2018年11月6日9:14
カルチュア・コンビニエンス・クラブのグループでマーケティングプラットフォーム事業を行うCCCマーケティングは、2018年11月5日にメディアカンファレンスを開催した。同カンファレンスでは、ポイントカードやスタンプカードなど、財布の中にあるカード類を1つのアプリに集約、利用できるアプリ「スマホサイフ」について説明するとともに、パナソニックと業務提携し、光ID技術「LinkRay」を活用した、電子スタンプサービス「光スタンプ」を共同開発したと発表した。
ウォレットアプリの普及で年間580億円の“ユーレイポイント”を減らす
「スマホサイフ」は、さまざまなポイントやクーポン、決済機能を1つのアプリに格納できるウォレットアプリだ。提携カードは、ファミリーマート、ウエルシア、TSUTAYA、マツモトキヨシ、モスバーガーなど、29ブランドを有する。また、アプリのダウンロード数は2年3カ月で、150万を突破。利用者は、アプリ内のバーコードやQRコード、スタンプカード画面を店舗で提示することで、カードレスで買い物を行うことが可能だ。
CCCマーケティング スマホサイフ事業管掌COO 渡辺 朗氏によると、日本人はポイントが大好きであり、お金と同等の価値があると考え、大切に使っているという。現在、利用者は20.9枚のカードを保有しており、そのうち財布に入れているのは10.7枚だという。また、カードを忘れた場合、ポイントの取得を諦める人は70.5%に達するそうだ。結果的に、年間580億円が“ユーレイポイント”となっている。同社では、スマホサイフのようなウォレットアプリが普及することで、ポイントや決済カードをスムーズに管理でき、よりカードを使いやすくなるとした。
高速読み取り、秘匿性の高さが「LinkRay」の強み
同社では、パナソニックと共に、LED 光源から送信される ID 信号をスマートフォンで受信して情報を素早く入手できる、パナソニッ クの光 ID 技術「LinkRay」を活用した電子スタンプサービス「光スタンプ」を開発した。
光スタンプは、導入店舗に設置したLinkRay対応卓上発信機に「スマホサイフ」アプリからカメラを起動し、かざすと商品購入時にスタンプが押印され、スタンプ数に応じてクーポンやお得な情報を取得できるもの。パナソニック コネクティッドソリューションズ社 イノベーションセンター アクチュエーション事業統括部 統括部長 前田崇雅氏は、LinkRayの特徴として、光をスマホにかざすだけで、ピント合わせが不要なため、高速読み取りが可能となり、レジの滞留時間を削減できる点を挙げた。また、秘匿性が高いため、不正利用を防止できるとした。
まずはスタンプ機能としてのサービスを開始。小売・流通などの導入店舗にとっては、LinkRay対応卓上発信機を準備するだけでサービス導入でき、来店客数やスタンプ発行状況などのログデータを可視化することで、CRM活動に役立てることも可能だ。
熊本県熊本市の商店街「下通商店街」のスタンプラリーで採用
同機能は、11月6日~2019年3月3日まで、熊本県熊本市の商店街「下通商店街」において、同商店街が主催するキャンペーン「スマホdeスタンプin下通商店街」をスマホアプリ上で実施することが決定している。スタンプラリー参加店では、スマホアプリ利用者が店舗設置のスタンプ端末にアプリをかざすと、商店街オリジナルスタンプが付与される。
パナソニックでは、LinkRayを3年間にわたり展開しているが、販売はやや伸び悩んでおり、今回のCCCマーケティングとの業務提携により、拡販を強化する方針だという。また、現在はスタンプ機能のみだが、将来的には決済等への応用も可能であるとした。
他のウォレットアプリと比べたスマホサイフの強みとは?
各企業に合わせて最適なアプリの活用を提案
なお、CCCマーケティングでは、当初、スマホ財布の5年後の目標は300社だと発表していた。その目標からすると、2年以上が経過した段階で、29社との提携はスローペースな印象を受けるが、その点について渡辺氏は、「当初は各社のポイントを移管するシンプルな提案を想定していましたが、各社ごとにカスタマイズして提案しています。現在も水面下で何十社とお問い合わせがありますが、事前予約など買い物をより便利にするサービスを一緒につくり込んでいくケースが増えています」とした。また、近年はコミュニケーションアプリやOSの提供企業がウォレットサービスを提供しているが、「Tポイントにおいて15年ほど小売業とお付き合いしていますので、痒い所に手が届くというか、細かい要求に応えることに慣れている」点が他社と異なる点であるとした。