2015年11月5日8:30
ジェーシービー(JCB)は、カード発行、加盟店、ブランド、プロセシングという4事業を保有する独自性により、マザーマーケットである日本での存在感№1を目指している。「第14回JCB世界大会」では、2020年東京五輪に向けた環境変化と地方創生に平仄を合わせて、特に強化して取り組んでいるキャッシュレス化のさらなる促進、および域内購買促進策とインバウンド施策による地域活性化施策について、ジェーシービー 代表取締役兼専務執行役員 前田 泰裕氏が紹介した。
ブランドデビットによるキャッシュレス化のさらなる促進
まずキャッシュレス化の取り組みとして、日本では即時払い式の「デビット」と前払い式の「プリペイド」を合わせてもいまだに民間最終消費支出に占めるカード決済の比率は18.5%と2割に満たない状況となっている。これは米国の3分1程度の数字であり、成長ポテンシャルは高いと考える。
現在、日本国内では一人当たり3枚のクレジットカードを保有している。ただし、未成年のように“クレジットカードを持てない層”、主婦・高齢者などで“クレジットを持たない層・使わない層”が存在する。JCBではこれらの人々のニーズに応えるべく「JCBデビット」をリリースした。
クレジットとデビットの職業別シェアを比較すると、デビットはクレジットと比較して学生、主婦、年金生活者の占める割合が高く、“クレジットを持たない層・使わない層”を取り込んでいる。また、実際にデビットを利用している業種を見るとスーパーマーケットやコンビニエンスストアなど、日常業種でクレジットよりも多く利用される傾向にある。これらの理由からデビットは、クレジットを補完した会員基盤拡大に貢献し、日常の決済シーンにキャッシュレス化をもたらす大きなソリューションであると考えている。現在、JCBデビットは4行(千葉銀行、大垣共立銀行、北洋銀行、楽天銀行)から発行されている。
プリペイドカードのプロダクトも用意
また、日本ではプリペイドカードが急速に普及しているが、今後提携型のブランドプリペイド、政府の給付金活用などによる一層の市場拡大が見込まれる。現在、4,000億円程度のプリペイドカードの国内市場予測は、2020年には3倍以上の1兆4,500億円に成長する見込みだ。これを踏まえ、2015年より、JCB既存加盟店で利用可能な「JCBブランドプリペイド」と、独自性の高い企業ニーズに対応可能な「JCB PREMO」の2つの商品をラインアップするとともに、ハウスプリペイドカードの発行受託も行っている。会員属性の取り扱い、ギフト用途などのニーズに幅広く応え、柔軟性と対応力に優位性を有している。また、プリペイドカードと合わせてのポイント付与、購買データのマーケティング活用など、発行体のニーズにきめ細かく応えることが評価され、足元の提携事例が増加している。
すでに、ブランドプリペイドはコメリキャピタルなどで採用されている。また、JCB PREMOに関しては、贈答用の一般券種に加え、ベガルタ仙台のファン向けカードのように、特別な券種も用意している。2015年8月には、大阪府に地域住民生活等緊急支援のための交付金支給において、対象者へ「おおさかもずやんカード」を発行した。ハウスプリペイドについては、全国にコメダ珈琲店を展開するコメダに加え、この冬には日本ケンタッキー・フライド・チキンからの発行受託を予定している。
このように、クレジット、デビット、プリペイドの普及によるキャッシュレス化の進展を通じて、会員、加盟店に決済シーンにおける利便性を提供する方針だ。また、ポイントを付与することにより、持続性の訴求、決済により蓄積される購買情報を活用することで、新たに会員を加盟店に送客する仕組みを生み出し、さらなる購買活動につなげることができる。