2019年10月7日8:00
クラウドキャストは、ウォレットアプリ「Kyash」および決済プラットフォーム「Kyash Direct」を展開するKyash、国際ブランドのビザ・ワールドワイド(Visa)と協力し、Visa加盟店で使える経費精算サービス一体型法人プリペイドカード「Staple(ステイプル)カード」を発行し、2019年11月15日より申し込み受付を開始すると発表した。クラウドキャストでは、まずは初年度10万枚の発行を目指す。
国内は従業員と会社とのお金のやり取りが非効率?
国内のキャッシュレス決済市場は、2021年に100兆円の市場になる予測が出ており、年率8.8%~9.5%の成長が続いている。現在、個人消費全体で300兆円あるが、法人全体でその3倍程度の市場がある。しかし、法人市場のキャッシュレスの状況を見ると、「会社と従業員のお金のやり取りが非効率」であったと、クラウドキャスト 代表取締役社長 星川 高志氏は説明する。具体的には、①個人の立て替えが必要となる、②データの手入力が面倒、③レシートの糊付けなどの作業が発生する、といった点が挙げられる。また、企業にとっても、①払い戻しの手間、②仮払い、③7年間の紙の保存、などが必要だ。
さらに、法人キャッシュレスの課題として、スタートアップにはコーポレートカード導入のハードルは高いという。スタートアップは実績が限られるため、クレジットカードの場合、与信枠が限られる可能性がある。また、中堅・大手企業ではコーポレートカードを導入しているところもあるが、一部で人員による不正が発生しており、役員や役職者のみの社員が保有しているケースも多い。
「Kyash Direct」を使用して半年間の短期間で構築
「Staple カード」は、経費精算サービスと一体化された、国内外のVisa加盟店で利用できる法人向けプリペイドカードとなる。 経費精算サービス「Staple(ステイプル)」と一体化されていることにより、管理者によるリアルタイムチャージや、利用履歴の経費レポート化、チャージリクエスト、利用ロック機能などの機能を備えている。現在、「ペイメントカード管理システム、管理装置及びペイメントカード管理方法」についての特許を出願中だ。
星川氏は、「Stapleカード」の3つのイノベーションを強調した。1つめは、Visaブランドの法人プリペイドカードのため、クレジットカードの与信枠の問題がなく、全世界のVisa加盟店で利用可能だ。今回は、プリペイドカードでは利用不可となることも多い、ガソリンスタンドや高速道路での利用も可能となった。
2つめは、KyashがVisaカード発行および決済システムを提供する決済プラットフォーム「Kyash Direct(キャッシュダイレクト)」を国内で初めて利用している点だ。これにより、Visaカード発行、リアルタイムチャージ、通知/履歴の確認、社員単位の限度額設定、リモートロックなどの機能を搭載した。 Kyash 代表取締役 CEO 鷹取真一氏によると、今回の仕組みは半年間の短期間で構築したそうだ。
3つめは、個人の立て替え・仮払いをなくすことで、会社の予算を計画的に配分し、銀行振り込みなどの作業減により、コストを削減できる。
管理者が一元管理、カードには1枚ずつチャージが可能
具体的なStampleカードの仕組みは、クラウドキャスト 取締役副社長 藤縄智春氏が紹介した。同カードは、チャージ手数料で、チャージ上限額は無制限となる。1回あたりの支払い上限額は、200万円。
カード年会費は無料(経費精算サービス「Staple」利用費は必要)だが、発行手数料として1枚当たり150円(税抜)が必要だ。また、発送手数料は、本人確認簡易書留およびカード1枚目発送手数料が800円(税抜)、2枚目以降はカード発送手数料が2,000枚まで1,500円(税抜)からとなる。
「Stapleカードは、管理者が一元管理できる仕組みです。専用口座から銀行振り込みをして、リアルタイムのバリューを1枚、1枚チャージすることができます。その後、従業員は店頭で使えます。また、使った瞬間にリアルタイムで通知が来ます」(藤縄氏)
なお、申し込みには、会社法人等番号、実質的支配者に関する情報、管理責任者の本人確認資料(PDFで運転免許証、 健康保険証、 パスポート等)などが必要だ。カード申し込み時には、法人/本人確認、反社チェックなどの審査を行っている。利用料金は、30日間の試用版が無料、「スタンダード」が月額600円もしくは年額プラン6,000円(いずれも税込み)、カスタマイズ機能が付いた「プラス」が個別料金となっている。
バーチャルカード、EMV非接触決済、ATM現金引き出し、ペイロールなども可能に
鷹取氏は、クラウドキャストと連携した今後の展開として、モバイル上でカードを発行する「バーチャルカード」、Visaがグローバルで推進するタッチ決済「EMV非接触決済」、指定のATMからの「現金引き出し」、事前にチャージなく必要な分を自動チャージする「ペイロール」などの機能を実装していきたいとした。
また、今後は、Kyash Directと同様の仕組みで、コーポレートカード発行、売上金の即時利用、仮想通貨からのチャージ、レンディング資金チャージ、報酬の支払いや受取といったサービスが実現しているため、日本でもニーズに応じて形にしていきたいとしている。さらに、通常はシステム会社がプロセッシングの仕組みをパッケージなどで提供しているケースが多いが、今回はレベニューシェアの形をとっており、迅速、低コストでサービスが可能にしたという。