2012年6月26日8:00
NPO法人エティックとアメリカン・エキスプレス財団は、 2012年6月22日~24日の3日間、東京都府中市のクロスウェーブ府中において、第2回「アメリカン・エキスプレス・サービス・アカデミー」を合宿形式で開催した。社会起業家を対象とする「サービス」に特化した研修プログラムは日本で唯一の取り組みとなる。
同アカデミーでは、社会起業家が3日間を通して、サービスのさまざまな側面をビジネス、NPO双方の第一人者から学び、顧客や社会が本当に必要とするサービスを提供するビジネスプランを練ることが目的となった。社会起業家が顧客や社会のニーズに対する理解を深め、より良いサービスを提供し、社会的インパクトの高い事業を展開することが同アカデミーの狙いとなっている。
また、2011年3月11日に発生した東日本大震災を経て、東北で活動したさまざまな社会企業家の動きから、日本全体として社会を支え、課題を解決していく社会企業家の重要性が高まっているという。今回は、社会起業家30人が招待されたが、そのうち約半数は、被災地の復興に取り組んでいる。同アカデミーでは、継続して課題解決ができる参加者同士のコミュニティをつくることもコンセプトとなった。
2日目には、アメリカン・エキスプレス・ジャパン ワールド・サービス・ジャパン副社長 萬年良子氏が、「カスタマー・エキスペリエンスへの挑戦」と題し、講演を行った。萬年氏は、顧客からの問い合わせに対応するコールセンターに加え、バックオフィス、審査部門を含めたカードサービス全体を統括している。
アメリカン・エキスプレスは、1850年に米国で創立した会社だが、当時は急行便会社としてスタートし、その後、金融事業を行う企業へと転身した。同社では、「世界で最も尊敬されるサービスブランドになる」ことを目指し取り組んでいる。
顧客との接点の構築に向けては、企業側の視点ではなく、サービスを受ける顧客側の視点に立った「カスタマー・エキスペリエンス」を重視している。そのため、コールセンターの業務をはじめ、「すべてのタッチポイントでお客様とのあらゆる接点が感動体験となる」という意識のもと、1つ1つのやりとりは長期的な関係を築く機会にするという意識で取り組んでいるそうだ。
同社では、コールセンターは顧客との取引に対する“投資”であると捉えている。その上で、権限移譲された社員が、顧客個々のニーズに合わせた人間味あふれる対応を行うことを心がけている。また、「NPS(ネット・プロモーター・スコア)」を利用して、10段階の評価で電話応対した人の評価を顧客自身が行う形をとっているそうだ。
同社では、2011年3月に発生した東日本大震災の際には、義援金の募集だけでなく、コールセンターのスタッフが自発的に3万人のカード会員に架電し、安否の確認や被災者の相談役となったという。また、被災者が望む商品を提供するなど、マニュアルにないサービスも実際に提供したそうだ。
萬年氏は、「アメリカン・エキスプレスでは、このブランドは何かやってくれるという安心感をはじめ、人生のパートナーブランドと言われる、あらゆるところでサポートできるブランドを目指しています」と説明した。
なお、同アカデミーは、アメリカン・エキスプレス財団が協賛し、社会貢献活動の柱の1つ「明日のリーダー育成」の一環として行われた。アメリカン・エキスプレス財団では、2009年に「アメリカン・エキスプレス・アカデミー」を日本で創設し、社会で活躍するNPOのリーダーや若手起業家のリーダーシップ育成に取り組んでいる。