2016年10月6日8:30
NCBラボ
「ねぇパパ!カメがいるよ!」
2016年8月某日 -上野恩賜公園、不忍池周辺
大人達が、スマホ片手に子どもの方へごっそり移動した。
しかし、“トレーナー”たちの表情は曇っている。
声がした方へ向かってみると、 そこには真夏の日光を浴びてくたびれた亀がいた。
目当てのゼニガメではなかったのだ。
今度は、数メートル先で青年の声が響いた。
鬼の形相で走っていくトレーナー達。
お祭りでもないのに人で渋滞する不忍池周辺。こんな光景、みたことない…
かくして社会現象になった、ポケモンGO。
ビジネスの観点から、社会にもたらした影響を考察してみよう。
■5つのギネス記録を樹立
ポケモンGOは「位置情報を活用することにより、現実世界そのものを舞台として、 ポケモンを捕まえたり、交換したり、バトルしたりするといった体験をすることのできるゲーム」(公式HP)である。
Googleの社内スタートアップで2015年8月に独立したナイアンティック、株式会社ポケモン、任天堂、ゲームフリークなどが共同で推進し、スマホ専用ゲームとして開発された。
米国など3カ国で2016年7月6日に先行配信され、その後世界展開。
各国のアプリストアで1位を総なめにし、5つのギネス記録を樹立した。ダウンロード数は5億以上だ。
新宿御苑が花見の時期ほどの人で溢れたり、台湾ではポケモンを追って人々が雪崩のように移動したりするなど、ポケモンGOの人気ぶりを伝えるニュースは枚挙にいとまがない。
ここまで爆発的なヒットになった背景には多数の要因が絡んでいるが、ポケモンGOは「昔、モノクロのゲームボーイでポケモンを楽しんだ世代」をメインターゲットに据えたのが大きかったのではないか。
1996年に日本で発売された「ポケットモンスター 赤・緑」で出現する151種類のうち、伝説のポケモンなどを除いた142種類が、初期のポケモンGOでラインナップされている。
アプリの配信元が米国のナイアンティックとはいえ、“Pokemon”は、れっきとした日本の文化。
ポケモンたちが地球上の人々を魅了している現状は、日本人として誇らしい。