2015年9月30日8:00
フェリカネットワークスは、非接触ICカード技術「FeliCa」を用いた携帯電話向けの「モバイルFeliCa ICチップ」を中心とする「おサイフケータイ」を社会基盤とすべく2004年1月に 設立された企業である。おサイフケータイサービス導入から11年目を迎え、2020年に向け、新たなステージを目指すべく、ユーザーと直接的に接点を持てるスマートフォン向けのサービス(アプリケーション)を相次いで投入。おサイフケータイサービスの利用者および利用企業のさらなる拡大を目指している。
コンセプトは“ユーザーシフト”
おサイフケータイの新たな利用シーン創出を目指す
フェリカネットワークスは、これまで多種多様な企業へおサイフケータイサービスの提供を行ってきた技術や経験、ネットワークをベースとして、2015年、企業とユーザーを“つなげる”ためのサービスプラットフォームの構築という新しいテーマに取り組んでいる。
すでに、2月末に企業と情報と人をつなげるスケジューラーアプリ「つなガレ!」、6月中旬に実店舗やECショップのクーポン・セール等のおトク情報まとめアプリ「PREAL(プレアル)」、さらに、先月8月初旬におサイフケータイ電子マネーを利用して、電子マネーに交換可能なポイントを獲得できるアプリ「ラッキータッチ」をリリース。
3つのサービスの共通となるコンセプトは“ユーザーシフト”だ。従来、フェリカネットワークスが本業としているプラットフォームビジネスでは、おサイフケータイの領域を各事業者に提供し、事業者がサービスフロントの役割を担っている。昨今、モバイルデバイスのメインが「スマートフォン」へとシフトする中で、ユーザーはアプリ形式で数多くのサービスを自由に選択できる状況となった。結果として、事業者はサービスを通じユーザーとの関係維持することに日々苦労しているという。フェリカネットワークス プロダクト&サービス部長 竹下直孝氏は、「フェリカネットワークス自らがユーザーに近い位置で新しいサービスプラットフォームを提供し、各社が持つサービス・コンテンツとユーザーをマッチングすることで、おサイフケータイの利用を活性化させることを目指しています」と説明する。
3つの”つながる”を提供する「つなガレ!」
生活者目線のスケジューラーを提供
第一弾として投入した「つなガレ!」は、スマートフォンユーザーの利用頻度が高いアプリケーションであるスケジューラーに、おサイフケータイを活用した企業向けソリューションサービスのノウハウ、技術を組み合わせて開発した情報配信プラットフォームとなる。「スマートフォンのアプリは数多くありますが、メモ帳やカレンダーアプリは利用率が高い傾向にあるため、スケジューラーをビジネスプラットフォームにできないかと考えました」(竹下氏)
「つなガレ!」では、“情報”“人”“物”の3つを基軸として情報を配信。生活者目線で使いやすいインターフェースを意識している。スケジューラーに加え、企業が生活者に届けたい情報を、生活者のスケジューラーアプリ上にタイムリーに提供。また、その情報を受け取った生活者に友人と簡単に楽しくシェアしてもらえる機能を搭載するなど、SNSとの連携を実現している。すでに、30社以上と提携し、つなガレ!上で各社の情報チャネルを開設。一部の店舗では、レジに設置されたパネルにおサイフケータイをタッチすると、店舗の情報がスケジューラーのお気に入りに配信する取り組みも行っており、おサイフケータイとの連携も進んでいる。
実店舗やECショップのクーポン・セール等のおトク情報まとめアプリ「PREAL(プレアル)」
回数券やシリアル管理機能の提供など、企業ニーズに応じた多彩な配信機能を提供
第二弾としてリリースした「PREAL」は、「おトク」を届けるがコンセプトのおトクキュレーションアプリとなる。「掲載企業は順調に増えており、利用率も出だしとしては好調です。今後は、あらゆる層のユーザーが日常的に使いたいと思ってもらえるように、コンテンツのカバレッジを広げ、かつ、便利機能も提供していきたいと考えています」と竹下氏は成果と展望を口にする。「PREAL」は、主要なSNSやメールと連携し、簡単にクーポン等を友達や家族に受け渡し(共有)できる「ソーシャギフト機能」を実装しているそうだ。
「『FeliCa Connect』では、先着500名様に、PREALのプラットフォームを利用してコーヒーの無料券を提供する取り組みを行います。ブース係員が持つおサイフケータイとハンドオーバーするだけで、アプリ上に無料券が表示され、そのまま利用することができるという仕組みです。今後は、回数券やシリアル管理機能の提供など、企業ニーズに応じた機能開発を行って参ります。特に、有料チケットを販売する際には、高額になると不正利用対策は必須であり、FeliCaと組み合わせたソリューションの提供は有効だと考えています」(竹下氏)
電子マネーに交換可能なポイントを獲得できる「ラッキータッチ」
「楽天Edy」、「nanacoモバイル」、「モバイルSuica」に対応
先月8月4日には、第三弾として、おサイフケータイのキラーコンテンツである電子マネーと連携した「ラッキータッチ」をリリース。「ラッキータッチ」は、Androidスマートフォン向けアプリケーションとして利用者に無償で提供している。利用者は、おサイフケータイで電子マネーを使うとミニゲームに参加することができ、当選すると各種電子マネーに交換可能なポイントを獲得することができる。
現時点では、プリペイド型電子マネー「楽天Edy」、「nanacoモバイル」、「モバイルSuica」に対応。特徴として、各電子マネーサービスのポイントプログラムとの直接データ連携を可能にすることで、複数の異なる電子マネーのポイント還元を1つのアプリで実現することが可能だ。また、従来の抽選サービス・キャンペーンサービスでは、ポイントを獲得する手段としてコード入力などをその都度行う必要があったが、「ラッキータッチ」ではゲームの参加条件である電子マネー利用有無をFeliCaチップより自動判定し、ポイントを還元するユーザーの電子マネー番号を自動取得できるという。
「ゲームで楽しくポイントを獲得できるアプリを提供することで、すでにおサイフケータイを利用されている方はもちろん、これまで使ったことのない方にもこれをきっかけにおサイフケータイをご利用いただきたいです」(竹下氏)
今後は、ポストペイ型電子マネー、ハウスマネー等などへの対象の拡大も予定している。
さらなる新サービスのリリース、各サービス間での連携を積極的に進めていく
おサイフケータイの参画企業、ユーザーともに倍増を目指す
竹下氏は、「FeliCa Connect 2015 では、導入済みの3サービスのご紹介と共に、参考出品として、次の新サービスのコアとなる技術についても参考展示をしております。また、現状は1つ1つのサービスが独立していますが、今後は相互に連携をしながらユーザーの視点で、複数の企業様のサービスやコンテンツをより有機的に利用できる環境を構築していきます。おサイフケータイは、多種多様な領域の企業に採用されていますが、ユーザーあたりの利用でみると特定サービスの利用で留まっているケースも少なくありません。よって、既存プラットフォームと新たなサービスプラットフォームを組み合わせて、モバイルの最大の特長であるマルチアプリケーションを推進したい」と意気込みを見せる。今後は、「おサイフケータイのみならずカードユーザーを含めて、FeliCa全体のお客様にサービスを提供できるように、あらゆる方向から様々な施策に取り組んでいきたい」と構想を口にする。
世界に先駆けて、モバイルをかざす文化を定着させたフェリカネットワークスの次なる展開が楽しみだ。
■お問い合わせ先
フェリカネットワークス株式会社
http://www.felicanetworks.co.jp/contact/form.html