2013年10月1日8:00
提携社同士の相互送客、会員の稼働活性化が進む共通ポイントサービス「Ponta」
スマホ向けゲーミフィケーション型O2Oアプリ「Pontaタイム」で日常の楽しみと提携社への送客を実現
ロイヤリティ マーケティング(LM)が運営する共通ポイントサービス「Ponta」は、ローソン、ゲオ、ケンタッキー・フライド・チキン、昭和シェル石油、大戸屋、セガなどが異業種間で共通の会員組織を形成し、参加企業同士の相互送客を目指している。サービスから約3年半が経過したが、会員数や提携社数は順調に増加。現在は、キャンペーンの展開やAppStore無料総合ランキング1位を獲得したスマートフォン向け無料アプリ「Pontaタイム(ポンタイム)」の提供など、会員サービスのさらなる充実に力を入れている。
会員数や提携社数の増加により、利用も順調に増加
月間取引件数は本年7月に1億7889万件を記録
共通ポイントサービス「Ponta」の会員数は5,703万人(8月31日時点)、提携社数は69社、2万2,300店舗(9月2日時点)となっている。月間の取引件数は2013年7月で1億7,889万件と過去最高を記録。ロイヤリティ マーケティング 執行役員 CAO LM Analytical Lab Lab長 内山敦司氏は「会員数の伸びに連れ、利用も順調に推移している」と話す。
LMでは、現在、消費者の生活に密着した業種・業態の提携社拡大に力を入れている。日常的に利用される提携社が加わることで、Pontaをより便利に利用してもらうことが可能だ。例えば、直近では、定食店「大戸屋ごはん処」を全国に展開する大戸屋でPontaの利用を開始。また、セガ エンタテインメントが運営するセガアミューズメント施設でのPontaサービスを全国展開している。ここでは、ポイントを使うことで、通常の料金を支払うよりもお得にゲームを利用できることが喜ばれている。
Pontaの運営については、「弊社はあくまでも黒子となり、提携社同士が対等な立場で、互いにお客様を送り合うのが基本的なスタンスとなります」と内山氏は説明する。LMでは、年に2回の合同会議、勉強会の実施など、さまざまな取り組みを実施。基本的に、提携社同士がアイデアを出し合い、相互送客に向けた施策を展開している。勉強会では、ある提携社が実施して成功したキャンペーンの成功事例などを公開している。
内山氏は、「提携社ごとに何を目的にされるのかは千差万別です。コンビニエンスストアのように毎日ご利用される店舗もあれば、月に1回、生涯に1回のみご利用いただく店舗もあります。Pontaの会員基盤をご利用いただくことで、新規顧客の獲得、来店頻度・リピート率を高めるなど、提携各社の目的達成につなげていただくことが大切です」としたうえで、「少なくてもPonta導入の効果を実感いただいていると思います」と自信を見せる。
稼働活性化に向け季節ごとに合同キャンペーンを展開
ローソンと昭和シェル石油での同日利用者に2倍のポイントを付与
LMでは、会員の稼働活性化に向け、季節ごとに合同キャンペーンを展開。今夏は、「毎週バトル!! お笑い! Ponta紅白戦」を実施。また、個別企業の取り組みの一例としては、7月、8月にローソンと昭和シェル石油が共同で、同日に両店舗を利用した会員に2倍のポイントを付与するキャンペーンを展開した。
そのほか、提携先のゲオでは、レシートにローソンで利用できるクーポン券を印字して配布する取り組みを行っている。また、毎月会員に無料で配布する「月刊Ponta」ではローソン等のクーポン券が印字されているが、他の店舗で配布することで、送客に役立てている。
クレジットカードについては、ジャックスとの提携カード「Ponta Premium Plus」(参考記事)を発行し、「Ponta経済圏の拡大と活性化」のために取り組んでいる。同カードは「Ponta Premium Card(ポンタプレミアムカード)」からリニューアルとなるが、クレジット機能としての利用だけでなく、Pontaサービスのプラットフォームとしての機能の拡充を目指している。これにより、会員にとって分かりやすく、より多くポイントがたまるメリットを訴求している。
テレビ視聴を連動させた日本初のインタラクティブTV企画を実施
Twitter上でツイートするだけでポイントを加算
LMでは、ネットからリアルへの送客など、Webを活用した施策にも積極的だ。
例えば、バスキュールと共同で、Pontaとテレビ視聴を連動させた日本初のインタラクティブTV企画を実施。これは、2013年6月15日22時、テレビ東京系BSジャパンの生放送特別番組「BLOODY TUBE(ブラッディチューブ)」として放送された。BLOODY TUBEは、視聴者がスマートフォンを使って自らプレイヤーとして番組に参加し、血液型チームに分かれて順位を競う対戦レースゲームで、優勝チームには賞品としてPontaポイントが贈られた。結果、放送終了後の5分間に対象者の7割がPontaIDを入力するなど、大きな反響があった。
また、Ponta会員が、Twitter上でツイートするだけで、リアル店舗で利用できるPontaポイントが貯まるサービスを開発。すでにH.I.S.、日本ケンタッキー・フライド・チキンのキャンペーンで採用されている。
Pontaタイムでは提携社への送客に加え、会員の帰属意識を高める
リアル店舗でのPontaカードの利用回数を提携社ごとに表示
さらに、会員の帰属意識を高め、提携社へ送客する取り組みとして、スマートフォン向けゲーミフィケーション型O2Oアプリ「Pontaタイム(ポンタイム)」(無料)を開発。
「Pontaタイム提供の目的は、提携社への送客と、利用者にとって、日常生活においてのPontaの世界観の提供となります。利用者は想像以上に伸びており、何度も利用されるヘビーユーザーが多いのが特徴です」(ロイヤリティ マーケティング IDマーケティング事業本部 O2O事業開発ユニット アシスタントマネージャー 中村佳奈子氏)
Pontaタイムは、共通ポイントサービスPontaをよりおトクに楽しむためのアプリとなる。利用者は、アプリで遊んでいると降ってきたり落ちていたりする「葉っぱ」のアイコン「ハッパー」をタップしてゲージを貯めたり、「友だち」登録などのアクションを行うことによってさまざまなバッジを獲得できる。バッジを集めることでPontaポイントをためることができる。Pontaの利用履歴を閲覧できる「お買い物メモ」では、リアル店舗でのPontaカードの利用回数を提携社ごとに表示。1店舗につき1日1回以上の来店で、ハッパーゲージがたまる。ハッパーをためるために提携店舗での買い物をする人もいるとのことだ。「お客様には思った以上にアプリを利用いただいています。」と中村氏は笑顔を見せる。
また、アプリ内のコレクション「ポンタウン」にあるバッジ12種類を全部集めることで、提携社のバッジを収集できる「トカイタウン」を提供。ローソンの「ローソンクルー♪あきこちゃん」、セガ エンタテインメントの「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」など、提携社のWebサイトを訪問することで獲得できるスペシャルバッジや、提携各社のユニホームを着たポンタのバッジを集めることが可能だが、「アプリの利用者に対し、“Ponta提携社がこんなにたくさんある”という気付きを提供できています。また、提携社のブランディングや送客の仕組みとして一役を担えれば」と中村氏は成果を口にする。
Pontaタイムは、AppStoreの無料総合ランキングで1位を獲得。Androidのライフスタイルカテゴリの新着でも1位を記録した。「まずはユーザーに使っていただき、今後は提携社に還元できるアプリに注力していきたいです」と中村氏は意気込みを見せる。また、アプリ内では準備中となっている箇所について尋ねると、同社では検討中としているが、今後は「会員証機能」の提供が予想される。また、クーポンなど提携社と連携した機能も提供する予定だ。
LMは、サービス開始から約3年半で当初の予想を上回る会員数を獲得してきた。「今後も他社を意識するというよりは、Ponta会員に一層便利にご利用いただくことを重視して、サービス拡充に取り組んでいきたい」と内山氏は力を込めた。