2024年12月17日8:00
世界最大のフィンテックコミュニティのための知識プラットフォームである「シンガポールフィンテックフェスティバル」のインジェニコ(Ingenico)のブースでは、さまざまな決済端末のハードウェアに加え、ソフトウェアやサービス・ソリューションについても紹介した。また、「AXIUM SX7000」を利用したEVチャージングなど新しいサービスのデモなども行われたほか、スタートアップとの連携についても紹介した。
決済端末の不具合を専門スタッフがオンラインで診断
インジェニコは、今年の「シンガポールフィンテックフェスティバル」でも、「ACCEPT(受け付ける)」、「MANEGE(管理する)」と「ENHANCE(強化する)」をキーワードにした最新技術やサービスを披露した。インジェニコは決済端末を中心に事業を展開してきたが、決済端末の機能が多様化する中で、お客様は管理や運用、アフターサービスなどのソリューションに対するニーズが強まっている。今年の展示は、ハードウェアよりもソフトウェアやサービスの比率がより高まっているそうだ。
例えば、マネージドサービスのコーナーでは、端末やアプリの挙動を遠隔制御できるデモが体験できた。ターミナルのセットアップを効率的に行い、トラブルの際には、質問を受け付けるなど必要な支援をリモートで受けられるサービスを提供するものだ。
Ingenico Japan(インジェニコ・ジャパン)キーアカウントマネージャー 藤野克彦氏は「これまでは、加盟店が決済端末の動きがおかしいと感じた時、いったん配送してもらって、インジェニコ側が原因を調査し、セットアップしてから加盟店側へと送り返していました。そうすると、決済端末が戻ってくるまでに時間がかかりますし、修理スタッフが現場に行くと、コストがかかってしまいます」と加盟店に対するヘルプデスクなどのリモートサービスの強化の背景を説明した。
オンライン診断であれば、加盟店側がQRコードを経由して修理センターにアクセスするだけで、専門スタッフが遠隔で店舗の端末を操作することができる。ソフトウェアの状況や端末の概要、バッテリーの容量などを調べ、どこに問題があるのか裏側から調べることが可能だ。時間と手間を省きつつ、精度の高いサービスを提供することができるという。
日本への展開については、藤野氏は「日本では、お客様がこのサービスを利用するというよりも、インジェニコ側が遠隔でのモニタリングなど、トラブルをチェックするために使われています。また、サービス業者にライセンスを付与して、自分たちで使って、解決できるケースもあります」と話す。
リモートで端末の状況を診断するサービスを展開している決済サービス企業もあるが、インジェニコのサービスの特徴は、自社製端末だけではなく、他社製の端末も管理することができる点だ。藤野氏は「これまで愚直に決済端末を作り続けてきましたが、業界では加盟店に対する運用サービスなどのソリューション提供へとシフトしています。これからも、ソリューションサービスを強化していきます」と話す。
EVチャージャーやオフラインでのキャッシュレス決済など新サービス披露
このほか、決済端末機「AXIUM SX7000」を利用したEVチャージングのデモを実施した。IP55 認定、PCI PTS v6認定などを備えており、今後は日本国内でも普及が期待されている。グローバルで初めてのEVチャージのデモであり、2025年1月に米国・ニューヨークで開催される世界最大級の流通展示会「NRF Retail’s Big Show」にも出展するほか、日本での展開も検討している。
このほか、Wi-Fi環境がない飛行機内でも、キャッシュレス決済を行うことができるサービスを提供している。オーストラリアのエアラインと連携して、インジェニコはペイメントのアクセプタンスデバイスやソフトウェアのインテグレーションなどを提供している。機内ではオフラインのデジタルウォレットで決済を行い、ランディングしたときに、機内での買い物情報を取り込む仕組みだ。
また、ガソリン車や電気自動車向けの給油所における決済のエコシステムでは、顧客のニーズに対応して、決済端末とソフトウェア、サービスを連携したエコシステムを展示した。給油所経営の効率化を支援するプラットフォームで、リアルタイムのモニタリングとフィードバック、アップデート、遠隔でのヘルプデスクなどのサービス機能を備えている。
手のひら静脈認証「PalmSecure(パームセキュア)」を搭載した決済端末なども展示した。パームセキュアとは、手のひら静脈認証技術という最高水準のセキュリティを提供する生体認証装置だ。
ポイント決済や仮想通貨決済など最新のテクノロジーとコラボ
このほか、スタートアップやIT企業などとのコラボレーションも紹介した。ブース内のプッシュカートには、交通、飲食、小売の各業界におけるケーススタディやユースケースが展示された。端末は筐体のデザインを企業ブランドのカラーにしたり、ロゴを入れたり、自由にカスタマイズすることも可能だ。
また、先進的なテクノロジーとシームレスなユーザーエクスペリエンスを提供するポータブルEFTPOSマシンTyro Pro(タイロプロ)などを展開するオーストラリアのTyroとインジェニコの「AXIUM DX6000」の連携によって、実現できる洗練された買い物体験を紹介した。
「AXIUM DX8000」とSGData Hub(シンガポールデータハブ)によるPOSの紹介や、仮想通貨を使ったセキュアな決済を実現するcrypto.com Pay(クリプトドットコムペイ)などの取り組みも紹介した。
■お問い合わせ先
Ingenico Japan株式会社
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-2-8
虎ノ門琴平タワー 4階
TEL:03-6268-8730
e-mail:info-jpn@ingenico.com
URL:https://ingenico.com/jp