2015年10月13日8:00
FeliCa Lite-SにIDを紐づけて会場での支払いをキャッシュレスに
リクルートホールディングス(以下:リクルート)では、リクルートIDとIDに登録済みのクレジットカードで決済ができる『リクルートかんたん支払い』を提供しているが、2015年7月4日・5日に京都府立山城総合運動公園太陽が丘特設野外ステージで開催された野外音楽フェスティバル「京都大作戦2015~いっ祭 がっ祭 感じな祭!~MISSION IMPOSSIBLE-KYOTO 2015~Feel the vibe!~」において、非接触ICカード「FeliCa Lite-S」と紐づけて、会場内でのライブグッズの購入や飲食ブースでの支払いなどに役立てる取り組みを行った。
会場内を手ぶらで楽しむことが可能に
支払いではカードをかざして4桁のPINを入力
京都大作戦2015では、ライブ入場者全員に送付される、エブリィ・エンタテインメントが発行する入場券と会場でのクローク札機能を持つ非接触ICカードを配布。同カードを利用すれば、来場から、クロークでの荷物の預け入れ、イベント会場内での決済まで、1枚で利用可能となった。そのうち、リクルートでは、会場内での決済部分を提供。イベント会場内では9割型の店舗で『リクルートかんたん支払い』が利用できたそうだ。
『リクルートかんたん支払い』は、チェックアウトの支払いサービスであり、従来はWeb上での決済に限定されてきた。今回、クレジットカード情報が登録されたリクルートIDと支払いの前に紐づけてもらうことで、会場内でのグッズの購入や飲食ブースでの支払いに利用可能となった。リクルートホールディングス 事業本部ID戦略IDサービス開発室 リクルートかんたん支払い プロデューサー 石川綾氏は、「マーケットの不を解消したいという想いから発想し、このカード1枚で、会場内でお財布を持たずに安心して、気軽に、便利にライブを楽しめることを意識しました」と説明する。
利用者は、事前にクレジットカード情報を登録し、会場でカードをかざした際に入力する4桁のPIN番号を設定する。また、送られたチケットに記載されている10桁の番号を入力し、登録を完了。その後、すでに保有しているリクルートポイントの利用可否を選択する流れとなる。石川氏は、「想定以上にリクルートポイントをお使いになられる方が多かったです」と話す。
今回、レジにはリクルートが展開する無料のPOSレジアプリ『Airレジ』を使用した。利用者は決済金額を確認し、ソニーの「PaSoRi」にかざしてから4桁のPINコードを入力すれば支払いが完了。AirレジとPaSoRiとは、Bluetoothで連携している。
「FeliCa Lite-Sでのお支払いということで、PINコードの入力をしていただいたことが、セキュリティ面での担保になりました」(石川氏)
半数程度が会場で『リクルートかんたん支払い』を利用
支払い単価は現金よりも10%程度アップ
京都大作戦には、2日で延べ4万人が来場したが、半数弱が『リクルートかんたん支払い』を利用した。また、『Airレジ』は100台程度設置したが、特に大きな問題もなく運用できたそうだ。今回はチケット購入の段階から、リクルートかんたん支払い、コンビニ支払い、Pay-easyに限定。券売当初からオフラインの取り組みを念頭においていたことも利用率の伸びにつながった。また、利用を促進させるため、会場内で『リクルートかんたん支払い』を利用した人には抽選でグッズをプレゼントしたそうだ。
京都大作戦2015のようなイベントの場合、会場は駅から離れていることが多く、会場に到着する前に使用金額を決定している人が多いが、「事前にチャージする電子マネーではなく、クレジットカードと紐づいた決済手段だったため、手持ちの現金を意識することなく、会場内での支払いが可能な点も特徴です」と石川氏は口にする。たとえば、物販での購入の平均単価は、現金よりも10%ほど高かったという。なお、1回あたりの上限金額は3万円に設定しており、高額な買い物の場合は複数回に分けて決済した人もいると予想されるため、実際の購入単価はさらに高い数字となっているそうだ。
課題としては、初めての運用のため、スタッフを多く配置しすぎていた点が挙げられるが、「システム面での不安はなくなりました」と石川氏は自信を見せる。今後は、今回の仕組みを生かし、他のイベントにも活用を広げていきたいとしている。