2012年8月6日8:00
国税や地方公共団体での支払い等、重要な決済インフラに成長した「Pay-easy」
自動車OSS、地方公共団体へのダイレクト方式適用にも取り組む
「Pay-easy(ペイジー)」は、税金や公共料金、各種料金などを、PCや携帯電話、ATMなどを利用して、支払うことができるサービスである。2012年5月には、利用件数が過去最高の月間610万件を記録するなど、堅調な伸びを見せるPay-easyについて、普及活動を行う日本マルチペイメントネットワーク推進協議会(JAMPA)と日本マルチペイメントネットワーク運営機構(JAMMO)に話を聞いた。
2011年度は取扱金額や件数で想定通りの伸び
2012年5月は利用件数で過去最高の月間610万件を達成
日本マルチペイメントネットワーク推進協議会(JAMPA)は、電子決済サービス「Pay-easy(ペイジー)」の普及・利用促進活動を行っている。利用者は、「Pay-easy」マークが付いている納付書・請求書や、支払い方法としてPay-easyが選択できるサイトでの料金の支払いなどで同サービスが利用可能だ。
Pay-easyは、税金や各種料金などの収納を行う団体・企業と、金融機関を接続して収納業務の電子化、効率化を行うために構築された「マルチペイメントネットワーク」の機能を利用している。マルチペイメントネットワークの運営は、JAMMOが行い、都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農漁協系統金融機関、ゆうちょ銀行、信託など、国内金融機関(1,445機関)のほとんどがJAMMOの構成会員となっている。
2011年度は10周年と言う節目の年でもあった。利用金額や件数については、この10年間連続で拡大している。2011年度の収納サービス件数は約4,570万件、取扱高は約7.4兆円となり、「想定通りの結果を得られた」と日本マルチペイメントネットワーク推進協議会 常任理事 事務局長 小倉和人氏は成果を語る。
JAMPAでは、取扱高が多くなる時期に合わせ、キャンペーンを展開し、利用者の認知度アップに努めている。例えば、地方公共団体と協力して案内のチラシを同封したり、金融機関で一般利用者向けに告知をしてもらっている。例えば、広島銀行でサービスがスタートした際には、銀行に協賛してラジオ広告でPRを行ったという。
2012年度に入ってからも順調な伸びを継続している。2012年5月は、自動車税や固定資産税などの納付時期であるが、利用件数は過去最高の月間610万件(対前年同月比121%)と、昨年の約500万件と比べて急激な伸びを記録している。また、利用金額も9,163億円と前年同月比121%の増加となった。
その要因としては、「自動車税を中心に地方公金における利用の増加」を挙げている。実際、5月の地方公金の利用件数は対前年同月比133%の282万件、利用金額は同127%の1,855億円と、大幅に利用が増加している。また、民間での件数も伸びているが、その要因としては、EC市場規模の拡大に呼応して、Pay-easy自体の認知度が広がったことを挙げている。
三菱東京UFJ銀行など大手都市銀行でのATM対応が完了
「ダイレクト方式」の取扱金額が1兆円を突破
昨年度の具体的な成果としては、まずATMの拡大が挙げられる。2011年9月に三菱東京UFJ銀行でサービスを開始。「大手都銀が出揃ったことに加え、九州や広島などをはじめ、地方でも順調に導入が進みました」と小倉氏は語る。
小倉氏は、「地方公金や国庫金、民間など、潜在的な利用ニーズがある分野についてさらなる拡大に努めていきたいと考えています」と意気込みを語る。国庫金については、官庁のシステム等から、電子申告・申請に連動して即時に電子決済を行う「ダイレクト方式」の新規導入に向けたアプローチを強化している。2011年度は取扱金額が1兆円を突破。取扱件数も急激に増加しているそうだ。
また、国土交通省の自動車保有関係手続ワンストップサービス(自動車OSS)での活用に向けた推進を2010年から継続して実施しており、2013年のサービス開始を目指している。さらに、登記関連の電子申請の活用に向けても継続してアプローチを行っている。
国庫金については、関税の支払いがダイレクト方式により急速に増加したが、それを地方公共団体に展開する取り組みを進めている。それを実現できれば、「件数の伸びには相当貢献できる」と日本マルチペイメントネットワーク運営機構 事務局次長 北村繁氏は期待する。
また、地方自治体についても、23年度に足立区などでPay-easyの利用を開始した。JAMPAとJAMMOでは、地方公共団体や金融機関などへのアプローチを継続的に行っている。現在、Pay-easyを導入している団体は、全都道府県の約45%政令指定都市の37%となっている。オンライン方式では前年比15%、取扱額は前年比29%増となった。
取扱金額8兆円、取扱件数5,000万件が当面の目標
消費者の認知度アップにも引き続き取り組む
2012年度は、取扱金額8兆円、取扱件数5,000万件が1つのターゲットとなる。Pay-easyの利用者への認知は進んだとはいえ、まだ半数近くの人には知られていないのが現状だ。そのため、地域に集中した利用促進に取り組み、キャンペーンなどを行うことにより、各地域での費用対効果の確立に努めていく方針だ。
民間企業拡大に向けては、NTTグループの電話料金収納の実現が挙げられる。小倉氏は、「今年の7月にNTTグループの料金がNTTファイナンスに集約されPay-easy対応されたことにより、Pay-easyでの支払いに移行するユーザーも出てくると予測しています」と期待する。
また、中長期的な活動計画の検討も進めていく予定で、国庫金のダイレクト方式の利用官庁を広げていきたいとしている。2013年4月には、横浜市、長野市などでペイジー収納サービスの開始を予定しているが、地方公共団体での採用拡大に向けて取組を継続したい方針だ。
さらに、地方公共団体のクラウドシステムへの対応や、スマートフォンやタブレットサービスについての活用の活性化も進めていきたいとしている。