、2枚と、簡単にアプリ上でクレジットカードの発行が可能です。また、家族ごとにオリジナルのクレジットカードも発行できます。

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