2017年1月27日8:27
カレッタ汐留や東京ドームシティ、東京大学等でデモンストレーションイベントも開催
東京大学大学院情報理工学系研究科 ソーシャルICT研究センターは、2017年1月から3月まで、産学で連携したライフスタイル個人認証に関する実証実験を行っている。実証実験は5万人規模を予定。ライフスタイル認証は、スマートフォンやウェアラブル端末によって収集されたデータを元にした個人認証技術となる。同実験では、カレッタ汐留や東京ドームシティなどのイベント施設を利用したデモンストレーションを同時に実施する。1月26日には、実験の概要とデモンストレーションについて、報道関係者向け発表会を行った。
将来的には安心・安全な電子商取引を目指す
明確な動作をすることなく、本人認証を実施
東京大学ソーシャル ICT 研究センター 次世代個人認証技術講座は、個人認証技術研究開発を行っている。三菱UFJニコスの寄付講座として、東京大学大学院情報理工学系研究科に次世代個人認証に関する寄附講座を開設し研究を続けてきた。
研究の目的は、パスワードに代わる電子決済を安全・安心に行うための個人認証技術の研究・開発となり、「ユーザービリティと安全性の両立を目指している」と、東京大学 ソーシャルICT研究センター 副センター長・教授 中田登志之氏は話す。同センター 学術支援専門職員 小林良輔氏も「IDとパスワードは限界に来ている」とした上で、ドラスティックに社会全体に変革が必要とした。将来的には、有用な個人認証技術確立による、安心・安全な電子商取引を実現させたいとしている。
ライフスタイル認証では、明確な動作をすることなく、本人を認証する。IoTを利用し、スマートフォンやウェアラブル端末等のデータによって本人性や行動を機械学習で解析するという。また、従来のように、生体認証やユーザーのパスワード入力は不要となる。たとえば、レジなしで会計できるAmazonの「Amazon Go」では、入店時に認証処理を行う必要があるが、ライフスタイル認証ではそういった認証行為も不要となる。
2017年1月から開始した実証実験の目的は、多要素認証にかかわる大規模なデータ収集、多要素での認証を1つのシステム上で接続が可能かを確認することだ。利用要素は、端末、電波(Wi-Fi)、位置、IPアドレス、運動履歴、マンガ履歴、血圧計、電子チラシ履歴となる。同実験には、シナジーテック、小学館、TIS、東京ドーム、凸版印刷、ペイジェントなど、13社の協力を得ている。
「Shufoo!」 や「マンガワン」でも実験を告知
デモンストレーションイベントを人気スポットで開催
利用者は、東京大学山口研究室HPより、「実証実験アプリ-MITHRA」をインストールし、実験参加に同意することで参加が可能だ。また、凸版印刷 「Shufoo!」 および、小学館「マンガワン」でも実験を告知しており、両アプリから連携してインストールが可能だ。
同実験では、カレッタ汐留(1月27~29日)や東京ドームシティ(2月11日~19日)、札幌駅、門司港駅、東大赤門などでのデモンストレーションイベントを同時に実施している。イベントでは、イルミネーション施設を活用した特別な体験や、スポットにまつわる画像を見ることが可能だ。
カレッタ汐留では、利用者が事前にイベントの登録をして、施設に訪れると、森の精霊が占ってくれるイベントを実施している。
今後は、3月までの実験結果で収集したデータを元に研究を実施。その解析結果をシンポジウムなどで発表する予定だ。