2014年9月16日8:00「iBeacon」活用のキャンペーンで見えた成果と課題は?
マピオンと大丸東京店は、2014年8月21日~9月9日まで、iOS7以降に搭載された近距離データ通信機能「iBeacon」を利用し、店舗内を探検するクイズキャンペーン「クイズたんけん!ねこしゃんQ大丸東京村」を実施した。iBeaconを活用した取り組みの成果と課題について話を聞いた。
利用者がエリアに入ると自動的にアプリが起動
各フロアの特定された場所を検知可能
マピオンと大丸東京店では、マピオンのモバイル位置情報ゲーム「ケータイ国盗り合戦」による店舗送客・購買促進キャンペーンを過去3回にわたり実施してきた。「クイズたんけん!ねこしゃんQ大丸東京村」は、これまでの展開と異なり、「Beaconを活用し、お客様に楽しんでもらいながら店舗を回遊していただく企画となります」と大丸松坂屋百貨店 本社営業本部 営業企画室 営業企画部 スタッフ 販売企画担当 仲村恭一氏は説明する。
大丸百貨店では、長く愛用してもらえる確かな商品、その作り手の思い、開発経緯などを紹介した『価値あるお買い物』から「mono語り(ものがたり)」という商品紹介コンテンツを展開している。同キャンペーンでは、2014年8月20日号の「mono語り」の特集テーマ「今眠りを変えて差がつく、健やかな秋&いち早く秋の味覚を楽しむ」と連動したクイズコンテンツを出題している。「mono語り」で紹介した商品の販売促進と認知度向上が目的となり、売り場を知ってもらうきっかけとしてゲームを取り入れたそうだ。
事前にアプリをダウンロードした国盗りユーザーは、大丸東京店1Fのゲームスタート用Beaconに近づくとクイズキャンペーンがスタート。iPhone4s以降、かつiOS7以降のスマートフォン利用者の場合、対象フロアの指定箇所に近づくと自動的にアプリが起動して、クイズが出題される。マピオン おでかけメディア事業部ブランディングGマネージャー五味菜歩氏は、「エリアの中に入ると、国盗りアプリ内でキャラクターがしゃべりながら案内を行います。iBeaconならではのゲーム演出にユーザー様にも楽しんで頂けたようです」と笑顔を見せる。仲村氏は、「館内の各フロアの特定された場所の情報を検知するのはGPSでは難しかったですが、iBeaconであればそれが可能になります」と活用のメリットを述べる。
たくさんのユーザーがサービスを体験
長い距離を確保できるが故の課題も
今回は実験を兼ねたキャンペーンであり、短期間の開催となったが、「結果としてはたくさんのお客様に来ていただきました」と五味氏は成果を口にする。マピオンと大丸東京店では、利用者にアンケートを実施したが、指定箇所に近づくとクイズが自動的に起動する点については、好意的な意見も多かったそうだ。
ただし、距離を確保できるBeaconならではの課題もあったという。今回は、Beaconに合わせたアプリを技術者が検証を重ねながら作り込んだ。Beaconセンサーはエレベーターの上部に設置。センサーから端末までの通信距離は10メートル程度に設定している。サービスを提供する上で特に苦労したのは機種依存がある点だ。例えば、同じiOSの機種であっても端末によって、センサーの前で反応しにくいこともある。また、ユーザーのスマートフォンのBluetooth機能がオンになっていないケースも見受けられた。
今後は大丸松坂屋各店舗やフロアごとの展開も検討へ
Beaconを活用し国盗りユーザーに行った先で新たな体験を提供へ
なお、各スポットでは、Beaconとスマートフォンの通信で利用者を検知する仕組みに加え、Androidなどのユーザーに向け、QRコードによる読み取りにも対応している。
大丸松坂屋百貨店 仲村氏は、「今回は、開催期間中にコンスタントにご来店していただく事例として手ごたえを感じている。今回の取り組みをブラッシュアップすることで、各店舗やフロアごとの展開も検討していきたいです」と今後の展開を口にする。
マピオンでは、新しい技術の研究を常に重ねており、積極的に取り入れてきた。マピオンおでかけメディア事業部 ケータイ国盗り合戦部 サービス企画G マネージャー 山本広樹氏は、「『ケータイ国盗り合戦』では、お出かけを楽しんでいただくことが中心でしたが、これからは行った先で楽しんでご利用いただく体験を提供していきたいです。Beacon自体もクーポンを配信する取り組みだけでなく、スマートフォンからプッシュすることもできるため、新たな利用方法を模索していきたい」としている。