2016年6月8日8:35
NPO法人エティックとアメリカン・エキスプレス財団は、2016年6月5日~7日まで、東京のソラシティカンファレンスセンターおよびホテルマイステイズ御茶ノ水において、「アメリカン・エキスプレス・サービス・アカデミー2016」を開催した。対象者は、創業5年以上ソーシャルイノベーションの現場を実施している団体となり、30名強が参加した。
テーマはサービスイノベーションと組織改革
サービス・アカデミーのテーマは、「サービスイノベーションと組織改革」。具体的には、サービスを創り出してきた起業家たちが、真の社会課題解決に向けて変革を起こし続けていくために、改めて「顧客とは何か」「あるべき姿は何か」を見つめなおし、より優れたサービスの開発・提供に向けた進化を目指すプログラムとなる。また、専門家によるサービス理論やイノベーティブなサービス開発に向けたノウハウを学び、これまでに創ってきた自団体のサービスを構造的に見直す。また、社会変革の第一線で活躍する実践者たちによる講義及び実践ワークを通して、質の高いサービスの創出に挑戦することが目的となった。
6月6日には、「アメリカン・エキスプレス が考える顧客満足」として、アメリカン・エキスプレス・ジャパン トラベル・ライフスタイル事業部門 取締役副社長 武蔵充氏が講演した。同氏は、プレミアムカードメンバー向けに提供するトラベルおよびライフスタイルのサービスオペレーションを統括している。
American Expressのビジョンは“世界でもっとも尊敬されるサービスブランドになる”
アメリカン・エキスプレス(American Express)は、米国で1850年に“運送会社”として創立。その後、トラベラーズチェックや金融事業を展開するが、一貫してサービスと安全性に注力してきた。日本では、1917年に事務所を開設。現在、世界130カ国以上で事業展開している。
同社のビジョンは、“世界でもっとも尊敬されるサービスブランドになる”。そのために目指しているのは、サービスを超えた感動体験の提供であり、顧客エンゲージメントの実現だ。クレジットカードには与信枠があるが、カードを利用してもらうことはもちろん、信頼される関係でありたいとしている。
American Expressが日本、香港、インドで実施したカスタマー・サービスの調査の結果、日本人は人間味のあるサービスを求める傾向が明らかになったという。例えば、サービスのニーズは多様化しており、シンプルなカスタマー・サービスはWebやSNSで問い合わせるケースが増えている。しかし、複雑な問い合わせは電話によるものが依然として多く、仮に満足できないサービスを受けた際は、約48%の回答者が文句を言わずにその会社のサービスを利用しなくなり、他社に切り替える結果となった。
全てのコンタクトポイントで忘れられない体験の提供を目指す
American Expressでは、心を打ち、忘れられない感動体験を提供したうえで、顧客エンゲージメントを高めていきたいとしている。エンゲージメントが高い顧客は、企業にとってポジティブな影響をもたらすからである。American Expressは、カードブランドでありながら、イシュイング(カード発行)・アクワイアリング(加盟店開拓)を行っている。そのため、顧客との接点を構築しやすい立ち位置にいる。また、会員とさまざまなタッチポイントがあるため、すべての接点で忘れられない体験を提供していきたいとしている。
具体的な感動体験を提供する取り組みとして、Travel&Lifestyle Servicing(TLS)を実施。国内外の旅行やイベント、商品の手配など、日々の顧客の生活を演出するサービスを行っている。また、「ExtraOrdinary Care」では、非日常的な部分でも期待を超えた人間味あふれる対応を意識している。サービスの提供の際は、コンタクトしていただいた人に対してのお礼、ニーズの把握、的確な提案まで、仕組みとしての対応を心がけているそうだ。
さらに、エンゲージメントの評価として、「ネット・プロモーター・スコア(NPS)」を導入。2012年12月のベインNPSサーベイの調査によると、クレジットカード業界最高位のNPSを記録しているという。
なお、NPO法人エティックとアメリカン・エキスプレス財団は、2016年7月10日~12日まで、大阪でも「アメリカン・エキスプレス・サービス・アカデミー2016」を開催する予定だ。
アメリカン・エキスプレス財団では、2009年に「アメリカン・エキスプレス・アカデミー」を日本で創設。社会貢献活動の一環として、社会で活躍するNPOのリーダーや若手起業家のリーダーシップ育成に取り組んでいる。