2016年6月17日8:00
サウジアラビアやUAEなどでEMVカードの発行が開始
サウジアラビアやイラン、アラブ首長国連邦などでは、コンタクトレスペイメント(非接触決済)の利用がスタートしており、今後はNFCモバイルペイメントの普及も期待されている。同地域の動向について、ジェムアルト(Gemalto)の中東及びアフリカ地区のペイメントサービスおよびソリューションを統括している、同社 Middle East & Africa Banking Solutions & Services Director デビッド・ノエル・ラーディン(David Noel Lardin)氏に話を聞いた。
サウジアラビアでは2017年からの本格的な普及を目指す
非接触決済の普及に必要な加盟店での利用環境の整備
ジェムアルトの決済ビジネスでは、EMVテクノロジーを基盤に、銀行と利用者の間に立ち、コンタクトレスEMVカード、モバイルアプリケーションなど、さまざまなサービスをサポートしている。
中東においては、コンタクトレスペイメント(非接触決済)とNFCモバイルペイメントの普及に向けて取り組んでいる。現在、同地域ではカードを利用した非接触決済がスタートしたばかりだ。ラーディン氏は、「EMVカードによる非接触決済はサウジアラビアでスタートしており、2017年から普及するために準備しています」と説明する。
例えば、サウジアラビアのリヤドバンクでは、ジェムアルトのClaristaコンタクトレスEMVカードに移行。これは、MULTOS OS上で動作するカードで、サウジアラビア初の非接触決済方式となった。
また、2016年5月には、ジェムアルトがUAEのRAKBANKにも非接触決済機能が付いたデュアルインターフェイスカードを提供すると発表された。
ただ、非接触決済の普及に向けた課題として、加盟店で利用できる環境の整備を挙げる。サウジアラビアなどでも非接触決済が可能な加盟店は拡大しているが、まだまだ利用できない店舗も多い。また、UAEではベリフォンなどのグローバルベンダーの端末が設置されているが、現状、非接触決済機能が設定されていない端末が圧倒的だ。そこが、非接触決済が普及しているオーストラリアやカナダ、ポーランド、イギリスなどとの違いとなっている。
ラーディン氏は、「サウジアラビアやイランなどで、非接触決済が利用できる加盟店は増えていますが、普及するまでに8カ月から1年ほどかかります」と課題を述べる。
中東地域はNFCモバイル決済が普及するポテンシャルは高い
アフリカでは南アフリカが先行
また、ジェムアルトでは、世界中のNFCモバイルペイメントを支援しており、カード発行会社にモバイル決済サービス開始への支援を行うワンストップの接続サービス「Allynisトラステッド・サービス・ハブ」を提供している。中東地域でも銀行などのイシュアをサポートする体制を整えており、要望があればサービスを提供可能だ。
中東地域にはモバイルユーザーが多く、将来的な普及のポテンシャルは高いとみている。ラーディン氏は、「中東の多くの銀行は、コンタクトレスEMVカードとモバイルを活用したいと考えています。この地域の若者はほとんど携帯を持っているため、関心が高まっています」と説明する。
なお、アフリカ地域においては、南アフリカが非接触決済への取り組みで先行しているという。
※取材は2016年5月31日、6月1日にドバイで開催された「Cards & Payments Middle East」で実施。