2020年7月17日8:00
経費精算のクラウドサービス「Staple(ステイプル)」を展開するクラウドキャストは、2019年11月から、経費精算サービス一体型の法人プリペイドカード「Stapleカード」の発行を開始している。従業員数300人規模の中小企業を中心に、現在までに100社以上が導入。特に新型コロナ流行下でリモートワークが拡大した2020年春以降、引き合いが増えているという。BtoBの決済市場は今、どのように変化しているのか――? クラウドキャスト 代表取締役社長 星川高志氏に話を聞いた。
経費精算の負担を軽減するクラウドサービス「Staple」
中小企業向けに、導入ハードルが低いプリカと一体で提供
経費を従業員がいったん立て替え、伝票に領収書をのり付けして経理部に提出。経理部ではそのデータを1件1件入力し、従業員に払い戻した後、領収書を7年間保存しなければならない。――このような手間やコストを限りなくゼロに近づけるために開発されたのが、クラウドキャストの経理精算クラウドサービス「Staple(ステイプル)」だ。業務効率化が課題であるものの自前ではシステム構築がままならないという中小企業を中心に、現在国内で累計4,000社以上に採用されている。
2019年11月には、ウォレットアプリ「Kyash」や決済プラットフォーム「Kyash Direct」を展開するKyash、国際ブランドのビザ・ワールドワイド(Visa)と協力し、Visa加盟店で使える経費精算サービス一体型法人プリペイドカード「Staple(ステイプル)カード」の発行を開始。法人カードといえばクレジットカードが主流だが、与信がネックになって導入のハードルが高いスタートアップなどを中心にニーズがあるそうだ。特に新型コロナの流行でリモートワークが拡大してから引き合いが増えてきているという。
リモートワークで経費精算業務はますます煩雑化?
数百人規模での導入が進み、万~数十万での利用が多い
新型コロナの流行でリモートワークを導入する企業が急増。アフターコロナにもこの働き方が定着していくのではという見方が強い。ワークフローがオンラインで完結するリモートワークにあっては、経費精算もオンラインで、現金のやり取りなくキャッシュレスで完結させたいというのが当然のニーズ。ところがリモートワークでは、ワーク拠点の多様化により経費が発生する場面も多様化。加えて定期券支給がなくなり出社の都度交通費の実費を支給することになるため、従業員が経費を立て替えるケースが増え、これにともない精算業務も増大しているのが現実だ。クラウドキャストの場合、この課題も「Stapleリーダー」という交通系ICカード読取アプリを無償で提供することで解決している。
経費精算業務を軽減する手段として法人クレジットカードの活用が挙げられるが、クレジットカード導入には与信を経なければならず、発行枚数にも限りがある。不正利用のリスクを抑えつつ、より手軽に導入でき、全従業員に携帯させることも可能なツールとしてクラウドキャストが提供しているのが、経理精算クラウドサービス「Staple(ステイプル)」一体型のプリペイドカード「Stapleカード」だ。ひとり法人から従業員規模1,000人以下の企業をターゲットとしており、実際の利用は300人規模の企業が多い。
1回当たりのチャージは200万円までとしているが、チャージ額の上限は設けていない。チャージリクエスト・承認や不正可能性を認識した際のロック機能が瞬時に作動するなど、使い勝手やセキュリティ対策を追求。プリペイドカードというと小口決算のイメージが強いが、ふたを開けてみるとネット広告費やサーバ利用料など、万から数十万単位の利用が多いという。
利用料金は経費精算込みで1枚月額600円
使い勝手の良いプリカでキャッシュレス化推進に貢献へ
「Stapleカード」は、1枚当たり月額600円 (税抜) のサブスクリプション・サービス。OCRや自動的に押されるタイムスタンプもこの標準価格内で利用できる。Stapleのお客様は基本これだけだが、これに併せて利用加盟店側には金額に応じた手数料が発生。これをVisaやKyashと一定のパーセンテージで分け合って運用するビジネスモデルとなっている。「経費精算まで含めたこの価格設定は、どこよりも安い」と星川氏は胸を張る。
経費の精算に法人カードを用いるのは、欧米ではすでに常識。翻って日本では、法人クレジットカードの普及は頭打ちになっているという。星川氏は、「当社は、法人クレジットカードでは埋められないホワイトスペースに、プリペイドカードでチャレンジしようとしています。『Stapleカード』は、残高ゼロで配ることもできますし、不正の危険を察知すればすぐにフリーズすることもできます。限りなくリスクが少ないので、社員のみならず協力会社のスタッフなどより広い範囲に配ることもできます。このメリットを訴求することによって、日本のキャッシュレス化の進展に大いに寄与していきたいと考えています」と意気込みを語った。