2013年3月11日8:00
American Expressが「百貨店ギフトカード」の発行を開始
新デザインや広告展開でのアプローチも積極的に展開へ
アメリカン・エキスプレス・インターナショナル,Inc.(American Express)は、2013年2月から、百貨店以外の企業では初めて「百貨店ギフトカード」の発行を開始した。American Expressでは、まだ百貨店ギフトカード事業に参加していない百貨店において、プロモーションやシステム面をサポートしながら百貨店ギフトカードの販売を展開するという。
百貨店ギフトカードを発行していない店舗を支援
高級感のある引き出しタイプの台紙を用意
American Expressでは、米国を中心に、プリペイドやデジタルペイメントに力を入れている。国内でもどのような形でプリペイドが展開できるか研究している。アメリカン・エキスプレス・インターナショナル,Inc. 日本・韓国・台湾 グローバル・ペイメント・オプションズ 副社長 菊池邦夫氏は、「American Expressは従来、トラベラーズチェックがルーツにあり、第二弾として親和性の高い業態でもある日本百貨店協会のカードを発行する機会に恵まれました」と説明する。
American Expressブランドのクレジットカードは、百貨店での利用が多く、加盟店としてのつながりも深い。また、国内でブランドプリペイドを展開する際はインフラ上の制約もあり、国際ブランドのインフラ上で実施するのは時期尚早である。そのため、日本全国に店舗を有する百貨店に限定されたサービスを展開することは、スタートとしてふさわしいと考えたそうだ。
百貨店ギフトカードは、日本百貨店協会に加盟する百貨店が発行するカードタイプの商品券であり、2013年1月31日現在、協会加盟237店のうち177店舗で利用可能となっている。百貨店ギフトカードは、従来、各百貨店がイシュアとなり、各百貨店で利用できるが、これは世界的に見てもユニークなスキームとなっている。また、百貨店業界全体での共同プロジェクトではあるものの、「全国の百貨店で使えるカードであるという特性から各個別百貨店にとって戦略商品としての動機づけに欠ける部分もあるため、百貨店業ではない弊社が送客に徹することで売り上げにつなげることが可能になる」(菊池氏)と自信を見せる。
今回、まだ同カードを発行していない百貨店を中心に発行支援を行うが、すでに2月1日から、うすい百貨店、佐世保玉屋、長崎玉屋、県民百貨店、デパートリウボウでサービスを開始。その後、2月7日に藤崎本店、2月15日に中合 福島店、棒二森屋店、三春屋店、十字屋山形店、3月1日に川徳、八木橋、京急百貨店でサービスをスタートし、3月中に一畑百貨店、津松菱で販売を開始予定だという。そのほか、ギフトカードを未導入の百貨店は約20あるため、その発行支援はもちろん、商品自体の利便性を高め、今後より魅力的な商品にしていきたいとしている。
具体的な販売については、百貨店に在庫を送付し、各百貨店でアクティベーションを実施。端末は、既存のPOSを利用する場合と、American Expressが提供するケースがあるという。台紙についても「高級感を出すため、引き出しタイプの台紙(プレミアムパッケージ)を利用しています。これを百貨店の包装紙に包んでギフトで贈っていただけます」と菊池氏はAmerican Expressならではのこだわりを口にする。
「今後は、積極的な広告展開でのアプローチなど、American Expressならではの強みを付加できると考えています。米国では、ギフトカードをハウスカードの潜在顧客に流用させたり、各社のロイヤリティ顧客が利用するため、間接的に商圏拡大につながるなどのメリットが生まれています。そういったノウハウを活用してご提案していきたいです」(菊池氏)
認知度の低さは課題だが普及のポテンシャルは高い
日本百貨店協会では「ギフトカードコンテスト」を実施
American Expressでは、百貨店ギフトカードの発行サポートに向け、何度も市場調査やグループインタビューを実施したが、課題となったのは認知率の低さだという。ただ、百貨店ギフトカードの商品特性を説明したところ、魅力を感じる人も多かったため、十分に普及する可能性があると考えている。
日本のギフトマーケットは世界第二位の30兆円の市場があり、約13兆が金銭に絡む部分となっている。また、紙の商品券は9,000億円の売上があり、「百貨店共通商品券」の発行は減少傾向ではあるものの比較的安定している。
「弊社の調査でも、“ギフトならば百貨店”というイメージが多くのお客様にあることがわかりました。フォーマルギフトは縮小傾向ですが、パーソナルギフトは安定しており、お誕生日、記念日、出産祝い、バレンタインやホワイトデーなど、カジュアルな形で利用するギフトはさらに伸びると考えています。」(菊池氏)
American Expressは日本百貨店協会と共同で2月末から、「ギフトカードコンテスト」(https://www.departinfo.com/do/pc/membersEntry?presentID=250)を実施。コンシューマが投票したデザインから選ばれたギフトカードが従来のデザインに加えて販売される予定だ。
米国ではウォルマートと提携して「Bruebird」を発行
3カ月で57万5千口座、預金総額2億7,500万ドルの実績
なお、米国ではウォルマートと提携してプリペイドカード「Bruebird(ブルーバード)」を発行している。誰でも口座を開設でき、支払いや送金に利用可能なデジタル決済プラットフォーム「Serve」とプリペイドカードが紐づいたサービスとなり、「銀行口座に匹敵するアカウントをプリペイドで開設できます」と菊池氏は説明する。
利用者は、ウォルマート店舗やWeb上でカードを入手し、オンライン上に口座を開設することによりウォルマートやAmerican Expressの加盟店でショッピングが可能となっている。また、スマートフォンによるチャージやモバイル決済などにも利用できる特徴もある。
スタートして3カ月余りだが、すでに57万5千口座、預金総額2億7,500万ドルの実績を誇る。また、85%がAmerican Expressにとって初めての会員で、45%が35歳以下となっているのも特徴だ。
American Expressがさらに多くの人々の感動体験に寄与するためには、さらなる顧客数の拡大やマーケットの開拓が必要となる。そのために、グローバル・ペイメント・オプションズ事業部では新規顧客の獲得、新しいマーケットの開拓、デジタルペイメントの革新を起こすという3つをミッションとして掲げているが、「最終的には日本でもBruebirdのような魅力的なプリペイド商品を出していきたい」と菊池氏は思いを語った。