2015年9月15日9:55
EMVやPCI PTS4.0に準拠し、各種海外発行カードにも対応
セルフレジ、タブレットを活用した接客ソリューションも投入
日本NCRは、2015年9月11日に記者会見を開催し、「金融」「流通」向け製品の国内発売を開始した。同社では、シンクライアント型のキャッシュ・ディスペンサー「NCR Cx110キャッシュ・ディスペンサー(Cx110)」を公開。また、省スペースな設置が可能で、高い拡張性も特徴の「NCR セルフレジ スリム」、商品登録を販売員が行い、顧客自身で決済を行うチェックアウト方式のソリューション「NCR セミセルフソリューション」、顧客一人ひとりのニーズに対応するための接客サービスをサポートするソリューション「NCR Sales Advisor (セールスアドバイザー)」の流通向けソリューションの販売も開始した。
ATMは「NCR Kalpana」を搭載
金融分野に強いNTTデータと提携
日本NCRは、2015年に創業95年を迎える企業である。2020年の東京五輪に向け、日本NCR代表取締役社長 内藤眞氏は、「オムニチャネル」、「インバウンド需要」、「セキュリティの強化」、「消費者のニーズの多様性への対応」、「人手不足への対応」といった市場のニーズに応えていきたいとしている。
新たに国内に投入する「NCR Cx110キャッシュ・ディスペンサー(Cx110)」は、「世界初のシンクライアント型ATM」である点が特徴だ。NCRが開発したエンタープライズソフトウエア「NCR Kalpana(カルパナ)」を搭載。ATMで初の完全シンクライアント化の採用により、ソフトウェア構成の簡素化や軽量化、セキュリティ強化やメンテナンスの容易性、運用面の簡略化を実現するという。OSはAndroidを採用している。
また、国内・海外カード同時対応(JISII読み取り、ISOトラック1、2読み取り、ICチップ対応)である点が特徴となる。金融機関、コンビニスストア、空港、ホテルなど、海外対応ATMとしてさまざまな場所への設置を想定している。
さらに、PCI PTS 4.0に対応。PCI PTS(TR-31)に基づいたリモートキーの更新により、将来的に更新されるPCI基準の必須項目にも対応できるとしている。加えて、EMV(Europay, Mastercard, Visaが定めた決済の国際仕様)にも準拠している。
なお、現在、日本はATMの国別の設置数は、国別で第三位となり、一位は中国で60万台、北米が44万台となっている。現状、国内でのNCRの実績はまだないが「置き換えサイクルは5年から10年で大きなオプチュニティが存在します」と、NCRコーポレーション 金融サービス シニアヴァイスプレジデント ジョアオ・ペレス氏は話す。実際、海外の各種機関の評価も高いという。競争上の優位性としては、スマートフォンを使ったデジタル&オムニチャネルに対応していること、営業店業務を軽量化できることを挙げている。
国内での販売に向けては、NTTデータの協力を得て、日本の金融機関の支援をしていく方針だ。
省スペースなセルフレジを投入
「おもてなし」を提供する接客支援ツールも開始
「NCR セルフレジ スリム」は、セルフレジを、コンパクトな専用筐体に組み込んだ省スペース型セルフレジとなる。スキャナー、POSプリンタ、クレジットカードなどの読み取り機能を備えており、耐久性や操作性の高いタッチパネル機能を装備している。セルフレジの設置が難しかった店舗や売場、またさまざまな業態で利用可能だ。POS担当者による商品スキャンと、顧客による自動販売機感覚の会計が特徴となる。
また、「NCR セミセルフソリューション」では、店舗やそれぞれの売り場特性に合わせて、最適なチェックアウトソリューションを提供する。
「NCR Sales Advisor (セールスアドバイザー)」は、一人一人の顧客に「ショッピング」を通じて「おもてなし体験」を提供する、売り場スタッフのための支援ツールとなる。チェックアウト機能を利用しての決済も可能だ。POS決済機能との連携により、接客から決済までをシームレスに支援できるそうだ。バックエンドソリューションとの高い接続性を有しているという。
NCRコーポレーション流通サービス ゼネラルマネージャー ダスティー・ラッツ氏によると、販売員は簡単に顧客の情報を閲覧して、接客に利用することができる。過去の購買情報、個のみのサイズや商品、カラーなどを参照できる。また、レコメンデーションをリスト化してお勧め情報として紹介できるそうだ。