域内購買促進による地域活性化
地域活性化への取り組みとしては、顧客のニーズに応じた多様なプロダクトの推進を強化し、キャッシュレス化決済を活用することにより、国内各地域の域内購買、海外からの訪日観光客による購買を促進していきたい。
域内購買促進については、「イマレコ!(IMA-RECOMMEND!)」と「エリアカード」が挙げられる。「イマレコ!」とは、会員のカード利用に応じて発生するオーソリゼーションのデータを活用し、会員の情報と所在地域の加盟店のお得な情報をマッチングする。そして、会員のモバイル端末にお得な情報を配信することにより、会員を加盟店に送客するリアルタイムマーケティングの仕組みとなる。JCBでは、2014年10月から半年間、新宿地区の主要百貨店、専門店、飲食店の協力を得て、1万人の会員のエントリーにより実験を行った。実験を通じて得られた結果に改善を加え、2016年度中に札幌、福岡を候補地としたセカンドトライアルを行う予定だ。そして、将来的には完成度を高め、全国各地での展開を目指していきたい。
「エリアカード」は、カード利用で生じたポイントの地産地消により、エリアカード会員である地域消費者と地域優待加盟店双方のメリットを訴求する域内消費の循環モデルとなる。具体的には、加盟店からポイント優待や特典を提供してもらい、地域会員に限定した優待店になってもらう。次に会員がカード利用で貯めたポイントを優待店に設置したポイント即時交換機を用いて地域商品券に交換することで、さらなる送客効果を創出するものとなる。すでにエリアカードは全国10行の金融機関に導入されており、地域百貨店、スーパー等、日常利用業種を中心に全国の地域優待店は6,000店舗まで拡大した。
インバウンドは現地からの送客、国内での受入態勢整備を強化
これらの域内購買促進策に注力するとともに、訪日観光客によるインバウンド消費の促進による地域活性化にも注力する。アジア圏を中心としたJCBブランド会員の拡大を背景に、海外においては金融機関や旅行代理店のチャネルを活用した送客に力を入れている。また、国内においては訪日観光客のニーズを捉えた日本ならでは、JCBならではのサービス構築に取り組んでいる。海外でのプロモーションと国内でのサービス構築の双方を行うことで、シナジー効果を創出していくことができる。
まず、海外での取り組みについては、金融機関のチャネルを活用した現地会員への情報発信と、現地で協業している旅行代理店のチャネルを活用した、訪日意向のある人への情報発信を展開している。日本の優待店を紹介した冊子の店頭配布、ウェブを活用したプロモーションに力を入れている。
2014年は世界規模のコンテンツである「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」をオープンしたユニバーサル・スタジオ・ジャパンと協業で、アジア圏の旅行会社とタイアップした優待ツアーを実施した。
中部エリアでは、2013年度から3年連続で、国土交通省中部運輸局および中部広域観光推進協議会と協働し、「昇龍道プロジェクト」の一環として、台湾、韓国、香港のJCB会員を日本へ誘致する取り組みを行った。
また、インバウンドによる地域活性化では、従来の日本観光では東京から大阪のゴールデンルート、および北海道が主流だが、今後、大都市部だけでは急増する訪日観光客を吸収するのは困難となる。受け入れ態勢強化の事例として、煩雑な免税店での手続きを簡素化する「J-Tax Freeシステム(JTFシステム)」をジェイティービー(JTB)との合弁会社であるJ&J事業創造と開発し、多くの免税店に利用してもらっている。8%の税額をフルに顧客に還元する独自のスキームが高く評価され、現在、端末設置台数では国内最大のシェアを獲得している。
また、JCBブランドのみならず、American Express、Discover、Diners、銀聯のアクワイアリングに関しても行い、他ブランドの利用整備にも取り組んでいる。
そのほか、JCBカード会員だからこそ享受できるメリットを提供すべく、2014年7月より東京タワーの大展望台が無料で入場できるサービスを開始するとともに、全日本タワー協議会と連携し、全国9カ所のタワーに無料で入場できるサービスも2015年8月から開始している。このほかに、有楽町に続き、国内2カ所目の施設として2015年4月に京都駅ビル内に海外発行会員向け施設「JCB PLAZA Kyoto」を開設した。海外すべてのJCB会員に喜んでもらえるよう、受け入れ態勢を整備・強化している。
マザーマーケットである日本における存在感№1を目指す
JCBでは、クレジット、デビット、プリペイドといった商品を通じて、各地域の会員・加盟店に付加価値を提供し、加えてインバウンドという大きなモメンタムに対応することで地域経済の活性化を創出し、日本経済全体を軌道に乗せていきたいと考えている。また、マザーマーケットである日本における存在感№1を確立し、パートナーがJCBを推進するメリットを感じてもらえるように全力で努力していく方針だ。
JCBは日本で生まれた唯一の国際ブランドとして、海外、日本それぞれでパートナーに貢献し、新たな時代に新たな価値を提供していくことを約束したい。