2013年10月2日8:30
プリペイドカードの新提携モデル
☆☆☆ 成功の鍵はプログラムマネジメントにあり ☆☆☆
Prepaid Program Management
日本カードビジネス研究会 代表 佐藤 元則
顧客資産を殖やし、手数料収入を増やす新たなB2B2Cモデルが、プリペイドカードで実現した。カードプログラム導入の企画から、カード発行システムの提供、運営管理、リスクマネジメントまでトータルに提供する企業向けのソリューションで、プログラムマネジメント(PM)モデルと呼ばれている。
クレジットカード提携との大きなちがいは、与信が不要、所得証明書を徴求する必要もなく、銀行口座もいらない。若年層から高齢者まではばひろく、だれにでも発行できること。
送金ニーズがある企業には、送金カード。ゲーム愛好者の囲いこみニーズがある企業には、小額決済が可能なゲームカードを全員に発行。アルバイトへの給与支払いで困っている企業には、安全でコストのかからないペイロールカードを提案する。
提携クレジットカードには、こういう柔軟性はない。融資をベースにした後払いの決済手段だからである。利用者全員にクレジットカードを発行したいという企業ニーズがあっても、残念ながらこたえることができなかった。
事前に資金をロードでして使うという、プリペイドだからこそできるワザである。顧客の好みにあわせてリソースをコーディネートし、プログラムを成功に導くマネジメント力が優劣を決める。
●年率22%成長する世界のプリペイド市場
国際ブランドがついたプリペイドカードを、一般的にオープンループ型と呼ぶ。世界中のブランド加盟店で利用できるという、汎用性があるからだ。
MasterCardがボストンコンサルティングに依頼した調査「2017年の世界のオープンループ市場予測」によると、2010年から年率22%で成長し、2017年には8,220億ドル、約80兆円になると予測している。2010年は2,100億ドルだった。国際ブランドの商品ラインアップのなかで、プリペイドはクレジットやデビットよりも高い成長率で伸びる。
世界を5つの地域に分けてみると、2010年の取扱高トップは米国/カナダで1,540億ドル、全世界のオープンループでのシェアは73%だった。2位は欧州で280億ドル、3位はラテンアメリカで150億ドル、4位はアジアパシフィックで100億ドル、5位は中東アフリカで30億ドルだった。
では、2017年にはどうなるか。やはり最大の市場は北米で取扱高4,400億ドル、全世界でのシェアは51%になる。2010年のシェアは73%だったから、北米以外の伸びが大きいことがわかる。
2位の欧州は280億ドルから1,490億ドルで、5.3倍の伸び。3位のラテンアメリカは2010年対比9.4倍となり、1,410億ドルで僅差の3位につける。アジアパシフィックは5.4倍伸びて540億ドルに。中東アフリカは成長率で15.3倍とトップ、しかし取扱高は最も少なく460億ドルになる。
中国やインドなど、巨大な人口を抱える国があり、日本や韓国という経済国がありながら、アジアパシフィックでの汎用プリペイド市場は見劣りする。
特定の場所やブランドでしか使えないクローズドループを加えたプリペイド全体の市場でみると、2010年のオープンループのシェアは25%。それが2017年には35%になると予測している。汎用性プリペイドカードのニーズは強い。