2012年1月27日8:00
キャッシュパスポートの発行枚数は順調に拡大
JALのマイルやTポイントが貯まるサービスで囲い込みを狙う
アクセスプリペイドジャパンは、マスターカード・ワールドワイド(MasterCard)がトラベレックスのプリペイド事業を買収して誕生した企業である。キャッシュパスポートは、2004年から、海外専用プリペイドカードとして発行されているが、2009年、2010年に券種の追加やブランドの追加変更を行いながら拡大してきている。
アクセスプリペイドジャパン
留学生や旅行者向けカードに加え、法人向けのコーポレートカードも発行
外貨両替に比べ安い手数料や万一の際のサポートが利用者に魅力
アクセスプリペイドジャパン(トラベレックスジャパン)では、2004年から、ビザ・ワールドワイド(Visa)と提携し、Visaブランドの「ATMキャッシュパスポート」を発行していたが、「ATM専用のため、海外の加盟店で利用できなかったこともあり、2010年4月から、MasterCardキャッシュパスポートの発行に切り替えました。これを機に、ユーザーの利便性が向上し、発行枚数は一気に拡大しました」とアクセスプリペイドジャパン 営業企画 シニアマネージャー 桐山博文氏は説明する。
MasterCardキャッシュパスポートで用意する通貨は、英国ポンド、ユーロ、日本円、米国ドル、豪ドルの5 種類。世界210カ国の加盟店での買い物や約150万台のATMで現地通貨を引き出すことが可能だ。また、銀聯キャッシュパスポートは、中国国内を中心に160万店以上の銀聯加盟店で利用できる。ユーザーのターゲットは留学生、海外旅行者、海外出張の多い法人などの海外渡航者となる。海外専用のため、国内の加盟店では利用できないが、海外企業が運営するオンラインショッピングサイトでは使用可能となっている(※銀聯はオンラインショッピング不可)。2010年7月からは、留学生や旅行者に加え、法人向けのコーポレートカードも発行を開始し、販売を強化している。
キャッシュパスポートの申し込みは、「販売代理店での直接申し込み」、「Webサイト(インターネット)」、「郵送またはFAX」となるが、「イシュアとしてキャッシュパスポートを発行できる金融機関やカード会社の拡大も積極的に行っています」と桐山氏は説明する。すでにカード会社ではトヨタファイナンス、金融機関では秋田銀行、香川銀行などと提携している。
カード利用者の入金額の上限は100万円で、平均10~15万円程度のチャージがあるという。MasterCardキャッシュパスポートは、MasterCardの日本を除く全世界の加盟店で利用できることから、Visaブランドで発行していた当時よりもチャージ金額は高まったという。桐山氏は、「外貨両替に比べ手数料が安い点と、万一の際のサポートもあり安心感があるため、便利にお使いいただいています」と自信を見せる。
3,900万人のTポイント会員を取り込む
アライアンス企業と連携した取り組みも実施
販促施策にも積極的に取り組んでいる。まず、2011年1月に日本航空(JAL)とマイルパートナーになり、銀聯ATMから現地通貨の引き出しや、銀聯加盟店での利用に応じて100円で1マイルが貯まるサービスを行っている。
また、2011年8月1日からは、国内最大級の共通ポイントサービス「Tポイント」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と提携し、「MasterCardキャッシュパスポート」や「銀聯キャッシュパスポート」によるATMでの現地通貨の出金、および加盟店でのキャッシュパスポートの利用において、200円で1ポイントのTポイントを付与するサービスを開始した。
「Tポイントアライアンスに参加することで、TSUTAYAなどの企業でキャッシュパスポートの告知や、約3,900万人のTポイント会員へ、メールなどでの告知が可能となりました。将来的には、TSUTAYA店頭でもキャッシュパスポートを販売できる環境を目指していきたいです」(桐山氏)
10通貨まで外貨への両替を可能にする
マルチカレンシー対応を2012年夏以降に開始予定
なお、当初は2011年中に1枚のカードで10通貨まで外貨への両替を可能にする「マルチカレンシーキャッシュパスポート」を発行する予定であったが、MasterCardへの買収による商号変更などにより、現時点では実現していない。
「マルチカレンシーが実現できれば、銀行やカード会社などのイシュアの関心も高まるため、2012年夏以降のリリースを目標に準備しています」(桐山氏)
また、コンビニエンスストアやGMS、家電量販店などの流通店舗で運用がスタートしているギフトカードモールについても、将来的には考えていきたいとしている。
現在、キャッシュパスポートの利用者は年間倍々のペースで増えており、2011年のカードの発行枚数は10万枚となった。桐山氏は、「まだまだ海外専用のプリペイドカードの知名度は決して高くありません。年間1,500万人以上の海外渡航者がいるため、今後も地道に告知活動を行うことで、利用者は拡大できると考えています。2012年も倍のペースでユーザーを獲得していきたい」と意気込みを語った。