2016年10月6日9:00
金融商品のクロスセルで顧客ロイヤルティの高さを誇っていたウェルズファーゴの名声が地に落ちた。顧客に無断で口座を開設したり、クレジットカードを発行したりしていた。
クロスセルではなくクロス不正の積み上げが、世界ナンバーワンという虚飾の塔になっていたとは。不正に関与していた従業員は5,300人。メガバンクはモンスターの巢<腹黒の巢>と化していたのだ。もちろん全員が解雇された。
その責任はリテール部門の責任者と経営トップにあることは間違いない。ウェルズファーゴの取締役会はジョンスタンプ会長兼CEOへの権利未確定株式報奨4,100万ドル(41億円)と、前リテールバンキングのヘッドへの報奨1,900万ドル(19億円)を没収すると発表した。
この額は過去最高の没収額になるという。スキャンダルの大きさからいえば、これだけですむとは思えない。シビルサーバントであるメガバンクとしてあるまじき不正行為である。
従業員は上層部の命令に抗うことができなかったのか。違見を述べれば即刻クビという雰囲気であったのだろうか。かつて日本でも同じような状況があった。バブル前の銀行は全員が不動産屋と化していた。
今また日本の銀行は、マイナス金利下で投資不動産(アパートやマンション)の販売を積極推進しているという。それは顧客の幸せにつながるものなのか、押し売りになっていないか。クロスセルではなく、黒巣セルになっていないだろうか。