「ANAマイレージクラブ」の会員サービスがさらに充実(全日本空輸)

2013年8月28日8:00

会員との短期的な関係性に留まらず、LTV(Life Time Value)を強化する「ANAマイレージクラブ」
ライフタイムマイルの導入、プレミアムメンバー限定の特典を充実

ANA(全日本空輸)の「ANAマイレージクラブ」は、2013年6月末時点で2,500万人の会員数を有している。同社では、これまで以上にANAファンである会員に対し「魅力(Charm)」と「価値(Value)」を掛け合わせたメンバーサービスを提供したいという考えのもと、プログラムを順次、リニューアルしている。

「プレミアムメンバー」プログラムを順次リニューアル
会員のLife Time Valueとして「ANA Million Miler プログラム」を導入

「ANAマイレージクラブ」のリニューアルのスケジュール

ANAでは、2013年1月1日から、「プレミアムメンバー」到達基準のプログラムを順次リニューアルしている。具体的には、アジア路線(台湾・ソウルを含む)のプレミアムポイント倍率を1.5倍にアップさせた。また、プラチナサービス、ブロンズサービスへの到達基準に、新たにANAグループ便利用分のポイント数を反映。さらに、座席クラスを基本とした従来の積算率を見直し、購入時の各種条件(予約クラス)を加味した積算率へ変更した。

2014年4月1日からは、ANAゴールドカード・ANAカードプレミアム会員に対し、搭乗ボーナスマイルの積算率を変更。各ステイタスとも、初年度と2年目以降の積算率に差を設けるとともに、ANAゴールドカード・ANAプレミアムカードホルダーについては、積算率を5%アップさせる。さらにアップグレードポイントの付与条件をANAグループ運航便の利用実績に応じて付与する新しい基準に改定するなど、ANAファンであることに「魅力」と「価値」がさらに加わる。

「ANA Million Miler Program」のオリジナルネームタグ

また、今回「ANA Million Miler プログラム」を導入。ANAと顧客との関係性の1つのシンボルとなるようなサービスであり、生涯にわたった価値提供と関係構築が目的となる。対象は、ANAグループ運航便の搭乗で50万、100万、200万ライフタイムマイル(LTマイル)に到達した会員、もしくはANAグループ運航便およびスターアライアンスを含めた提携他社便の搭乗で100万LTマイルに到達した会員となる。各基準に到達した会員には、これまでの「時の証」として伝統工芸を織り交ぜたオリジナルネームタグを順次発送している。

また、ANAグループ運航便の搭乗で100万LTマイル以上では「保有マイルの無期限化」、200万以上では「ANA SUITE LOUNGEの永久利用」など生涯にわたった特典が提供される。

「年間の搭乗回数はプレミアムメンバーや出張利用者などに比べ少ないかもしれませんが、機会は少なくても航空利用の際には毎回ANA便、年末年始や夏休みなどの家族旅行は毎回ANA便というお客様は決して少なくありません。10年、20年といった時間軸で見た場合、とてもご愛顧いただいているANAファンとの関係性を永く大切にしたいとの考えのもとANA Million Miler プログラムを導入しました」(全日本空輸 マーケティング室 ロイヤリティマーケティング部 主席部員 住吉真沙樹氏)

旅と親和性の高いクーポン特典の提供を強化
希少性の高い商品との交換ラインアップも充実

マイレージのプログラムとしては、航空プログラムとしてのFFP(フリークエント・フライヤー・プログラム)に加え、マイルをポイントとしてみたときの魅力付けを意識しているそうだ。2012年10月からは、航空利用に近いサービスにおいて、マイルが活用できる環境を整備している。

全日本空輸 マーケティング室 ロイヤリティマーケティング部 主席部員 住吉真沙樹氏

「すべてのお客様に夏休みや年末年始の時期に特典航空券の座席を提供することは難しいため、ホテルの宿泊、現地でのレンタカーにマイルを利用することができれば、お客様自身の懐のご負担は変わりないと思います。クーポン特典により、旅のシーンを充実していただくことができればと考えています」(住吉氏)

例えば、ザ・ペニンシュラ東京では、100,000マイルでデラックススイートの利用が可能となるが、月に数件の申し込みがある。住吉氏は、「非日常をご体験いただけるような、他の現金的なポイントプログラムとは異なる価値観を提供しています。また、ホテルでのランチ、ディナーサービス等も提供していますが、10,000マイルからの手ごろ感、これまで体験したことがない生活体験の領域が受けて非常に利用者が多いです」と成果を口にする。

まずは東京近郊を中心にスタートしているが、他のエリアについてもラインアップを増やしていきたいとしている。

また、10,000マイルからマイル数に応じて商品に交換できる「ANAセレクション」というメニューでは、従来、商品との交換は10,000マイルのラインナップしかなかったが、4月より交換マイル数の上限を拡大したことにより、充実した商品を揃えることが可能となった。ANAでは、年末にスペシャルセレクションとしてマイル数の設定を取り払ったキャンペーンを展開していたが、30,000マイル前後のニーズが非常に多かったそうだ。その成果もあり、前年比150%の割合で利用が伸びている。

さらに、高額なマイルを保有していながら、利用する機会が少ないプレミアムメンバーを対象に、通常のメニューとは違う限定感や希少性の高い商品の提供も5月より開始している。

商品ラインアップとしては、ボルドーの5大シャトーグレートビンテージワインセット、数量限定の腕時計、直営店舗でしか取り扱っていないキャリーケースなど、プレミアムな商品となっている。

提携10周年となる楽天Edyとはさまざまなキャンペーンを実施
ANAカードでは「ソラチカカード」の申し込みが好調

電子マネー「楽天Edy」を発行する楽天Edyとの提携は10周年となるため、さまざまなキャンペーンを実施している。他社の電子マネーやポイントへの場合、10,000マイルで2口まで1万円相当のポイントに交換可能だが、3口目からは交換単位が10,000マイルで5,000円となる。2013年6月30日までは、ANAカード会員が35,000マイルから3万5,000円、ANAプレミアムメンバーが60,000マイルから6万円分のEdyに交換できるキャンペーンを実施。さらに、7月より日本国内線の機内販売でもEdyの利用を開始している。

国内線の機内販売でのEdy利用イメージ

そのほか、外部企業との提携としては、4月にセブン・カードサービスの「nanacoポイント」、5月に「スターバックスカード」への入金、7月に「iTunesギフトコード」との交換を開始している。

クレジット機能付きカードについては、三井住友カード、JCB、シティカードジャパン、アメリカン・エキスプレス各社と提携し発行している「ANAカード」と、提携パートナー企業の会員カードにANAマイレージクラブ機能を搭載したカードを展開している。ANAカードはANAグループ便搭乗時のボーナスマイルや機内販売・空港売店での割引特典などがあるため、航空利用機会の多い人やより早くマイルを貯めたい人に支持されている。昨年3月に東京メトロ、JCBと提携して発行開始した「ANA To Me CARD PASMO JCB」(愛称:ソラチカカード)の申し込みも好調だ。

一方、提携パートナー発行カードについては、入会のきっかけが航空利用以外の目的であるお客様も多いため、ANAカード会員に較べ航空利用が少ないという傾向が見られる。こうしたお客様に、いかにANAのマイルの魅力をアピールしていくかが今後の課題である。

住吉氏は最後に、「お客様がマイルをポイントとして捉えた時に、ANAが行っているサービスの魅力をさらに強化していくことで、他のポイントプログラムとの違いを体感していただければと考えています。ANAマイレージクラブを通じて、お客様に非日常の気付きや体験をご提供し、航空利用に留まらないサービスをご利用いただくことで、『人生を豊かにする』プログラムへ発展していければと考えています」と今後の目標を語った。

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