2012年5月14日8:00
店舗の空席時を利用して時間・枚数限定のクーポンを連携
位置情報と連動し、店舗周辺の顧客を効率よく集客へ
飲食・物販などが、生活者の利用が少ない時間帯を利用し、店舗周辺にいる顧客に対して時間・枚数限定のクーポンを配信できるのが、ロケーションバリューの提供する時限クーポン配信サービス「イマナラ!」である。スマートフォンや携帯電話のGPS機能を利用した同システムを利用して、空席を売り上げの変えることができると、同社では自信を見せている。
ロケーションバリュー
テーブル当たりの採算性を重視
全国1万4,000店舗の加盟店と提携
ロケーションバリューは、時限クーポン配信サービス「イマナラ!」を提供している。これは、スマートフォンを利用して、店舗の近くにいる生活者に対し、「30分以内に来店したら30%オフ」といったような時間限定・枚数限定のクーポンを配信できるサービスである。
同社は従来、クライアント店舗の近隣にいる人を雇用するサービス「おてつだいネットワーク」を運営してきた。生活者にとっては、余った時間を活用して働くことができるサービスとなっていたが、同仕組みを発展した形で時限クーポンを開発した。
同社がイマナラ!を展開する上で着目したのは、1テーブルあたりの売上である。ディスカウントのクーポンを配布する仕組みは、店舗への集客において有効な手段の1つではあるが、混雑している時間帯でも同様に利用できてしまうため、客単価や利益率が下がる可能性があるという。例えば、飲食店において、1~3回転目まではディスカウントしなくても集客できる店舗の場合、4回転目だけをディスカウントできれば、効率よい集客が可能となる。同社では、航空会社などが採用するイールドマネジメント理論を応用したイマナラ!により、テーブルが開いている時間のみ利用できるクーポンを配信する手法を考案した。ロケーションバリュー 代表取締役 CEO 砂川大氏は、「店舗が必要な時に集客できる強みがイマナラ!にはあります」と自信を見せる。
現在、イマナラ!は、全国約1万4,000店舗の加盟店と提携している。イマナラ!の仕組みは同社自身でも提供しているが、和民やシダックス、アイシティ、ユーシーシーフードサービスシステムズなど9社には、それぞれ独自の公式スマートフォンアプリをASP形式で提供している。
利用者の行動範囲を特定したクーポンを配信可能
クーポンをダウンロードした利用者の来店率の高さが特徴
利用者は、スマートフォンのGPS情報を利用して周辺の地図情報やクーポン情報を閲覧できる。イマナラ!利用者は、iPhoneユーザーがまだ多いが、最近ではAndroidの割合が増してきたそうだ。
また、「基本的に自宅と職場、よくお出かけになる地域が人間の基本的な行動範囲です。イマナラは、その範囲内での情報を提供できるメリットがあります」と砂川氏は、他のサービスとの違いを述べる。また、独自アプリを含めた総アプリダウンロード数は約160万に達している。
「従来の携帯電話ではブックマークを見て立ち上げる作業が必要でしたが、スマートフォンの特徴として、画面上にアイコンが載っています。そのため、何個クーポンが配信されているのかを画面上で閲覧でき、受動的な人であっても、クーポンを取得しやすくなります」(砂川氏)
具体的な成果として、クーポンをダウンロードした利用者の来店率は、バラマキ型のクーポンに比べ、10倍以上高いという評価もある。また、ASPによる独自アプリ採用企業の中には、1回の発行に対するクーポン利用率が150%(そのクーポン有効時間内に平均して1組以上が来店)を超えている企業もあるそうだ。
独自アプリ採用企業は、管理画面上でイマナラ!のメニュー全体を管理して閲覧可能だ。さらに、「シダックス様は会員証の代わりに利用したり、アイシティ様ではデザインを独自につくり込んだりと、追加機能を取り入れることにより、顧客の囲い込みに有効活用できます」と砂川氏は説明する。
ASPを利用した独自アプリを採用すると集客力が20倍~70倍にアップ
CCCにはOEMで「Tポイント」アプリを提供
イマナラ!への掲載でも一定の効果はあるが、ASPを利用した独自アプリを採用すると集客力が20倍~70倍に跳ね上がる。その理由として砂川氏は、「独自アプリをダウンロードする人は、店舗への帰属意識が高いため、より集客効果が上がるのです」と分析する。
また、共通ポイント「Tポイント」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブには、イマナラのプラットフォームだけをOEM提供している。今後はクレジットカード会社などにもOEMによるシステムを提供する予定だ。
「現在、カード会社は法改正の影響などで変革期にありますが、一方で多くの加盟店とユーザーを抱えているという強みを持っています。イマナラ!を採用を予定するカード会社では、加盟店の販促支援に役立てる予定となっています」(砂川氏)
ほかにも、ポイントカード、ギフトカードなどを展開する企業に対し、連携したサービスの提供を検討している。
なお、ASPによる独自アプリを採用していない一般的な店舗に対しては、1組の来店ごとに525円を徴収している。また、ASPによる独自アプリを採用しているチェーン店の利用料は固定の金額となっており、店舗数に応じた月額性となる。OEMに関しては、初期費用が最低100万円からで、月額費用は会員数や店舗数により変動するという。
砂川氏は最後に、「イマナラ!は、顧客の新規獲得とリピーターの囲い込みを実現できるサービスとして、いいポジションにいると思います。今後もイマナラ!の仕組みを利用して店舗に送客する手段を考えていきたい」と力強く語った。