2016年11月22日8:00
世界中で生み出されている金融イノベーション。「世界の決済・送金サービスのイノベーション」では、アメリカやイギリス、ドイツ、フランス、中国、シンガポール、ベトナム、インドなどさまざまな国のモバイルペイメントやオンラインペイメントといった決済、送金にかかわるイノベーションについて紹介している。
たとえば、新興国のベトナムでは、2010年にインテルがホーチミン市(旧サイゴン)に10億ドルを投資して半導体工場を作ったのをきっかけとして、IT関連企業が次々に誕生した。アメリカやベルギー、フィンランドなどの国からも支援が行われ、ニューヨークの大手金融機関やシリコンバレーの企業からのベトナムへのIT関連の投資が増えている。その中の1つとして、アメリカの投資銀行のゴールドマンサックスは、ベトナムのFinTechのスタートアップ企業で2014年創業のサイゴンベースのモバイルペイメント・ソリューションのMoMoに対して投資を行っている。
ベトナムでは、近年スマートフォンの普及も手伝い、インターネットユーザーが急速に増加している。2000年末にはわずか20万人であったインターネットユーザーは、2010年には2,680万人、2013年には3,980万人へと増加し、いまや人口のおよそ半分がインターネットユーザーとなっている。一方、バンキングサービスは、近年拡大しているものの、2012年末では人口およそ9,000万人のベトナムでATMカード(デビットカード機能付きを含む)の発行枚数は約4,200万枚、銀行口座の普及率も20%にとどまっている。ベトナムにおけるバンキングの課題はバンキングサービスの普及であり、FinTechの目的はスマートフォンなどのモバイルデバイスを用いたモバイルバンキングとモバイルペイメントの普及・拡大にある。
ベトナムのFinTechのスタートアップ企業には、MoMoや1Pay、Vimo、Payoo、VNPAY、VinaPay、BAOKIM.VNなどのモバイルバンキングとモバイルペイメントを手掛けている企業が多いのが特徴である。そのほかのベトナムのFinTechのスタートアップ企業には、レンディング・サービスのLoanVi、ブロックチェーンやBitcoinのBitcoin Vietnam、VBTC Bitcoin、Cash2Vn、クラウドファンディングのFundstart、Firststep、Betado、POSマネジメントのHottab、モバイルPOSペイメントのSoftPay、パーソナルファイナンスのMoney Lover、MobiVi、データマネジメントのCircleBeなどがある。