2013年3月19日9:38
日本経済新聞社は、2013年3月5日~8日まで、2回目となる「NFC&SmartWORLD」を開催した。会場では、決済、マーケティング、セキュリティ、M2Mなど、NFC(Near Field Communication)に関連するモバイル・ICカード・タグソリューションが一堂に紹介・展示された。
シンクライアント型決済システムを提供するトランザクション・メディア・ネットワークスは、オムロン製CATS300 シリーズなど、日本カードネットワーク(CARDNET)のJET-S 端末への対応を紹介した。また、タブレット端末を活用した電子マネー決済やNTTドコモと連携して展開する「モバイルマーケティングASP」の展示も行った。
トッパンフォームズとTFペイメントサービスは、クラウド型決済プラットフォームサービス「Thincacloud(シンカクラウド)」の紹介を行った。同サービスでは、カシオ計算機の「VX-100」「V-T500」、キヤノンマーケティングジャパンのハンディーターミナルと決済ハンディーPOSパッケージにも対応している。また、「ケータイ国盗り合戦」を展開するマピオンと連携し、モバイルゲームで遊ぶともらえるオリジナル特典ポイントをリアルな店舗での購買に使うことができるサービスのデモを実施した。これにより、店舗は顧客誘導から決済までの一連のマーケティングデータを取得することができるという。
ネットアライブは、VEGAシリーズの中でももっとも小型・軽量な「VEGA3000」を展示した。磁気クレジットカード、接触ICクレジットカード、非接触ICクレジット(VISA payWave/MasterCard PayPass)に対応している。また、タッチ操作が可能な液晶ディスプレイも特徴となっている。さらに、PCI PTS 3.xやEMV 4.x Level1、Level2認証を取得するなど、セキュリティも強化しているそうだ。
日本データカードのブースではタレスジャパンがハードウェアセキュリティモジュール(HSM)の展示を行った。同社のHSMは、暗号鍵を物理的に保護するセキュアなハードウェアで、内部プロセッサで暗号処理を安全かつ高速に実行できるという。日本データカードの発行機にはタレスのHSMが使用されているケースが多いそうだ。
エース工業と新生紙パルプ商事は、NFC関連の製品、ソリューションの展示を行った。NFCタグを内蔵した衣料タグやスマートポスターに、NFC対応スマートフォンをかざすだけで、コーディネート提案の映像配信や、商品が購入できるECサイトへのアクセスできるナクシスのソリューションはKDDIの記者会見でも展示され、注目を集めた。飛天ジャパンは、中国のセキュリティベンダー「Feitian Technologies」の製品を展示した。同社ではスマートフォンに接続して使用するNFCデバイスやスマートフォン決済ソリューションおよび関連アプリケーションを展示した。
モバイル非接触ICサービス普及協議会のブースでは、NTT西日本が関西最大級のO2O実証実験と言われるモバイル会員向けO2Oサービス「SMART STACIA」のデモを行った。阪急阪神グループが、NTTグループ各社および博報堂の協力を得て実験を実施しており、会員はアプリ(阪急西宮ガーデンズアプリ&ウメダ・スタイルクリップ)のダウンロードにより、「阪急西宮ガーデンズ」「阪急三番街」「HEP FIVE」「NU茶屋町」の最新情報を受け取ったり、SMART STACIAポイントが施設で貯まったり、お得なクーポンの利用が可能となっている。
また、ブリリアントサービスでは、水族館の水槽脇に設置した魚名板に取り付けられたNFCタグやQRコードを利用して、魚の情報をスマートフォンに取り込むことが可能なアプリ「Ikesu」を展示した。すでに池袋のサンシャイン水族館でサービスが行われており、利用者は魚の情報を集めてオリジナルの魚類図鑑のように使うこともできる。水族館から帰った後も、スマートフォン画面を水槽に見立てて集めた魚を泳ぎ回らせたり、水槽に「サンゴ」や「岩」などのアイテムを配置したり、水槽の様子をFacebookで友人にシェアすることができるという。
大日本印刷(DNP)では、NFC技術を活用したソリューションの展示を行った。なかでも注目を集めたのは、スーパーなどに設置したNFC商品タグに、NFCスマートフォンをかざすことでスムーズな買い物が可能な「NFC SMARTSHOPPING(エヌエフシー スマートショッピング)」だ。顧客は、NFC商品タグにスマートフォンをかざすと、商品情報が読み取られ、決済時にはスマートフォンをNFCリーダライタにかざすだけで決済が完了する。SMARTSHOPPINGは、顧客の属性情報を活用し、購買履歴に応じた割引価格をスマートフォンに提供することが可能だ。また、タイムセールなどにも対応している。さらに、商品に含まれるアレルギーや栄養成分などの情報を利用者に提供することができる。DNPでは、NFC SMARTSHOPPINGを複数の機能を一元管理できる「モバイルWallet」の新機能として提供するという。
また、非接触決済サービス「QUICPay」の機能を搭載したFeliCaカードなどを、申し込んだその場で発行するサービスを紹介。同サービスは、EMGマーケティング合同会社とジェーシービーが開発した、FeliCaチップにQUICPay機能を搭載したキーホルダー型デバイス「Speedpass+(スピードパスプラス)」に採用されている。
ソニーと共同で出展したフェリカネットワークスは、モバイルFeliCaのプラットフォーム事業を展開してきたが、今回の展示会ではTypeA/Bとの連携も紹介した。世界的にみても先進的な取り組みとなるFeliCaと、TypeA/BをカバーするNFCプラットフォームを提供することにより、主にグローバル展開を行う企業をサポートするという。また、NFCやFeliCa対応スマートフォンとアクティブタグの情報と、クラウドサーバの相互連携を実現するプラットフォーム「Cross-Link Platform」のデモ展示を行った。事前にFeliCaやNFCスマートフォンの情報をアクティブタグに紐付け、サーバで管理することにより、アクティブタグでスマートフォンと同様の機能を提供可能だ。
ソニーは、NFCに対応した機器同士をかざすだけでBluetoothやWi-Fiの接続設定をユーザーが意識することなく実現できる「One-touch Products」を展示した。国内ではまだ発売されていないが、ワンタッチソリューションでBRAVIAにスマートフォンの画面を表示するソリューションを展示。NFCスマートフォンからリモコン経由でTVの情報を読み取り、リモコンとテレビの通信はBluetoothで実施している。また、アクティブスピーカー「SRS-BTV5」、ワイヤレスステレオヘッドセット「MDR-1RBT」、パーソナルコンテンツステーション「LLS-201」などのNFC対応製品の展示デモも行った。
そのほか、FeliCa Liteを利用したキッザニアの会員証、NFCタグ(FeliCa Lite)が貼られたプレートにスマートフォンをタッチすると動物情報を閲覧できる東山動物園のアプリ、スマートフォンアプリを活用してO2Oマーケティングを実践できる「スマホdeチェックイン」などを紹介した。