2014年10月21日7:20
ヤフーは、自治体の課題解決や先進的な取り組みを紹介したイベント「地域活性化フォーラム」を全国主要5都市で開催した。7月11日の札幌を皮切りに、7月25日に福岡、8月8日に名古屋、9月12日に大阪で開催し、10月17日には最終となる東京で講演が行われた。
同イベントには国際ブランドのVisaが協賛しており、「Visaガバメントプログラム 徴収・調達・給付分野における決済の電子化と行政の効率化へのご提案」と題したスポンサーセッションを実施した。
冒頭挨拶したビザ・ワールドワイド取締役 次席代表 松田典久氏によると、日本は公共部門電子決済導入率で62カ国中、21位となっているそうだ。「日本再興戦略」改定版では、資金決済の高度化に向けた対応策として、「訪日外国人向けの利便性向上」「クレジットカード等を消費者が安全に利用できる環境整備」に加え、「公的分野の効率性向上の観点からの電子決済の利用拡大」が挙げられている。
中でも観光立国の実現は重要な分野で、政府は2013年の1,000万人から、2020年は2,000万人、2030年前に3,000万人の訪日外国人を目標として掲げており、旅行消費額も2030年には4.7兆円にしていきたい考えである。その際に、どのATMでも日本円が引き出せ、クレジットカードを利用して便利に買い物ができる環境の整備が重要であるとした。
続いて登壇したVisaマーチャントセールス&ソリューションディレクター 三浦恵美氏は、公金・税金分野におけるVisaのカード決済の取り組みについて紹介した。Visaでは、2005年以降、地方自治体の公金・税金分野のカード決済をサポートしている。例えば、2005年に藤沢市が軽自動車税、2006年に宮崎県が自動車税カード決済、2007年に三重県玉城町が各種税・料金収納を開始しているが、テレビCMや新聞広告の実施などにより、消費者の認知向上に努めている。
例えば、自動車税は2014年6月現在、21自治体がカード決済を導入。2014年には千葉県、神奈川県、静岡県、愛知県、三重県が加わり、その他にも複数の自治体が導入を検討している。
自動車税支払いのVisaのオーソリゼーションデータを見ると、リボ・分割払いでの利用が13.8%となっており、一般的な加盟店での支払い率よりも高い傾向にあるそうだ。また、日中だけでなく、夜間の利用も可能なため、消費者の利便性向上につながっているという。
Visaでは、自治体がカード決済を導入するメリットとして、“納付率の向上”を挙げる。実際、東京都や千葉県など、複数の自治体で納付率向上の成果が出ているそうだ。また、未納付の人への対応も含め、コスト削減などの業務の効率化にもつながるという。
次いで、Visa コマーシャルソリューション 部長 加藤靖士氏が、政府のカード調達のメリットについて紹介した。海外では、米国、英国、ブラジル、アルゼンチン、ルワンダ、オーストラリア、ニュージーランドなどで、政府のカード決済による調達が行われている。米国は州政府レベルで49のうち47の州で調達を行っているそうだ。
同氏は、カード調達のメリットとして、まずプロセスコストの削減を挙げた。米国GSAによると、連邦政府において2,500ドル以下の小額支払いは全支出の約2%しかないが、件数ベースでは約85%を占めるため、小額決済の権限委譲や業務処理の電子化により、効率化を実現できるとした。また、同時にバックオフィスの人員削減やより付加価値の高い業務へのリソースの配備が可能だ。さらに、カード決済による電子化により、年間購入額を組織横断的にデータ集計することで、納入先との価格交渉に活用できるとした。加えて、発注から所要期間の短縮も実現可能だ。
Visaでは、カードを活用した決済の電子化の推進により、公共部門・調達・給付の3分野において大きく効率化が生まれる余地があるとしている。
なお、「地域活性化フォーラム」の基調講演では、「Yahoo! JAPANが掲げる『地方創生』」と題し、ヤフー 代表取締役社長 宮坂学氏が講演。また、Yahoo!公金支払いやYahoo!官公庁オークションといったヤフーの自治体向けサービス、Yahoo! JAPANトップページの地域展開、ご当地eコマース革命で地域活性化、自治体や公共団体が持っている公共情報の活用など、ヤフーの地域活性化への取り組みについてのセッションも設けられた。そのほか、当日は総務省、公共イノベーション、北海道総合政策部、トラストバンクの講演も行われた。