2014年1月15日8:00
1台で5ブランドに対応した「TMNシンクライアント決済サービス」は順調に成長
CCT、POS、タブレットに対応し、CRMシステムの提供も強化
加盟店の電子マネー導入の課題は端末等のコストの高さと言われていたが、その課題も徐々に解消されつつある。トランザクション・メディア・ネットワークスが提供する「TMNシンクライアント決済サービス」は、決済ブランド処理やセキュリティ機能をセンター側で対応可能としたシステムである。これにより、決済端末の導入コストを削減可能にするとともに、5ブランドを1台の端末で処理することが可能だ。
月間2,000台以上のペースで導入が進む
数多くのCCTやPOSに対応
トランザクション・メディア・ネットワークスが展開する「TMNシンクライアント決済サービス」は、大幅な端末コストの削減が図れることに加え、他ASPサービスとのセンター間接続により、他サービスとの連動を柔軟に実現可能だ。また、リテール事業者は、目的や地域特性などにあわせて、Suica等の交通系電子マネー、楽天Edy、WAON、iD、QUICPayの5ブランドの中から自由に選択することができる。
「強みは5ブランド(7ブランド対応予定)までオファーが可能であり、対応ブランドが他社に比べて多い点です。また、端末『UT1-Neo』の価格や、月額1,000円程度で利用できる仕組みも強みとなっています」(トランザクション・メディア・ネットワークス 代表取締役社長 大高敦氏)
すでに複数の大手食品スーパーやレンタカー事業者等でサービスが稼働しており、端末の設置台数も順調に伸びているようだ。大高氏は、「毎月2,000台を超えるペースで設置が進んでいます。また、そのペースも増えており、すでに4万台の成約がございます」と笑顔を見せる。順調に設置が進んでいる理由としては、「対応ブランドの多さはもちろん、お客様の意向にあわせてシステムを提供できるのが弊社の強みです」と大高氏は自信を見せる。
営業については、CCT端末と合わせてアクワイアラが提案するケースに加え、POS等と連携したソリューションとして、電子マネーを導入する場合がある。現状、POSとCCTの導入台数はほぼ同じということだ。
大高氏は、「CCTの対応端末の対応の多さは、シンクライアント型電子マネーとしては多いと思います。また、POSの場合、システムやマーケティングの一環として導入するケースが見受けられるため、弊社が直接営業するケースが多くあります」と説明する。
CCTでは、NTTデータのINFOX端末や日本カードネットワークのJET-S端末と接続。また、POSでは、富士通、東芝テック、シャープ、寺岡精工、イシダ、NECなどが挙げられる。POSの場合、大規模から中規模までさまざまな企業に対応した機種があるため、画一的な決まりがなく、都度のつくり込みが必要となる。大手企業の場合、対応ブランドや決済処理スピード、端末登録・管理などの運用面などが評価されるケースが多いそうだ。
タブレットを活用した決済サービスがぐるなびで稼働
ポイントやクーポンなどCRMシステムの導入も進む
また、飲食向けクーポンサービスを提供するぐるなびでは、JR東日本と連携し、ぐるなびタッチの新サービス「ぐるなびPRO認証システム3.0」でSuica決済をオプションとして利用可能としたタブレットシステムを開発したが、電子マネー決済には同社の端末が利用されている。
「タブレット対応は、Suicaに加え、今年中に追加で3ブランド対応予定です。タブレットのように、リッチクライアントの仕組みをつなげることができなかった上位機種の場合、弊社の仕組みは喜ばれています」(大高氏)
最近では、iPadを使った簡易POSの仕組みが登場しているため、その対応を予定している。また、タブレット端末については、筐体に内蔵のNFCリーダが搭載されているケースもあるが、「将来的に内蔵のNFCをリーダとして使えるようになると、電子マネー端末を接続することなく、タブレット1台で決済が可能になります。店舗の店員が可搬式のタブレットを持って、お客様の面前で決済できる環境が整えば、さらに便利になります」と期待を寄せる。
同社では今後もCCT、POS、タブレットと、各店舗のニーズにマッチした決済サービスを提供していきたいとしている。
CRMについてはNTTドコモの「モバイルマーケティングASP」に加え、ロイヤリティマーケティングが展開する共通ポイント「Ponta」と連携している。
CRMシステムの導入も進んでおり、すでにある導入企業ではリアルタイムのクーポンを提供しているそうだ。大高氏は、「電子マネーに加え、同じような料金モデルでクーポンなどのCRMサービスを利用できるメリットがあります。特にPOSの導入企業様は、将来的なCRMシステムまで考えて導入されるケースが多いため、今後はギフトカードや企業独自のポイントへの対応なども積極的に行っていきたいと考えています」と意気込みを見せる。
MasterCard PayPassやVisa payWaveへの対応を予定
現状の決済処理スピードは約1秒
現在は、MasterCardが推進する「MasterCard PayPass」やVISAが推進する「Visa payWave」への対応準備を進めている。すでに「UT1-Neo」でEMV Level1の認証を取得。来年度にはオプションとして提供していきたいとしている。シンクライアントのシステムを利用したMasterCard PayPassやVisa payWaveのサービスについても研究を進めているが、「現状のレギュレーションはリッチクライアント寄りの記載となっていますが、シンクライアント環境での利用も検証していきたいと思います」と大高氏は話す。
電子マネーの仕組みを利用したネット決済の提供については、「一般の生活者に違和感なくご利用いただけるかが普及のカギになると思います。市場は大きくなると思いますので、今後検討すべき重要な市場と捉えています」と話すように、直近での展開は考えていないようだ。
なお、現状の処理スピードは約1秒。処理の速度はリッチクライアント型の決済システムに比べると落ちるが、各加盟店で違和感なく利用されているという。また、同社のサービスで仮に決済処理が増えた際、サーバに処理ボードを追加するだけでブランドごとに低コストで柔軟に対応できる点もメリットとなっている。
年間5万台の設置を目指す
電子マネーに加え、売上がアップするプラスαを提供へ
将来的には、年間5万台のペースで端末を設置していきたいという。POS、CCT、タブレット、スマートフォン対応など、サービスが整ってきたこと、また成約件数が増えているため、アグレッシブな目標ではあるが実現可能と捉えている。
また、電子マネーを使ったら、利用者が便利になり、売り上げがアップするという事例を数多く構築していきたいとしている。大高氏は、「シンクライアントの場合、決済をした瞬間に端末やスマホに、メッセージやクーポンを送ることも可能です。今その場にいる人たちに対して、違和感を与えず、プラスαで喜んでもらえるサービスを構築する。電子マネーを導入することで、人が来る、売り上げがアップするシステムを追求していきたいと考えています」と力強く語った。