2018年3月9日7:15
口座の活性化、東海地域のキャッシュレス化を推進へ
大垣共立銀行は、スマートフォン決済サービス「Origami Pay」を運営するOrigamiへ出資し、Origami Payを活用した「OKBスマホ払い(Origami)」の取り扱いを開始した。東海地域を地盤とする大垣共立銀行が、同地域におけるスマホ決済の普及を推進する。
他の銀行に先駆けてスマホ決済を強化
キャンペーンの実施などで利用者へ訴求
Origami Payは、専用アプリでクレジットカードの番号を登録し、買い物などの際に加盟店の端末に表示されるQRコードをスマートフォンで読み取ると支払いが完了する仕組みで、全国約2万店の加盟店で利用できる(予定を含む)。
OKBスマホ払い(Origami)は、Origami Payを活用したスマートフォン決済サービスで、クレジットカードの代わりにOKBの預金口座を登録することにより、リアルタイムに預金口座から代金を引き落とすことができる。クレジットカードを持たなくても、OKBの預金口座があれば、Origami Payの加盟店でキャッシュレスのスマートフォン決済サービスを利用できる。
Origami Payで、銀行口座から直接決済できるサービスは全国で初めて。大垣共立銀行にとっては、銀行が決済から遠ざかりつつある中で、他行に先駆けてスマホ決済を強化することで、今後の新たなビジネスの展開を有利に進める狙いがある。
大垣共立銀行と共立クレジット、Origamiは2018 年2月1日から4月まで、OKB・Origami Pay新規登録キャンペーンを展開するなど、利用者の獲得にも力を入れている。
Origamiとの連携でインフラの普及を加速
若年層の口座の活性化に期待
大垣共立銀行では、OKBスマホ払い(Origami)の開始に向け、Origamiに出資。同行では以前からフィンテックへの取り組みを検討してきた。加盟店での導入が進むOrigami Payと連携することで、「キャッシュレスで地方創生を推進」することを目指す。両社のサービスを利用している顧客の利便性とサービス向上、相互送客による企業価値の向上を目的にしており、「1からインフラを開拓するよりもスピード感を持った利用者、加盟店の拡大が可能になると考えました」と、大垣共立銀行 関連事業部 部長 安田次朗氏は説明する。
例えば、利用者には、コストを抑えながら、スマホ決済の選択肢を提供することが可能だ。また、東海地域に地盤を持つ大垣共立銀行と、首都圏で加盟店を広げるOrigamiが組むことで、東海地域の加盟店網の充実を図ることができる。東海地方で興味を持った加盟店に関しては大垣共立銀行からOrigamiに紹介することで、同地域でのキャッシュレス化を推進する。さらに、OrigamiではAlipayの加盟店開拓も行っているが、興味がある加盟店に対して、提案していきたいとした。
今後、スマホ決済のインフラが拡大していくと、決済サービス事業者間の競争が激しくなり、これら事業者が得る手数料収入は減少する可能性がある。この点に関し、安田氏は「Origamiとの提携は手数料収入のみを狙っているのではなく、スマホ決済を好む若者層にアピールし、フレッシャーズらに口座開設を促す狙いもあります」と語る。
若年層に訴えるには、Origamiの持つ洗練されたブランドイメージは大きな武器になりうる。大垣共立銀行はポータルアプリを持たず、Origamiのポータルアプリにリンクを張って登録してもらう方法を採用。大垣共立銀行 業務開発部 課長 箕浦信氏は、「デザインや使い勝手に優れたOrigamiのサービスを利用しますが、今後はプッシュ配信のなかでの広告展開などを検討していきます」と構想を述べる。
手のひら認証ATM「ピピット」を開発
ブーム以前からフィンテックサービス推進
Origami Payとの連携以外でも、ユーザーのスマートフォンの普及拡大に対応し、ユーザーインターフェイスや、ユーザーエクスペリエンスに優れたスマートフォンサービスの開発に取り組んでいる。新たな展開として、2018年1月30日には、収納代行などの決済支援事業を手掛けるビリングシステムとスマートフォン決済アプリ「OKBスマホ払い(PayB)」の開発で合意した。公共料金や税金、通信販売代金などの支払いに用いられるコンビニ払込票のバーコードをスマートフォンのカメラで読み取ることで、大垣共立銀行の預金口座からリアルタイムに支払う決済サービス。ユーザーはコンビニエンスストアに出向くことなく、スマートフォンでコンビニ払込票の支払い手続きができるようになるもので、4月下旬のサービス開始を目指している。
大垣共立銀行は、手のひら認証のATM「ピピット」で知られる。生体情報(手のひら静脈情報)を登録することにより、カードや通帳がなくても、手のひらだけで取引できるATMを全国で初めて導入した。ピピットは、「災害時には、身体ひとつで避難してもらいたい」との思いから導入した。さらに、手のひら認証を活用し、印鑑なしで口座開設でき、窓口やATMを利用できる「届出印不要の預金口座」の取り扱いにも踏み切るなど、フィンテックが話題になる以前から、テクノロジーを使い、利便性の高い新たな銀行サービスのカタチを追求してきた。安田氏は、「今後も消費者に受け入れられる何らかのサービスを開発していきたいです」とした。