2019年3月15日8:00
マーケティングへの活用でさらなる顧客利便性の強化を図る
北海道を中心にコンビニエンスストアを展開するセコマは、2018 年10 月1 日から、セイコーマート全店において、ハウス電子マネー「Pecoma(ペコマ)」の会員募集および店頭におけるPecoma 決済を開始した。同社では、会員制度「セイコーマートクラブ」を展開していたが、Pecoma のスタートにより、顧客との関係をさらに強化していく方針だ。同時にアプリによるデジタル化への取り組みにも力を入れるという。
アプリにもPecomaを登録可能に
初年度150万人の登録を目指す
セイコーマートは、北海道に約1,100店舗、関東に約100店舗の計約1,200店舗を運営している。同社では、2000年から、顧客のニーズに合わせた商品やサービスを提供することを目的として、ポイントが貯まるとさまざまな景品と交換したり、値引きに使える会員制度「セイコーマートクラブ」を展開しており、484万枚を発行していた。「セイコーマートクラブ」では、海外の会員制度である英国・テスコの事例を参考に、会員限定特典の提供のほか、顧客ニーズをきめ細かくキャッチするため、購買データを分析し、活用する取り組みに力を入れてきた。同社では、分析した購買データを、商品開発、各種フェアなど、さまざまなサービスの企画に活かしている。
このほど新たにハウス電子マネー機能を搭載し、カード名称も「Pecoma(ペコマ)」にリニューアル。Pecomaは、利用者が事前にチャージ(入金)することで小銭を持ち歩く必要がなくなり、買い物でクラブカードのポイントも付与される。また、「ぺコママネー」は、ハウス電子マネーとして、1,000円単位で5万円までチャージ可能だ 。さらに、セイコーマートのスマートフォン向け公式アプリ「セイコーマートアプリ」にPecomaを登録することでバーコードを表示することができ、カードレスでPecomaによる支払いとポイント付与が利用可能だ。
また、484万人のセイコーマートクラブカード会員からの切り替えも順次進めている。セイコーマートクラブカードからの切り替え時にレジでPecomaカードをスキャニングすれば会員データを紐付けることができる。まずは、切り替えを含め、初年度150万人の登録を目指す。
Pecoma開始後は会員の来店回数が増加
スマホを活用した取り組みをさらに強化
導入時には、2018年10月1日から11月11日まで、3,000円~9,000円のチャージで3%分、1万円以上のチャージで5%分のペコママネーをプレゼントするPecomaスタートキャンペーンを実施した。また、2019年1月7日~20日まで、対象賞品をプレゼントするPecoma入会・切替キャンペーンを行った。そのほか、5と0が付く日は「ペコママネー」がお得に付与されるキャンペーンも展開した。利用者の傾向をみると、特典が付く日は店舗への来店率は高まる。
なお、電子マネーの有効期間は最終のチャージ・利用・残高照会日より2年、ポイントは付与された月の24カ月後の末日まで有効だ。有効期限が終了したポイントは、1カ月単位で失効する。セイコーマート 商品統轄本部 販売企画部 決済推進室 部長 穂高祐司氏は、「失効ポイントがないように日常的に、便利に使っていただきたいです」と語る。
サービスがスタートして間もないが、セイコーマートをよく利用される、上位顧客が会員になっている実感があるそうだ。すでに効果検証に着手しているが、Pecomaの展開により、「単価は変わりませんが、来店回数が増える効果が出ています。それをさらに伸ばしていき、会員データを分析することで、お客様に合った対応を目指していきたいです」と穂高氏は意気込む。
また、これまで「セイコーマートクラブカード」では、会員に対してDMを配信していたが、そのコストをスマホアプリなどのデジタルにシフトさせ、結果としてお客様サービスを充実させることを想定している。穂高氏は、「DMの送料をお客様に還元する場合、アプリで割引クーポンを配信して、値引き額を増やすなど、効率的にできると考えています」と説明する。まずは現状10万のアプリ会員を100万程の規模まで高めていきたいとしている。
WAONやLINE Payなど決済手段を拡充
「&Pay」の実験にも協力
セイコーマートでは、Pecoma以外にも、顧客利便性を考え、クレジットカード、交通系電子マネー、「SAPICA」、「WAON」、「楽天Edy 」、「iD 」、「QUICPay」といった決済手段を積極的に取り入れている。モバイルバーコード決済としては、「LINE Pay」に対応。さらに、北洋銀行、エムティーアイが連携して行う「&Pay(アンドペイ)」の実証実験に「セイコーマート大通ビッセ店」が協力している。今後も顧客利便性向上に向け、幅広い決済手段に対応していく方針であり、スムーズな導入に向けスイッチングゲートウェイを採用する方針だ。