2015年10月16日8:00
周辺のお出かけ情報にスマホをかざすだけでアクセス可能
ぐるなびと東京メトロは、東京メトロの駅出入口案内看板にNFC対応ステッカーを設置し、沿線地域の商店街などと協力した周辺おでかけ情報を発信している。サービスから約2年が経過したが、当初の想定以上にNFC対応ステッカーをタッチする人が多いそうだ。
「レッツエンジョイ東京」の現在地に近い情報を表示
QR単独で実施していた時よりもタッチ数が増加
ぐるなびと東京メトロがNFC対応ステッカーの設置を開始したのは2013年10月1日。それまで、駅出入口の案内看板にはQRコードのステッカーを貼っていたが、より多くの人に利用してもらうため、NFCとQRコードを併用したステッカーに切り替えた。現在、一都三県で135駅、1,429箇所にタッチポイントを設置しているという。
ぐるなびと東京メトロでは、東京のおでかけ情報サイト「レッツエンジョイ東京」を共同で運営しており、一都三県の26万スポットの情報を掲載している。そのうち公園や施設など、それ以外の14万スポットの情報を掲載。さらに、月間3万件の投稿情報、観光やイベント情報などが表示される(12万件の飲食データはぐるなびのデータを活用)。利用者は、NFC対応ステッカーにスマートフォンをかざすと、駅出口周辺の地図、沿線地域の観光・イベント情報、スポット情報、口コミ情報などの閲覧が可能となる。
「駅出入口案内看板のステッカーにNFC対応スマートフォンをかざすと、『レッツエンジョイ東京』のWebサイトの中から、現在地に近いスポットが表示されます。ユーザーからすると、NFCスマートフォンであれば、アプリを立ち上げることなく、タッチすればそのまま近隣の情報を閲覧できます。QR単独で実施していた時よりもタッチ数が伸びており、成果を感じています」(ぐるなび 企画開発本部 Let’s事業推進部門 統括次長 加藤洋平氏)
案内看板は駅の出口付近にあるが、駅から若干遠い目的地を目指す人は、よりタッチされる傾向にある。たとえば、東陽町駅では、職業安定所まで若干の距離があるが、そこを調べる目的でタッチされることが多いとわかった。また、池袋駅でも、サンシャインシティなどを調べている人が多かったそうだ。さらに、季節要因によってかざされる回数が増えるスポットもあり、桜の季節を迎えると、半蔵門駅の千鳥ヶ淵方面の出口のタッチ数が増えるという。
観光地では外国人の利用者も目立つ
地域活性化のツールとしての活用も
また外国人旅行者への利便性向上施策として、NFC対応ステッカーの設置を開始すると同時に、同サービスの多言語配信(英語・中国語・韓国語)を開始。外国人の利用者の傾向として、秋葉原、築地、六本木、浅草といった、観光スポットでかざされる機会が多いことがわかった。加藤氏は、「外国人の方がNFCスマートフォンでステッカーにタッチすると、言語設定でページが切り替わりますが、秋葉原駅などは、その遷移が非常に多いです。また、NFC機能を利用される方の多さも目立ちます」と説明する。
NFC対応ステッカーは、駅によって貼られている枚数が異なり、メトロの出口が多い銀座は52枚、大手町は70枚のタグが添付されている。秋葉原は7枚のみとなっているが、同駅でも特定箇所のタッチ数が非常に多いそうだ。
なお、NFC対応ステッカーに利用されているICチップはソニーの「FeliCa Lite-S」を利用している。ソニーから台湾の工場を紹介してもらい、そこからチップを仕入れているそうだ。
加藤氏は、「NFC対応後の成果は感じていますが、駅から目的地を目指す人へのサービスとして、さらにコンテンツを充実させるとともに、2020年に向け多言語化も進めていきたいです。また、地域のお祭りなど、地域活性化のツールとして役立てていきたいですね」と語り、笑顔を見せた。
NFC対応ステッカーから得られた情報は、位置情報や認証データとなるため、季節変動や訪日外国人の動向など、ビッグデータを閲覧することにより、より便利なサービスの提供に向けて役立てていきたいとしている。