2020年2月5日8:00
メルカリとメルペイ、NTTドコモは、2020年2月4日、都内で記者会見を開き、3社の利用客のさらなる利便性とサービスの向上や、キャッシュレス決済の推進、新規事業の検討などを目的とした業務提携について合意したと発表した。5月にも、両社の持つ会員アカウントを連携させ、顧客基盤の拡大を図るほか、ドコモの共通ポイント「dポイント」をフリマアプリ「メルカリ」で貯めたり、使ったりできるようにする。今回の提携により、両社で年7,000億円という日本最大規模のポイント連携が誕生する。(ライター 小島清利)
ID連携により顧客基盤の拡大を実現
メルカリ 代表取締役CEOの山田進太郎氏は「ドコモと連携することで、メルカリが目指す循環型社会に向けて、個人間で簡単かつ、安全にものを売買できるマーケットプレイスの実現と、日本のキャッシュレス化の実現を推進していきます」と業務提携の意義を強調した。
一方、NTTドコモ代表取締役社長の吉澤和弘氏は「ドコモとしては、これだけの規模のEC事業者との連携は初めてです。双方のアセットを活用し、さまざまな取り組みを検討し、お客様の利便性向上の実現を目指します」と述べた。
今回の業務提携の内容は、「メルカリID」と「dアカウント」が連携することで、「メルカリ」での取引1回につき、取引額100円(税込)ごとに1ポイントのdポイントを還元する。貯まったdポイントを、1ポイントあたり1円(税込)として、「メルカリ」での取引に利用が可能になる。これらのサービスは2020年5月に開始する予定だ。
また、スマートフォン決済の連携により、「メルペイ」ウォレットと「d払い」のウォレットの電子マネー残高およびポイント残高の連携、各社のサービスにおけるポイントのシームレスな利用の実現する。2020年夏をめどに、両社の決済サービス加盟店の共通化と、共同での営業推進に取り組む。
ドコモショップでのメルカリ教室も全国展開を検討
このほか、ドコモショップと「メルカリ」のさらなる連携強化を検討する。具体的には、現在一部のドコモショップで実施している「メルカリ教室」や「メルカリ」の梱包・配送サポートの全国展開の推進を検討する。
その他、各社のアセットを活用した新規事業創出の検討する。具体的なビジネスモデルは今後詰めるが、各社が保有する各種データを連携させたフィンテックサービスの開発や、新たなマーケティングや販促ソリューションの開発を検討する方向だ。
3社は、今回の提携を記念して、2020年2月4日~2月24日まで、「メルカリでd払いを使うと+10%還元キャンペーン」を実施する。2月の「毎週おトクなd曜日」と組み合わせることにより、「メルカリ」でのショッピングで「d払い」を利用すると、通常のポイントに加えて、購入金額の最大20%分のdポイントが還元される仕組みだ。さらにキャンペーン期間中は、「メルカリ」での「d払い」決済1回につき、決済手数料(1回100円)分のdポイント(期間・用途限定)を進呈する。
メルカリ、ドコモの協力関係が次第に拡大
メルカリは、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」をミッションに、個人が簡単かつ安心・安全にモノの売買が可能なマーケットプレイスをめざし、2013年7月からフリマアプリ「メルカリ」の提供を開始した。
アプリ内の機能改善やオフラインでの顧客体験向上を追求し、サービス開始から約6年で、月間利用者数は約1,450万人、年間流通総額5,000億円を超えるサービスへと成長している。メルペイは、「メルカリ」アプリで利用できるスマホ決済サービス「メルペイ」を2019年2月から展開。非接触決済サービス「iD」と、コード決済の両方に対応しており、全国170万か所のさまざまな店舗およびECサイトで利用することが可能だ。
また、「メルペイスマート払い」を利用することで、事前の銀行チャージ無し(チャージレス)で、商品購入代金を翌月にまとめて支払うことができるなど、独自のサービスも展開しており、利用者数は、2020年1月に600万人を突破している。
一方、ドコモは、7,345万を超える会員基盤を持ち、d払い、dポイント加盟店は136万か所まで拡大している。また、2018年4月から「d払い」アプリの提供を開始し、ウォレット機能やミニアプリ、コードを「読み取る」・「見せる」に加え「iD」をかざす決済手段を追加するなど、機能の拡充を進めている。
メルカリとドコモは、2015年4月のキャリア決済のパートナーシップに始まり、2019年4月には「メルカリ」で売れたモノが梱包・発送できる「つつメルすぽっと」のドコモショップ内への設置や、同年10月には「メルカリ教室」を共同開催するなど、これまでも多くの取り組みを重ねてきた。
今回の業務提携により、これらの取り組みを拡大するとともに、両社IDの連携によりメルカリ、メルペイ、ドコモの3社で国内最大規模の顧客基盤を保有するアライアンスを構築し、さまざまなサービスを提供することが可能となる。
メルペイがOrigami買収
メルカリ・ドコモの仲間づくり加速も
メルカリをめぐっては、スマートフォン決済子会社のメルペイが同業のOrigami(オリガミ)を買収する方針を発表するなど、スマホ決済の再編の核となっている。メルペイ代表取締役CEOの青柳直樹氏は「オリガミの統合は、今回のドコモとの業務提携とは全く独立した動きでありますが、サービス向上のため、あらゆる事業者と提携を広げていきたいという気持ちはあります」と述べた。
また、吉澤氏も「ドコモは、パートナー企業との共創によって、両者にとってのビジネスが拡大していくということをこれまでもやってきた。基本的には、仲間づくりはオープンでやっていきたいと考えています。もっとたくさんのパートナーに入っていただくよう、活動の輪を広げていきたいです」と意欲を示した。