2015年10月27日8:00
モバイルペイメントはHCEへの移行を視野に
オリエントコーポレーション(オリコ)は、他社に先駆けて「MasterCard Contactless (旧名称PayPass)」の加盟店向けサービスや近距離無線通信の国際標準規格である「NFC」の実証実験を行ってきた。同社では、2013年4月から、従来のMasterCard Contactless に加え、Visaが提供する非接触IC型決済ソリューション「Visa payWave」の発行を開始。2013年12月からは、「Orico Mobile Visa payWave(オリコモバイル Visa ペイウェーブ)」の運用を開始した。
オリコでは、当時からモバイルを活用した決済の可能性を感じて、積極的な展開を行ってきた。たとえば、MasterCardとNTTドコモが推進する「iD/PayPass」については、「国内で便利に使えるiDを海外でそのまま使えるのは魅力に感じます」とオリエントコーポレーション カード推進グループ CRM開発推進部長 桶谷浩二氏は話す。
また、国内でもiDとQUICPayの両機能をカードに搭載するなど、ユニークな取り組みを展開しているが、「機能を利用されている会員の稼働率は高い傾向にあります」と桶谷氏は成果を口にする。
国内では千葉の複合商業施設などに、MasterCard Contactlessが利用できる環境の整備を行い、提携カードを発行しているが、「ハウスカードのようにMasterCard Contactlessが利用できる加盟店での利用では成果を感じています」と同部 課長 島田武明氏は話す。
また、国際ブランドの非接触決済サービスを搭載した「OricoCard PayPass」、「OricoCard Visa payWave」を発行。国内はもちろん海外でも、便利に利用してもらえるように取り組んでいるが、国内での加盟店はほとんどなく、利用は限定されるため、稼働率が課題となっているそうだ。
国内で最初の商用NFCサービスとなったOrico Mobile Visa payWaveについては、今後の成長も見込んでローンチに至ったという。サービス開始に向けては、「おサイフケータイ」によるモバイルサービスを提供した時のノウハウがあったこと、古くから研究を進めていたため、運用面では大きな苦労はなかったそうだ。
Orico Mobile Visa payWaveは、凸版印刷が、海外で実績豊富なSP-TSMを使いシステムを運用している。現状のモバイル対応のコストについては、「おサイフケータイ」でのカード発行時と比べて、それほど大きな差はないそうだ。
今後のMasterCard ContactlessおよびVisa payWaveの展開については、提携カードとセットで加盟店開拓を進めれば、相乗効果で利用されると期待している。また、モバイルでの発行に関しては、「『HCE(Host Card Emulation)』をベースとしたモバイルペイメントへの移行を視野に入れている」と島田氏は構想を語った。