2011年12月12日8:00
銀聯カード対応のモバイル端末を低価格で提供
シンプルな操作性も強みで、タクシー会社などで導入が決定
日本ポステックが展開するモバイル端末「JPT-S90」は、従来、国内で発売されている端末と比較して、「シンプルな操作性」「従来の半額程度の低価格」「銀聯カード対応」の3つの優位性を持つという。すでに三井住友カードと協力し、中国人観光客向け決済サービス「銀聯」の取り扱いが行える端末として、タクシー会社などに導入をすすめている。
機能は「決済」「決済取り消し」「集計」に絞る
従来の約半額となる5万9,800円で提供
これまで国内に普及している決済端末は、決済以外にもさまざまな機能を搭載した機種が多かった。日本ポステックが提供する「JPT-S90」では、「決済」「決済取り消し」「集計」の3つの機能に絞っている。これにより、決済に慣れていない従業員でも簡単に操作を行うことが可能だ。
近年、クレジットカード会社にとっては法改正などの影響によりキャッシングの収益が少なくなり、加盟店の経済環境も厳しくなっている。そのようななか、市場からは低価格な端末が求められる傾向にある。同製品は、シンプルなクレジット決済機能に特化し、端末の価格も従来の約半額となる5万9,800円で提供を可能にした。また、耐久性、操作性を重視して開発しているため、加盟店からのニーズも満たしているという。
さらに、銀聯決済にモバイル端末として初めて対応した。すでに、三井住友カードのアクワイアリング(加盟店契約)により、2011年12月1日から、平成ハイヤーでサービスをスタートしている。その後も日本ポステックのモバイル端末を利用する全国のタクシー会社最大4,500台に順次サービスを導入する予定だ。
日本ポステックがJPT-S90の営業を本格的に開始したのは2011年7月。それからまだ4カ月程度であるが、「引き合いは多数寄せられており、来年度までに1万5,000台の導入は想定に入っています」と同社 代表取締役社長 森清一氏は自信を見せる。
近年、国内を訪れる中国人観光客は増加傾向にあり、モバイル端末で銀聯決済が行える端末は大きな差別化要因となっている。
「カード会社も既存のシステムの関係上、これ以上、決済端末に搭載するシステムを増やしたくないというのが現状です。弊社では、端末側のアプリケーションを新たに開発したことにより、他社に比べスムーズに銀聯対応ができました」(日本ポステック 営業 勝部駿氏)
同端末はメーター連動には対応していないが、一企業の中で数台導入するといったニーズにも対応が可能であるため、「今後はメーター連動も進めますが、非対応だからできるメリットもあると考えています」と勝部氏は説明する。
非接触決済への対応も検討
さまざまなアプリケーションを搭載可能
センターとの通信は、ソフトバンクの回線を使用している。FOMAの場合は、1回9円の通信費が必要となるが、JPT-S90では1か月900円の固定で利用することが可能だ。また、端末のアッデートの費用も必要ないという。
決済手段としては、銀聯以外にクレジットカード決済(Visa,MasterCard,JCB,AmericanExpress,Diners)が可能だが、非接触IC決済のアプリケーションの搭載も検討している。同端末は、中国ベンダーのPAXテクノロジーが開発した製品を国内向けにカスタマイズしており、海外では、NFCチップを搭載した端末もリリースされている。国内でも海外同様に非接触決済が可能になれば、クレジット、銀聯、非接触IC決済を1台で加盟店に提供できる初の端末となる。
「弊社の端末は、汎用POSと捉えています。FeliCaやNFC以外にも、ポイントやハウスクレジットなど、さまざまなアプリケーションを端末に搭載できる点が強みとなっています」(森氏)
さらに価格を抑えた据え置き端末のリリースも予定
2012年度で営業利益1億円を目指す
セキュリティ面ではPCI SSCが定めるPIN入力や端末の強度などを規定した国際セキュリティ基準である「PCI PTS」にも準拠している。
まずは、タクシー、運転代行など、無線端末の導入を検討する企業から設置を進めていくが、商店街や旅行会社、ロジスティクスなどの運送業者などからも引き合いがあるそうだ。また、三井住友カード以外のカード会社との提携も進んでいる。
日本ポステックでは据え置き型の端末のリリースも予定しており、「モバイルよりもさらに低価格で提供する予定」(森氏)となっている。また、Wi-Fiや電子署名など、モバイル端末の機能も順次拡張し、2012年度で営業利益1億円を目指す。