2016年3月7日8:02
デジタルコンテンツに加え、サービスや金融の商材などの品揃えも広がる
POSレジで支払いが完了した時点で対象のカードを有効化する技術である「POSA(Point Of Sales Activation)」。コンビニエンスストア、スーパーマーケット、家電量販店などにおいて、前払い式のギフト・プリペイドカード製品の販売方法を大幅に改善するとともに、製品を購入する消費者のプロセスを簡素化する技術としてすっかり定着した。これまでは、デジタルコンテンツ、ソフトウェア、アプリへの課金の販売を中心に広がりを見せていたが、ギフトカード需要など新たな展開を見据えている。
消費者の認知度は50%まで高まる
スーパーマーケットやドラッグストアの販路が広がる
大手流通店舗においてカードを陳列することで、決済手段に加え、プロモーション手段としてもすっかり定着したインコム・ジャパンのPOSAカード。POSレジで有効化した時点でカードがはじめて利用できるため、販売店は在庫や盗難等のリスクを解決し、効率的なオペレーションの実現が可能だ。購入者にとってもPOSAカードにより、プリペイドカードを手にする機会が増えた。
「POSAは、一般の方への認知が進んでおり、利用者も年々増えています。弊社の調査では、50%程度まで認知度が高まっており、特に若年層への認知が進んでいます」(インコム・ジャパン リテール・アライアンス・ディレクター 鬼頭潤一氏)
2015年の成果として、特にスーパーマーケットやドラッグストアの販路が広がっており、現状POSAは45社で利用可能だ。例えば、2015年からヨークベニマルやココカラファインなどで導入がスタートし、2016年も複数の店舗での採用を予定している。鬼頭氏は、「POSAは収益に結び付く点が理解され、どこの小売でも扱う商材に育ってきました。各社、売上についても軒並み右肩上がりで伸びています」と成果を口にする。売り上げに結び付くことに加え、POSAは在庫リスクがないため、小売業にとっても期待値の高いサービスとなっている。
売り場を広げる店舗も増加
キャンペーンとの連動でギフト商材の売上も高まる
現状、カードの販売券種は100、各金額も含めた種類としては累計1,200程になっている。鬼頭氏は、「家電量販店やコンビニエンスストアなどは売り場を広げており、レジ前など、人の通りが多い場所に設置していただいているため、次いで買いも高まっています」と笑顔を見せる。利用者が金額を指定できるバリアブルカードの販売も順調に増加。カード1枚で自身が好きな金額を自由に指定できるため、効率がよく、通常よりも単価もアップするという。
さらに、「以前はデジタルコンテンツの販売のイメージが強かったですが、サービスやギフト用途の商材も成長の兆しがみられます」と同氏は口にする。
例えば、クリスマスなどのイベント時には、横断的にキャンペーンの企画を持ちかけ、共通イメージのPOPや景品をインコムとお取引している流通店舗に提供して売り場を盛り上げたり、ギフト用の封筒を提供するといった取り組みも行っている。インコムでは、ツイッター等のメディアを活用することにより、後方支援を実施。鬼頭氏は、「例えば、季節のイベントに駆け込みで購入するのには適した商品であり、そういった認知やきっかけを作れば需要はあると考えています」と意気込みを見せる。たとえば、カジュアルギフトとしてもっと気軽に贈れるような習慣から啓蒙していく必要があると考えている。
毎年売上が伸びる
韓国や香港での事業も成長
売上に関しては非公表としながらも「毎年伸びています」と鬼頭氏は話す。インコムのグローバルで見ると30%の成長だが、日本はその中でも成長著しいマーケットになっている。インコムでは、物流機能を整備するなど、店舗やカードイシュアが負担のないようなオペレーションにさらに注力していく予定だ。
今後の展開として、主要なカードは今後も成長が続くとみているが、日本の場合は利用目的に応じて複数のカードを使い分けて利用する傾向にあるため、特定のカードに依存せず、それぞれのカードが成長していくと考えている。鬼頭氏は、「デジタルコンテンツに加え、サービスや金融の商材など、生活に根差したカードの品揃えを広げていきたいです」と笑顔を見せる。将来的には、モバイルを活用した展開も考えられ、米国ではサービスをローンチしているが、日本では市場の動きを見ながら考えていきたいとしている。
なお、インコムでは世界各国でビジネスを展開しているが、日本に加え、韓国や香港などアジア諸国の売上も好調に推移している。