2013年9月3日8:00
ビッグデータで金融アドバイス
Big Data Outputs
日本カードビジネス研究会 代表 佐藤 元則
人間は好奇心が旺盛だ。生まれながらにもっている防衛本能のひとつかもしれない。原始の時代、火というものに興味を示し、これを恐れず、克服することによって、人類は進化した。火は従者になり、人間は主人になった。好奇心によって、人間は自己優位性を無意識にたしかめている。それは、生きるためのエネルギーだ。
金融サービスにおいて、利用者の好奇心をくすぐるものはなにか。テレビ番組のひとコマで、タレントのサイフをチェックするというものがある。これは視聴者の興味をそそる。
いくら現金をいれているか。どんなカードをもっているか。レシートがあれば、いつ、なにに、いくら使ったか。そんなことを聞いていく。サイフというきわめて小さな世界から、スクリーンではみえない、タレントの日々の暮らしぶりがみえてくるから不思議だ。
おなじようなコンテンツを提供すれば、金融サービス利用者の好奇心をかきたてることができるのではないだろうか。単にのぞき趣味という次元ではなく、利用者にとって有益な情報提供になるものがあるはずだ。
自分と同年代の人たちは、なにに一番お金を使っているのだろうか。毎月のカード利用額は自分より多いか、少ないか。食事でよく行く場所はどこで、いくら使っているのか。こんど転勤する地域の生活水準はどうか。休日はどこで過ごしているのか。
いまはやりのビッグデータの活用で、金融マネジメントの相対比較ができるサービスがうまれている。オーストラリアのユーバンクが提供する「ピープルライクユー(PeopleLikeU)」や、コムバンクの「シグナルズ(Signals)」である。比較といっても、データの羅列では、頭が痛くなる。グラフや図表でわかりやすく、しかも、生活シーンを想起するイラストで表示してくれるので、楽しみながら比較できる。