2026年8月7日8:00(JST)
【日本】電話・SNSを起点とした詐欺や迷惑行為のフィルタリングサービスを提供するトビラシステムズ、メディアリテラシー教育の普及を推進するClassroom Adventure、不正検知サービスを提供するかっこの3社は8月5日、元千葉県警警部補でサイバー犯罪対策に精通する一般社団法人刑事事象解析研究所代表理事の森雅人氏をゲストに迎え、「その詐欺、どこで防げたか?」をテーマにメディア向け勉強会を開いた。AI時代の最新手口と被害発生のプロセスなどについて、個人・企業・教育の観点から、それぞれの専門家が解説した。

「怪しい、危ない、怖い」と感じたら、立ち止まって考える
まず、ゲストの森氏が「捜査実体験から見るサイバー犯罪の実態と防犯の重要性」をテーマに基調講演した。森氏は、元警察の警部補で、サイバー犯罪、経済犯罪などを扱う生活安全部門の刑事を15年担当した。その後、実践的な企業のリスク対策を行う民間企業に転職し、2024年、刑事事象解析研究所(ケイジケン)を立ち上げ、代表理事を務める。
基調講演では、自身が捜査した事件として、恋愛感情を逆手に取られて、SNSを入口にナンパされ、マインドコントロールされた女性が、売春などの犯罪に巻き込まれていった事例を紹介した。
森氏は「警察時代の体験を振り返ると、世の中、法律の枠の外のトラブルが多いことに気づきます。これまで、たくさんの相談を受けましたが、事件化できるのはわずかです。相談者の話を聞いていると、最初は気づかないけど、途中で『怪しい、危ない、怖い』と思った人は多く、犯罪に巻き込まれるのを防ぐためには、その時に立ち止まって、冷静に考えたり、誰かに相談することが重要です」と述べた。
事前情報で個別最適化され、AIで質も量も高まる詐欺手口
セッション1は、トビラシステムズセキュリティリサーチャーの柘植悠孝氏が「詐欺はどこから始まるのか」をテーマに、「接触フェーズ」について解説した。柘植氏は「詐欺は、姿を変えながら、巧妙化・効率化しています」と最近の傾向について紹介した。

例えば、悪用される電話番号も、詐欺を防止する側が施す対策に応じて移り変わってきた。携帯電話から始まり、携帯電話から転送できる機能を利用した固定電話へと詐欺の舞台が移り、050IP電話、そして、最近では国際電話が増えるとともに、下火になっていた携帯電話の電話番号も再び増えている。柘植氏は「060番号が、来年の4月には始まる予定ですが、悪用されるかどうか注視していきたいです」と述べた。
また、先に個人情報を収集し、相手を信用させる手口も増えている。ニセ警察官詐欺では「〇〇さんですね」とターゲットのことを知っていることで本物であると思わせたり、本名の入ったスミッシング(SMSを悪用したフィッシングメール)でも、相手を信用させる効果があるという。
柘植氏は「事前情報で個別最適化され、AIによって質も量も加速しています。詐欺は固定された一つの手口ではなく、環境・対策・技術に適応しながら、変化を続けています」と注意を呼びかけた。
3-Dセキュアの義務化が詐欺被害減少への転機になるか
セッション2は、かっこO-PLUX事業部部長の小野瀬まい氏が「被害が発生するタイミング」をテーマに、被害発生フェーズについて解説した。個人情報の漏洩は年々深刻化しており、2025年は、1年間で日本人の1人2回は個人情報を経験している計算になるという。

最近の事例としては、楽天のアカウントが乗っ取られ、楽天市場で商品を勝手に注文される被害の相談件数が約400件となるなど、フィッシング後のアカウント乗っ取りからの不正注文の手口が巧妙化していることが紹介された。
アカウントの乗っ取り被害は急増中で、警察が認知しているだけでも、年間7000件を超え、5年で4.7倍に増加している。クレジットカードの不正利用被害額は3年連続で500億円を超え、高止まりしている。小野瀬氏は「ただ、3-Dセキュアの義務化によって、減少傾向にあり、多要素認証で大幅減少を実現した欧州同様の抑制効果が日本でも起こっていると考えられます」と述べた。
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