2015年5月27日9:00動的な認証でペイメントカードの不正利用を防止セキュリティコードを可変させる新カードで加盟店の負担を軽減
NAGRA ID Securityは、国際ブランドのワンタイムパスワードカードを提供する企業の1つである。同社が製造するディスプレイカードを利用すれば、動的な認証でペイメントカードの不正利用を防止可能だ。NagraID Security マーケティングマネージャーのLaval LAW氏に同社の取り組みについて説明してもらった。
ディスプレイカードはバンキング、ノンバンクに分かれる
新カード発行により加盟店のシステム対応が不要に
――まずは、現状のディスプレイカードの発行状況をお聞かせください。Laval LAW:
現在は、ディスプレイカードは複数のセグメントに分かれており、大きくクレジットカード等のバンキング、それ以外のノンバンキングとなります。ノンバンキングは、エンタープライズ、DPN、コーポレート、バーアクセス、ID・パスポート、ドライビングライセンス、健康保険証などとなっております。
バンキングカードは、安全性が高まるため消費者側の受けは非常によいです。ただ、コストだけを見るとイシュア(カード発行企業)側が躊躇する場合もありますが、全体的に受け入れられていると思います。
――たとえば、シンガポールでは、2013年にシンガポールのスタンダードチャータード銀行がEMV取引も可能なディスプレイカードを導入されました。御社のワンタイムパスワードカードは、16桁のカード番号に加え、6桁の数字を利用されていますね。現在のアップデートについてお聞かせください。
Laval LAW:16桁のカード番号に6桁を追加する場合、計24桁となり、ウェブサイトを運営するマーチャント(加盟店)のサイトに手を加える必要がありました。3桁のセキュリティコードを可変させるカードを開発しましたが、こちらはマーチャントが何をしなくても自動的に処理が可能です。
――日本のAmazonや楽天は最初にクレジットカード番号を登録し、ワンクリックで商品を購入できますが、このカードでも可能ですか?
Laval LAW:このカードでは、最初にカード番号を登録すれば、ワンクリック決済が可能です。3桁のセキュリティコードを可変させる新カードは2014年12月にローンチしましたが、テクノロジーやシステムについてよくわからない方も含め評判がよく、引き合いがあります。
MasterCardの認定を取得
テスト期間中に500万のカード発行を目指す
――現在、認定を受けられている国際ブランドについてお聞かせください。また、契約したイシュアについてもお答えください。Laval LAW:
すでにMasterCardの認定は受けています。また、VisaおよびAmerican Expressとも交渉中です。すでに契約しているイシュアもありますが、スタートするまでのテスト期間が必要です。たとえば、フランスはこのカードを国全体として標準にしていきたいという希望を持っています。
――新カードの価格、また、販売目標についてお聞かせください。
Laval LAW:確かに通常のクレジットカードよりは発行コストは高いですが、安全性が高く、保険なども含めてトータルに考えれば、コストは削減できると考えています。カードについても有効期限までは確実に使えます。目標としては、テスト期間中に500万の発行を目指していますが、将来的にはすべてのカードがこの形態になればいいですね。
――アジア・パシフィックエリアの展開はいかがでしょうか?
Laval LAW:シンガポールにおいて、16桁+6桁のカードが発行されていますが、セキュリティコードが可変するタイプはまだローンチされていませんので、これから広めていきたいです。現状、日本の市場には進出していませんが、チャンスがあれば出ていきたいですね。
――ノンバンキングの取り組みについてお聞かせください。
Laval LAW:ノンバンキングカードとしては、HID、VASCO(バスコ)、ベリサイン、シマンテックなどが取引先となります。キーフォブの場合、持ち運びが大変ですが、カード型は財布に入れて持ち歩けるので便利です。ノンバンキングは、スイスエアライン、PayPal(ペイパル)、コナミ、eBay(イーベイ)などで採用されています。
※取材はシンガポールで4月22日、23日に開催された「Cards & Payments Asia」のNAGRA ID Securityのブースにて