2014年1月16日8:00
カード決済を保護するディスプレイカードは着実に広がる
動的な認証でペイメントカードの不正利用を防止する動きが着実に広がっている。海外では国際ブランドのVisaやMasterCard等がワンタイムパスワードを展開する動きが活発になっており、数年前からカードの券面にディスプレイが入ったワンタイムパスワードカードのPRを積極的に行っている。NAGRAID Securityは、VisaやMasterCardブランドのワンタイムパスワードカードを提供する企業の1つである。今回は、マーケティングマネージャーのLaval LAW氏に同社の取り組みについて説明してもらった。
――貴社のカードの券面にディスプレイが入ったワンタイムパスワードカードのビジネスにおける立ち位置についてお聞かせください。
Laval LAW:我々はワンタイムパスワードカードの製造会社になります。直接弊社から発行会社に販売するわけではなくインテグレータを通してイシュアに販売しています。簡単に言うとOEMの形をとっています。VisaとMasterCardは私たちの会社のカードを使うことを認定して、発行者からカードが出る流れとなります。
――すでに世界で普及は進んでいるのでしょうか?
Laval LAW:弊社のワンタイムパスワードカードはVisaとMasterCardから認定されて市場で発行がスタートしています。現地のイシュアから200~300万枚が毎年出荷されています。
――カードの価格面についてはいかがでしょうか?
Laval LAW:当然、通常のカードよりも高くなります。ただし、全体的なコストを考える必要があると思います。確かに見た目は高く見えるかもしれませんが、フルフィルメントなど、他の業務にかかるコストを考えると実際のコストはそれほど大きいものではありません。
お客様の観点からすると、米国や欧州でコストを負担して使っていただく場合、支払う額はトータルで考えるとそれほど大きくはなりません。これはMasterCardの調査でも明らかになっています。例えば、このカードは、どのくらいの残高があるのかをカードのディスプレイで確認できます。お客様がカードを使おうとしたときにそれが使えない場合、電話による問い合わせが必要ですが、それを省くことができます。また、オペレーターのコストなども必要となるため、コストはカバーできると考えています。
――例えば、ディスプレイ上で16ケタの番号をチェンジする仕組みは提供しているのでしょうか?
Laval LAW:弊社のカードでは、16ケタの数がある代わりに6桁の数を使っています。セキュリティコードが自動で切り替わります。16ケタの番号を変えるとややこしくなり、セキュリティコードの方が簡単です。例えば、カードが盗まれた場合、同じカードの番号でセキュリティコードを変更して再発行可能です。また、1日ごと、1週間ごとなど、利用者本人がプログラミングを行うことができます。
――実際に本格的な普及はどのタイミングで訪れるのでしょうか?
Laval LAW:すでに始まっています。2013年はシンガポールのスタンダードチャータード銀行がEMV決済も可能なカードを大規模に導入しました。そのカードについてはキーパッドも付帯しています。カードは、小さいので財布の中に入れられるので便利です。
――現状のマーケットシェアと目標についてはいかがでしょうか?
Laval LAW:現状、ディスプレイカードに関しては95%のシェアがあると思います。将来的にはすべてのスマートカードがこうしたものになっていくと期待しています。
――日本での展開についてはいかがでしょうか?
Laval LAW:日本は技術の進展は早いと思いますが、カードのビジネスはゆっくりとした形で展開していくべきものだと考えています。日本のお客様は新しいことをすぐに始めてしまう傾向にあります。日本ではスマートフォンを利用した仕組みが登場していますが、例えばこのカードを使うことによってスマートフォンを保護することもできるため、こうした技術は日本で受け入れられると思います。
※取材は「CARTES 2013」会場にて